【第7回】私と理学療法〜右脳梗塞を発症し、絶望した私を回復へと導いた笑顔~
連載「私と理学療法」では、ご自身やご家族が、ケガや病気の治療で理学療法を受けた方の体験談をご紹介していきます。
第7回は、右脳梗塞を発症された方の体験談です。突然、左半身が動かなくなり、絶望の淵に立たされたものの、理学療法を受けて仕事復帰を果たされ、今も元気に活躍されているというエピソードです。ぜひご覧ください。
【特集】私と理学療法
PROFILE
川上 幸子さん(61歳・女性 )
長崎県在住
理学療法のきっかけ:右脳梗塞
右脳梗塞を発症し、絶望した私を回復へと導いた笑顔
左半身が突然動かなくなり、急遽病院へ搬送
2011年11月、一切の前触れもなく、朝起きると左半身が動かなくなりました。救急車で独立行政法人 国立病院機構 長崎医療センターに搬送され、診察の結果、右脳梗塞に罹患していることがわかりました。
それまでの私は、小学校の教師として日々忙しく働いていました。当時小学生と高校生だった息子たちのことや、仕事のこと、これからの生活のことを考えると絶望で苦しくなり、ほとんど眠れぬまま病院のベッドの上で夜を明かしました。
そんな時です。「おはようございます!」と太陽のような笑顔で、理学療法士さんが病室にやって来たのです。私が驚いていると、「リハビリテーションは早く始めたほうがいいんですよ」と、これまた満面の笑みで施術を開始してくれました。最初に足首をゆっくり回転させて、動かしてくれたのをはっきりと覚えています。その後は歩いたり腕を回したりといったリハビリテーションをおこなったように記憶しています。
身体を動かすことで落ち込む気持ちが前向きになり、日に日に希望が持てるようになりました。
理学療法によって仕事復帰へ。息子も理学療法士に
失意のどん底だった私の気持ちが、この理学療法士さんのおかげですっかり明るくなり、希望が持てるようになりました。理学療法を受けた期間は2011年11月~12月の約2カ月で、ストレッチや筋トレ、歩行練習などをおこないました。
理学療法は毎日1時間程度おこないました。理学療法士さんがストレッチとして、身体のいろいろな部分を動かしてくださいました。また、バーをつかんで身体を支えながら歩行移動したり、下駄のようなものを履いてバランスをとったり、廊下を大股で歩いたりしたのを覚えています。
理学療法を受けている間に「お見舞いに来た方かと思いましたよ。すっかり元気になられましたね」とうれしい言葉を理学療法士さんにかけていただいたことがありました。
その後、無事に仕事復帰し、昨年60歳で退職するまで働くことができました。当時高校生だった長男は、現在は理学療法士として働いています。息子は部活でバスケットボールをしていたこともあり、ケガをして理学療法士の方々と関わることが多かったのですが、私が理学療法で元気になったことも理由の一つだったと思います。親として大変うれしく、祖父母も喜んでいます。今でも「理学療法士さんは、心身ともに患者さんをサポートする仕事であり、自分が助けられた」ということを、息子にはよく話しています。
闘病生活のつらい経験も、今の仕事に役立っている
退職後は、保護者や子どもたちに心のケアを提供したいと考え、スクールカウンセラーの仕事に応募し、現在は小・中学校でカウンセリングをする日々です。病気になって不安や苦しみを経験したことで、メンタルヘルスについて深く考えるようになり、心理学の資格を取ることにつながりました。相談者の心の痛みや苦しみに寄り添い、共感できるのも、闘病生活の辛い経験を乗り越えたからこそだと思っています。
思いがけず病にかかり、絶望的な気持ちになられている方もいらっしゃるかもしれません。 自分は、理学療法士の皆さんがアセスメントをふまえた細やかな施術をしてくださって、無事に元の暮らしに戻ることができました。読者の皆さんがもし理学療法を受けるようなときは、きっとあなたにも全力を尽くしてくださると思います。決してあきらめないでください。
おわりに
第7回は、右脳梗塞を発症され、絶望を感じながらも理学療法を受けることで、仕事復帰を果たして生き生きと今もご活躍中の方の体験談をご紹介しました。
川上様は理学療法士の明るい笑顔に心を癒され、前向きにリハビリテーションに取り組まれたとのことでした。そして、その姿を傍らで見ていた息子さんが今では理学療法士としてご活躍中とのことで、大変心温まるエピソードを伺うことができました。
私たちの誰もが、突然病にかかる可能性があります。絶望したり、悲嘆にくれたりすることもあるかもしれません。そんなときは、あなたの治療を支える医療者がそばにいることを思い出していただければと思います。
ご紹介した体験談が、現在治療中や闘病中の方、リハビリテーションに取り組まれている方の励みになりますように。次回もお楽しみに。
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