【後編】もしバナゲーム開発者インタビュー 「もしものとき」について考えるきっかけを

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もしバナゲームに興味を持ってくださった方へ

では最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いします。

蔵本先生:ここまでお話ししてきたように、「もしバナゲーム」は直接何かを決めるためのツールではありません。あまり思い詰めずに、気軽に何度でも試してみて欲しいです。死について想像することを「縁起でもない」と感じる人もいますから、誰かを強制的に参加させるようなことはせず、興味がある人同士でやってもらえたらうれしいです。

ざっくばらんに、気楽にゲームを楽しんでもらいたいと思っていますが、それと同時に、一緒にプレイする人の言葉に真摯に耳を傾けること、選んだカードだけでなく、それを選んだ相手そのものに興味を抱くこと。このゲームを通してそういう経験を楽しんでもらえたら、と思っています。

今回おもに紹介してきたヨシダルールでは、自らの価値観と向き合うだけでなく、他者の言葉を聴くことも重要視しています。自分の価値観と真摯に向き合うからこそ、他者の価値観にも心からの興味を抱くことができます。

自分の思いを言語化すること、その困難さを経験することで、他者の言葉の根底にある部分に思いを馳せることができるのではないか。私たちはそう考えています。

「もしものとき」について考えるきっかけを

ここまで、3回にわたり「もしバナゲーム」について紹介してきました。もし自分が余命半年という状況になったら? 自分の大切な人の生死を代理決定しなくてはいけないとしたら? そんな、誰にでも起こりうる「もしものとき」について、考える機会を作ってみてはいかがでしょうか。

自分や大切な人を思うことで、何か新しい気づきや、自身の心の変化に出会えるかもしれません。

もしバナゲーム(iACPホームページ)
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PROFILE

蔵本 浩一(くらもと こういち
亀田総合病院 疼痛・緩和ケア科 医長
亀田総合病院 地域医療連携室 室長
一般社団法人iACP共同代表

医師。北里大学医学部卒業後、横須賀市立うわまち病院、東京北社会保険病院(現:東京北医療センター)、総合病院国保旭中央病院を経て、2009年より総合病院国保旭中央病院の緩和ケア科主任医員となる。 2010年から亀田総合病院勤務。現在は、疼痛・緩和ケア科 医長ならびに地域医療連携室 室長を兼務。 一般社団法人Institute of Advance Care Planning(インスティテュート・オブ・アドバンス・ケア・プランニング)の共同代表も務め、「もしバナゲーム」の普及と実践の手助けもおこなっている。