【第4回】リハビリテーションの4つのステージとは~がんになったらどうなるの?~

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終末期のリハビリ

終末期は、将来への不安、そして時には死への恐怖を含めた多面的な苦痛である「トータルペイン」へのかかわりも重要です。積極的な治療が困難となった患者さんは、身体機能の低下や日常生活動作にサポートが必要な場合もありますが、トータルペインを抱えておられることも多いです。理学療法士は、患者さんの願う“あるべき姿”を共有させていただき、その実現に向けた支援をおこなっていきます。

例えば、「体力を維持したい」という患者さんには、自転車エルゴメーターと呼ばれる機械を利用した持久力運動を実施することがあります。「トイレに自分で行きたい」と望まれている患者さんには、環境整備を含めて練習をサポートするプログラムを実施します。これは、患者さんの生活の質・生命の質(Quality of Life:QOL)を高めることを重視した支援であり、患者さんとの信頼関係が必要不可欠となります。

理学療法士は、患者さんとマンツーマンで接する機会が多い専門職です。患者さんの声に耳を傾け、寄り添い、医師や看護師などと情報共有することでチーム医療の一員として、トータルペインの緩和に向けた取り組みをしています。

終末期の重要性

残念ながら、人間は誰もがいつの日か最期を迎えます。がん治療においては、5年生存率などの医学データが充実しており、生命予後に関する診断がある程度の割合で確立されています。終末期といわれる段階で、がん患者さんは、これまでご自身がどのように生きてきたかを振り返り、これからどのように最期を迎えるのか不安を感じたり、反対にどのように生きようかと希望を抱いたり、さまざまな思いを抱えています。機能の回復が困難でも、リハビリテーションの本来の意味である、その人らしく生きることの支援、そして、その人らしい最期を迎える支援は大変重要な位置付けとなります。

理学療法士は、身体機能や日常生活動作の維持・改善に向けたサポートをするだけでなく、制度や社会資源を活用して可能な限り社会とのかかわりを持つようサポートしています。

まとめ

がんは、進行や転移による身体の症状や精神症状に加え、治療の影響によって日常生活動作低下を引き起こす可能性があります。これに対して、リハビリテーションは、運動療法や、福祉用具の提案などを通して、可能な限り身体機能や日常生活動作の維持改善を図ることにより、患者さん個々人のQOL向上につながるための支援をしています。

さらに、がんの発症を予防するための運動の習慣作りのサポート、がん患者さんが治療に臨むための体力維持・増強トレーニングといったかかわりも重要性が認識されており、がんのリハビリテーションとして多くの施設で積極的に取り組まれています。年々がん患者やがん経験者数が増加している中、今後は、予防期から終末期に至るまで、ますますがんのリハビリテーションの重要性が高まることが予想されます。

編集部より

がんは誰もが罹患する可能性のある病気です。がんと向き合い、自分らしい生活を送っていただくために、身体面だけでなく精神面もサポートすることが欠かせません。理学療法士は、身体に対して運動療法をおこなうだけでなく、最期を迎えるときまでご本人の気持ちに寄り添い、支援する大切な役割を担っているのですね。

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