ママの身体と心のガイド【第2回】妊娠中に多い身体トラブルと心の不安

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産前・産後の女性の心身に起こる変化や不調とその対策について紹介する本シリーズ。
前回は、妊娠中の腰痛や尿もれなどについてお伝えしました。第2回である今回は、第1回で紹介できなかった足のつり(こむら返り)や精神面への影響といった妊娠中の心身トラブルについて、前回に引き続き理学療法士の佐々木さんにお話を伺います。

妊娠中に、足がつる原因について教えてください。

足のつり(こむら返り)には様々な原因があるとされています。例えば、ミネラルバランスの変化(カルシウムやマグネシウムの不足、ナトリウムやカリウムの変動)によって、筋肉の緊張とゆるみの調整が乱れることも一因とされています。また、妊娠後期になると子宮が大きくなり、脚につながる血管を圧迫し、血流の悪化が見られやすくなります。筋肉への酸素や栄養供給が不足しやすくなるため、けいれんが起きやすい環境です。それに加えて、体重の増加や姿勢変化があり、ふくらはぎの筋肉に負担が増えることが原因とされます。

歩きすぎて疲れた日などは、就寝中に背伸びをしたり寝返りを打ったりする際に、足のつりを誘発しやすい環境になります。
ふくらはぎが一番多いですが、歩き方の癖などにより、足指や足の裏(足底)部分の筋肉がつることもあります。

実際に足がつってしまった場合、どのような対策をとるとよいでしょうか。

実際につってしまったときの対応例を、部位別に紹介します。

  • ふくらはぎ(下腿三頭筋)がつった時

膝を伸ばして床に座り、足首を上に反らす(背屈位)ようにして、足指を自分の方へ軽く引っ張ります。イラストのとおり、協力してくれる方がいれば、ぜひお願いしてみましょう。

  • 足指や足底筋膜がつった時

足指を上に向けて反らしましょう。小指側の筋肉がつることが多いかもしれません。その時は小指を中心に伸ばします。また、足底をゆっくりと押してマッサージしましょう。
お腹が大きくなってからつることが多いので、ご自身で対応するのが難しければ、パートナーやご家族に協力を求めましょう。また、寝ている際の足関節の位置によってつることもあるので、膝関節を軽く曲げて足首をリラックスさせることも大切です。

足がつらないように、どのような予防ができるでしょうか。

予防策として、以下のことに気を付けましょう。

①生活習慣

・靴は、靴底が薄くフラットなものより、かかとに1~3㎝程度の高さがあり、安定性とクッション性を備えたスニーカーなどを選ぶとよいでしょう。重心の偏りによって無意識に起きる、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)への過度な負担を和らげてくれます。

・就寝時の工夫として、足首が過度に伸びないようにクッションなどで膝を軽く曲げ、足首のリラックスポジションを作りましょう。足元を冷やさないようにレッグウォーマーなどを使用するのも良いでしょう。

・長時間の立位や同じ姿勢を避けましょう。

②運動やストレッチ

・買い物や運動などで今日は歩いたなぁと思う日は、しっかりとストレッチを行いましょう。壁に手をついて、アキレス腱伸ばしをするとふくらはぎのストレッチになります。足指や足底へのケアとして、手でゆっくり足指を反らしたり曲げたりして、ストレッチしましょう。ゴルフボールなど使って、足底をほぐすことも良いでしょう。

・寝る前に足首をぐるぐると回して血流を促しましょう。

③栄養・水分

・栄養バランスを見直してみましょう。豆腐や海藻やナッツ類のカルシウムやマグネシウム、バナナやホウレン草などのカリウムを意識的に摂ると良いでしょう。

・水分補給を心がけましょう。特に夏の暑い日などは注意しましょう。

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