ママの身体と心のガイド【第2回】妊娠中に多い身体トラブルと心の不安

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妊娠中にメンタルの不調が起こりやすい原因について教えてください。

妊娠中は身体的変化だけでなく、精神的な変化や不調(不安・抑うつ・イライラ)が起きやすくなります。原因は生物学的・心理的・社会的な各面においてストレスが加わることが多く、不調に結び付きやすいためと言われています。

➀ホルモンの変化や身体的変化

妊娠中は女性ホルモンが大きく増減して感情の安定性に影響が出やすいとされています。また、セロトニンという神経伝達物質の働きが変化して、不安や抑うつが生じやすくなっています。つわりや腰部痛、睡眠の変化などの身体症状がストレスになることもあります。

➁心理的要因

妊娠は嬉しいと思う反面、無事に産めるだろうか、赤ちゃんは元気だろうか、良い母親になれるだろうかなど、心配や不安が過剰に働きやすくなります。また、体型の変化に伴い自己肯定感が低くなる傾向もあります。

➂社会的要因

出産や育児にかかる費用への不安や、仕事を持っている女性にとっては仕事を休む時期や復帰に際してのキャリアの問題のほか、配偶者や家族からの状況理解が少ないと孤独感や社会的孤立感が生じやすくもなります。

不調を招かないためにできるメンタルケアについて教えてください。

まずは自分でできることとして、2つご紹介します。

➀生活習慣

・十分な休養と睡眠をとりましょう。妊娠後期になると浅眠傾向になるので、日中の昼寝も有効です。また、軽い運動はストレスを減らすとされていますので、パートナーと一緒にウォーキングしたりオンラインでのヨガをしたり、気分転換を図りましょう。

・食生活の安定は栄養バランスを整えることになり、精神面での不安定さを減らす効果が期待できます。

・感情を言語化したりお友達とおしゃべりしてストレスを溜め込まないようにしましょう。アロマや音楽を聴いてリラックスすることも良いでしょう。

➁周囲からのサポート

・不安やつらさは我慢せずに、パートナーや先輩に聞いてもらいましょう。話すだけで心が軽くなることもあります。

・つながりを持つことも大切です。お友達や妊婦さんとの交流、母親学級での同じ環境の妊婦さんとお話するのも大切です。

その他、専門家への相談も大切です。

➂専門職への相談

産婦人科での定期受診の際に、助産師さんや先生に気持ちや不安を相談してみましょう。特に助産師さんは親身になってお話を聞いてくださると思います。
今はインターネットなどで様々な情報が簡単に手に入りますが、逆に情報が氾濫していてどれを信じて良いのか分からない場合もあると思います。不安な時は不安な情報ばかり取ってしまう傾向もあります。専門家に直接相談することが一番早く正しい情報源になると思いますので、遠慮せず、小さなことでも相談してみましょう。

おわりに

前回、そして今回と、妊娠中に起こりやすい心身のトラブルについてご紹介しました。各地で実施されている母親学級や助産師による訪問支援は、妊婦さん同士の情報交換や、専門職による丁寧なサポートを受けられる貴重な機会です。安心して妊娠期間を過ごすための選択肢として、ぜひご活用ください。詳しくは、お住まいの市区町村や保健センターのWebサイトをご確認ください。
次回は、産後に起こりやすい心身のトラブルについて取り上げていきます。お楽しみに。

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PROFILE

佐々木 聡子(ささき さとこ)理学療法士

佐々木 聡子(ささき さとこ)理学療法士

専門分野:ウィメンズヘルス

2000年に理学療法士免許取得後、総合病院でICUや急性期/回復期病棟に従事。自身が産後トラブルを経験し、産後女性の健康や環境について興味を持つ。2011年から佐々木産婦人科で妊婦教室を担当、現在も産前産後のリハ外来や出産後の全褥婦の身体ケアを行っている。2019年から勤務している訪問看護ステーションかがやきでは、産後ケア事業部を立ち上げ、医療保険/自費で産前産後の女性のケアを看護師・助産師とチームで実施している。助産師向けの研修会講師や地域の各教室、TV取材に多数対応。健康増進・参加認定理学療法士、pfilAtesTM(骨盤底筋エクササイズ)インストラクター、経営学修士(MBA)を保有。
株式会社Shine 産後ケア
佐々木産婦人科