- 十分な時間眠れない
- 睡眠で休養感が得られない
- 日中の眠気が強い
- 日常生活に支障をきたしている
【前編】睡眠の質を上げる方法とは?まずは睡眠のメカニズムや睡眠が必要な理由を知ろう!

対策をしても睡眠不足…考えられる原因とは?
睡眠環境や生活習慣などへの対策をしても、睡眠不足に悩む方は、以下のような睡眠障害が裏に潜んでいる可能性があります。
◆睡眠障害
・不眠症(入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害)
∟睡眠時間の短縮を主な症状とする
・むずむず脚症候群
・睡眠時無呼吸症候群
以下のような自覚症状があれば、病院を受診しましょう。
睡眠のメカニズムとは?
では、私たちの睡眠のメカニズムはどのようになっているのでしょうか。睡眠の周期や、それぞれの周期が身体にどういった役割を果たしているのかをご説明します。
睡眠のメカニズムとして「睡眠サイクル」と呼ばれるものがあります。入眠すると最初に浅い睡眠の「レム(Rapid Eye Movement)睡眠」に入り、その後に深い睡眠の「ノンレム(Non Rapid Eye Movement)睡眠」に移行していきます。このレム睡眠とノンレム睡眠の繰り返しを「睡眠サイクル」と呼びます。ノンレム睡眠はステージ1~3の段階があり、ステージ3になるにつれて、より深い睡眠となります。1回の睡眠サイクルの長さは、概ね90分とされていますが、睡眠サイクルの長さには個人差があるだけでなく、同じ人でもばらつきがあります。

睡眠で特に重要なのは、入眠後の最初に始まる睡眠サイクルとされています。ノンレム睡眠のうち、より深い睡眠のステージ3は脳と身体を休息させる役割があります。最初のノンレム睡眠にはステージ3が多く含まれますが、2回目以降の睡眠サイクルではそれらの割合が減少します。よって、少なくとも最初のノンレム睡眠をしっかりとることが重要です。
睡眠が必要な理由とは?
なぜ、私たちには睡眠が必要なのでしょうか。
その理由の一つとして、記憶の定着を促すために睡眠が必要不可欠だからです。
レム睡眠中の脳では、覚醒時よりも活発に活動している脳領域が複数あります。その一つが記憶の形成に重要な役割を果たす「海馬」と言われる領域で、情報を記憶として定着させる前の、一時的な保管に関わっていると考えられています。「海馬」には多くの神経細胞(ニューロン)が存在しており、睡眠によってそのニューロンの接合部である「シナプス」のつながりが強まり、記憶の定着が促されます。さらに近年、脳が嫌な記憶を消去することも明らかになりました。
ノンレム睡眠もまた、記憶の定着や強化に重要です。ノンレム睡眠中の脳では、不要な神経細胞同士のつながりを解消するなどして、重要でない記憶は削除され、重要な記憶だけが残ることで、記憶の再構築と強化がおこなわれていると考えられています。