【前編】睡眠の質を上げる方法とは?まずは睡眠のメカニズムや睡眠が必要な理由を知ろう!

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皆さんの中には、睡眠をとっているはずなのに疲れが取れない、日中の仕事に集中できない、休日はお昼過ぎまで寝てしまう、といった悩みを抱えている方はいませんか?

それは睡眠の質が良くないことが原因かもしれません。その場合、睡眠のメカニズムや睡眠不足の原因を知った上で、生活習慣の見直しや寝室での工夫、適度な運動をおこなえば、睡眠の質を上げることができます。

今回の企画「睡眠の質を上げる方法とは?」では、睡眠について研究されている、理学療法士の内藤翼さんと小島将さんに、睡眠の質を上げるための工夫などについてお話を伺いました。

前編では、睡眠の現状やメカニズム、睡眠不足の原因やデメリットなどについて理学療法士の内藤さんにお話を伺います。

日本人の平均睡眠時間はどれくらい?

日本人の平均睡眠時間は、約7時間22分です。これは調査対象33か国の中では最も短い睡眠時間でした。次いで32位の韓国は約7時間51分であり、日本より約30分も睡眠時間が長いことになります。アジア最上位の中国は約9時間2分、アメリカは約8時間51分と報告されており、日本は諸外国と比べて睡眠時間が極端に短いことが分かります。

※経済協力開発機構(OECD)、Gender data portal 2021のデータを基に作成

中でも、労働世代にあたる20~59歳の各世代において、平均睡眠時間が6時間未満の割合は、以下のとおり、37.1~51.3%を占めています。年代が上がるにつれ、割合が増加していることが分かります。

20~29歳:37.1%
30~39歳:42.2%
40~49歳:47.7%
50~59歳:51.3%

また、男女別では、男性が約7時間28分、女性が約7時間15分で女性の睡眠時間が男性よりも短いという結果になりました。

出典:健康づくりのための睡眠ガイド 2023

このような現状のなか、年代によって差がありますが、「睡眠が足りなかった」と睡眠不足を実感している人の割合は、24.4~34.2%でした。面白いことに日本は睡眠時間が世界で最も短いのに対して、睡眠不足と実感している人は少ないようです。

睡眠不足にはどのような原因がある?

睡眠不足になる原因には、環境面では以下が挙げられます。

  • 夜間の室内照明が明るすぎること
  • 就寝前のタブレット端末やスマートフォンの使用
  • 日光を浴びない生活をしている
  • 就寝直前の入浴

上記について、詳しくご説明します。

・夜間の室内照明が明るすぎること
夜間の照明に昼白色の蛍光灯を利用している人がいますが、明るすぎると睡眠のスイッチが入りにくくなり、眠気を抑制してしまいます。夜間は暖色系の照明を利用しましょう。

・就寝前のタブレット端末やスマートフォンの使用
これらの電子機器の画面は、体内時計に影響を与えるブルーライトを多く含みます。近年の研究ではブルーライトが睡眠や体内時計に与える影響を過度に悪く見積もっているという見方もあるようですが、それでも、夜間にブルーライトを浴び続けると、催眠効果のあるメラトニンの分泌が抑制されたままとなり、体内時計が遅れて入眠が妨げられますので、ベッドの中でスマートフォンを使うのはやめた方がいいですね。

・日光を浴びない生活をしている
特に朝、日光に当たると、催眠効果のあるメラトニンの分泌が抑制され、体内時計を調整します。しかし、デスクワークなど室内での仕事が中心の方の場合は、夜間のメラトニンの分泌が抑制されてしまいますので要注意です。

・就寝直前の入浴
働き盛りの世代において、睡眠導入に必要な入浴が疎かにされがちです。しかし、入浴時間を調整することで入眠しやすい体内環境が整います。就寝2時間前に入浴を済ませれば、上がった深部体温をゆっくり下げて寝つきをよくさせることができます。

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考えられる原因とは?