【第3回:後編】健康寿命をのばして生涯現役!ベテラン理学療法士に聞く、キャリアと健康管理法~障がいのある子どもとご家族を支援する松野俊次さん~

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リガクラボの連載「健康寿命をのばして生涯現役!ベテラン理学療法士に聞く、キャリアと健康管理法」。長きにわたりお仕事をされていて、現在も生涯現役を目指して活躍されているベテラン理学療法士の方々に、前編では現在のお仕事(セカンドキャリア)について、後編では日々実践している健康管理法についてお話を伺っていきます。

第3回に登場いただいているのはボランティア活動で障がいのある子どもと出会ったことから理学療法士を志し、現在も子どもとご家族の地域での暮らしを支え続ける松野俊次さんです。

PROFILE

松野 俊次さん(まつの としつぐ)

松野 俊次さん(まつの としつぐ

1954年愛知県生まれ。早稲田大学入学と同時に東京 YMCA のボランティア活動を開始。そこでの障がいのある子どもとの出会いから大学卒業後に理学療法士の道に。子ども達への支援を生涯の仕事と決め、愛知県立第二青い鳥学園・豊田市こども発達センター・岡崎市こども発達センターで理学療法士として39年間活動した後、現職の特定非営利活動法人 発達を支援する会じゃんぐるじむ理事長に就任。じゃんぐるじむが運営するこども発達センターじゃんぽっぷにて、相談支援専門員として障がいのある子どもとそのご家族への支援に尽力。

松野さんの健康管理法について

前編の記事では松野さんのキャリアについてお話を伺いました。障がいのある子どもを対象とする障害福祉サービスを運営しながら、現在も相談支援専門員として現場でご活躍されています。お仕事を続ける中で、健康管理のためにどのようなことをされていますか?

松野さん:正直なところ「健康法は何だ?」と問われると困ってしまいますが、強いて言えば「歩く」ことかなと思います。一日8,000歩以上を目標に毎日過ごしています。万歩計をいつも持ち歩き、朝起きた時から夜寝る時までのトータルの歩数をカウントしています。

活動性が低く一日の歩数が少ない時もあります。そんな日は、夕方にあえて歩く時間を30分〜1時間取るようにしています。歩数を稼ぐため、できるだけ車や電車を使わず徒歩での移動を心がけています。

歩くことを大切にされているのですね。歩くことを意識されてきて良かったと思う点はありますか?

松野さん:50代の半ばに突然、心房細動(編集部注:心臓内の心房が小刻みに震えて痙攣し、上手く機能しなくなる病気。不整脈の一種)が時々起こるようになり、さらにもともと高い傾向にあった血圧がしっかり“高血圧”と診断されるようになりました。

病院にかかり血圧の薬も飲むようになり多少落ち着きましたが、心房細動の方は相変わらず突然起こっていました。悩みましたが、昨年心臓の神経を焼くアブレーション術を受けました。

その後、現在まで心房細動は起こっていません。さらに薬のお陰もあって、血圧の方も安定しています。勝手な思い込みかもしれないですが、今体調が安定しているのは、日々歩くという運動を定期的におこなってきたからだと思っています。

一日8,000歩以上を目標に歩くことが松野さんの健康の秘訣

たくさん歩くことを意識した生活が、ご病気にかかった後も体調の安定に繋がっていると感じているのですね。生涯現役を目指すために大切な心がけ・秘訣は何だと思いますか?

松野さん:生涯現役を目指す秘訣は、何より健康だと思います。まずは自立して日常生活を送ることができる健康が基礎にあり、その上で心の健康も含めた社会参加・社会貢献をできる健康が大切だと思います。

そのためには、特別な事ができなくても、日々の生活の中に散歩でも何でも良いので、できる運動(全身を使う運動)を組み込んでいくことだと考えています。

運動を義務ではなく、日々を過ごす中で自然にできるような生活リズムを組み立てられると良いですよね。

また、現代医学を信頼し、体調の変化を感じたらできるだけ早く病院を受診することも大切な心がけだと思います。

充実した毎日を目指して。松野さんの今後の目標

心身の健康が現在も現役でご活躍されている秘訣なのですね。松野さんの今後の目標、チャレンジしたいことなどがありましたらお聞かせください。

松野さん:一番チャレンジしてみたいことは、不登校の子どもへの支援体制作りです。今の事業所で相談支援専門員として仕事をする中で、「発達障害(自閉スペクトラム症・注意欠如・多動症等)」があり二次障害として不登校になっている子が随分たくさんいると感じています。

子どもによって違いがありますが、小学校入学後に登校渋りがあり、徐々に不登校になっていくパターンや、ある日突然、エネルギーが切れたように不登校が始まるパターンなど様々なパターンがあります。ご本人とご家族の悩みは深く、地域によって異なりますが、まだ支援の体制ができ上がっていない地域がほとんどです。今の時代を生きる児童福祉をやってきた者として、何とかできないものかと思っています。

私の人生をM君が切り開いてくれたように、すべては子どもとご家族が教えてくれます。理学療法士として、そして相談支援専門員として長く仕事をしてきていますが、子どもとご家族が先にあり、その方々の支援者として我々は存在しています。子どもとご家族が原点であり、すべてです。そのため、私は現場から離れたくありません。企画の仕事、管理運営の仕事もたくさんやってきましたが、現場での自分の受け持ちを無くさないようにしてきました。これからも健康で働ける限り、皆さんと共に現場で頑張っていこうと思っています。

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