【第6回:後編】生涯現役!理学療法士に聞く、キャリアと健康管理法~在宅生活に向け患者さんを支える門脇明仁さん~
-
1
2
リガクラボの連載「生涯現役!理学療法士に聞く、キャリアと健康管理法」。長きにわたりお仕事をされていて、現在も生涯現役を目指して活躍されているベテラン理学療法士の方々に、前編では現在のお仕事(セカンドキャリア)について、後編では日々実践している健康管理法についてお話を伺っていきます。
第6回は高度急性期の理学療法に携わった経験を活かし、退院後に在宅生活を目指す患者さんを支える門脇明仁さんにご登場いただきます。
【特集】生涯現役!理学療法士に聞く、キャリアと健康管理法
PROFILE
門脇 明仁さん(かどわき あきひと)
1956年高知県生まれ。21歳で高知リハビリテーション学院を卒業し奈良県立奈良病院(現:奈良県総合医療センター)に就職。37歳で奈良県理学療法士会会長に就任。士会法人化や奈良県理学療法士学会、近畿理学療法学術大会、全国研修会を担当。60歳で定年退職、縁あって平和会吉田病院に再就職。最近の趣味は料理やキャンプ、歴史巡りなど。
門脇さんの健康管理法について
前編の記事では門脇さんのキャリアについてお話を伺いました。定年退職後、現在は平和会吉田病院の一般科リハビリテーション室にて、ご活躍されています。お仕事を続けられている中で、健康管理のために具体的にどのようなことをされていますか?
門脇さん:最近新たに始めたことの中に、料理があります。料理はいくつもの課題を同時におこなう、あるいは事前に順序を組み立てて実行するため、脳が活性化されます。得意料理は出し巻き卵です。最初は形になりませんでしたが、今は自慢料理の一つです。大切なことは片付けながらおこなうことです。妻の機嫌も良くなります。
料理を作り家族に食べてもらった後には、必ず味はどうか聞くようにしています。「おいしいよ」、「店で出せるレベルやで」と言ってもらえるとうれしくなりますね。これらの言葉は、私の心への報酬です。心が動き、また作ろうかなと思えます。
そして今では朝食と自分のお弁当は自分で作るようにしています。日常の何気ないことで脳の活性化ができていると思っています。
門脇さん:また、私の好きなことの一つに歴史巡りがあります。出雲の古代遺跡、朝倉遺跡や関ケ原古戦場など当時をしのびながら歩くのは想像力をかき立てられるので大好きです。
巡る前には必ず、事前学習をおこないます。以前、NHKの番組『ブラタモリ』を見てから福島県の磐梯山に行ったところ、「なるほど」がいっぱいでした。以来、巡る前にYouTubeやWEBサイトなどインターネットを駆使して予習しています。行きたい気持ちが高まりますし、実際に現地で見ると「なるほど」のオンパレードです。
そして締めくくりに妻と二人で必ず行くところがあります。それは地元のスーパーマーケットです。ここには地元の人が普段から食べているものがたくさんあり、見たことのない魚介類やお惣菜に「ほほう」と心が動き、おのずと財布が開きます。
日常生活の中でも、脳の活性化を意識しながら楽しく過ごされているのですね。生涯現役を目指すために大切な心がけ・秘訣は何だと思いますか?
門脇さん:私は前の職場で「ダウン症赤ちゃん体操」にも取り組んでいました。乳幼児にお母さんと一緒に体操やマッサージをすることで、愛着を深めてもらうことと運動発達を促すことを目的におこなうものです。
赤ちゃんは欲しいものが目の前にあると、それに触れたい、取りたいと一生懸命に頭を上げ、腕を伸ばします。やがて、ずり這いをし、障害物を乗り越え、最後に歩こうとします。そして、できたらたくさん褒めます。
これも、前編でご紹介した「心が動けば、体は動く」と同様です。年齢は関係ありません。誰しもが直面する老後を心豊かに迎えるには、やはり「心を動かす」ことが大切だと思っています。
何かに取り組むときには、頑張ればできる目標にすること、他人と比較しないこと、達成できたとき誰かにほめてもらうことを心がけるといいと思います。もし、ほめてくれる人がいないときは、自分で自分をしっかりほめましょう。
ちなみに、この取り組み方は理学療法士として患者さんと向き合った時の心構えと同じです。
生涯現役で充実した毎日を目指して。門脇さんの今後の目標
興味を持つ、ワクワクする、喜ぶ……確かに「心を動かす」ことは心身の健康に、そして豊かな人生につながるのだと感じました。門脇さんの今後の目標、チャレンジしたいことなどがありましたらお聞かせください。
門脇さん:私はこれまで障がいのある方を対象に仕事をしてきました。現在の再雇用終了後は、これまで関わったことのない健常高齢者の健康寿命を延ばす取り組みができたらなと思っています。
経験的に、フレイル(虚弱)になる人とならない人がいると感じています。しっかり食べること、しっかり気持ちと身体を動かすことで、フレイル予防を啓発していきたいです。
プライベートでは、数か月前から近くの地下道の掃除を始めました。掃除をしていると通りかかった小学生が「ありがとう」と声をかけてくれたり、ウォーキング中の方も「ご苦労様」と声をかけてくれます。言葉をかけていただけるのは、うれしいですね。もう少し続けてみようかと思っています。
-
1
2