【第11回】シカクの人物図鑑 中谷知生さん:落語で患者さんを笑顔にする理学療法士

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「シカクの人物図鑑」シリーズでは、理学療法士としてお仕事をされていて、その他にも素敵な特技をお持ちの方、別のフィールドでも活躍されている方などをピックアップして紹介していきます。

第11回目となる今回は、理学療法士として勤務する傍ら、“セラピスト落語家”として活動をされている中谷知生さんをご紹介します。

シカクの人物図鑑:プロフィール

中谷 知生(なかたに ともき

■年齢:46歳

■現在のお仕事:
①医療法人尚和会 宝塚リハビリテーション病院 療法部 リハビリテーション研究開発部門長
②“セラピスト落語家” 八軒家良法師
③日本神経理学療法学会 理事

■今のお仕事を始めるまでの経歴:
2003年 吉備国際大学卒業、医療法人近森会 近森病院 入職
2008年 医療法人尚和会 宝塚リハビリテーション病院 入職
2009年 八軒家良法師 襲名
2021年 日本神経理学療法学会理事 就任

■最近あったちょっと気になること:
高校生の息子が学校の文化鑑賞会で落語を見たそうで、帰宅後落語のものまねをしていたのですが、意外と上手くて少し嫉妬しました…。

■SNS

Twitter

落語で患者さんが笑顔になる瞬間が一番うれしい。中谷知生さんの人物図鑑

はじめに、中谷さんの現在のお仕事を教えてください。

中谷さん:宝塚リハビリテーション病院で理学療法士らの学術活動・新規機器の導入などのサポートをおこなうのが現在の主な職務です。また、脳卒中の患者さんで歩けなくなった方を再び歩けるようにする歩行再建について、講習会やセミナーで講演をさせていただく機会も多いです。

また、八軒家良法師の名前で落語家としての活動もおこなっています。こちらは現在、コロナ禍でほぼ停止してしまっていますが…。

このほか、日本神経理学療法学会では広報を担当しており、学会の取り組みをより多くの方にお伝えできるよう活動をおこなっています。

理学療法士としてのお仕事の他に、落語家としても活動されているんですね!まずは中谷さんが、理学療法士を目指したきっかけからお聞かせください。

中谷さん:もともと理学療法とはまったく関係のない企業で営業職をしていました。その仕事にもやりがいを感じてはいたのですが、祖母が大腿骨頸部骨折で入院し、お見舞いに行った際に「理学療法士」という存在を知りました。

人が生きていくことにこれほど密接に関わることができる職業は他にないのではないか…と衝撃を受けたのがきっかけです。

おばあさまの入院がきっかけで会社員から理学療法士に転職されたのですね。「日本笑い学会」にも所属されているとのことですが、落語家としての活動を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

中谷さん:ヒロインが落語家を目指すテレビドラマを見たのがきっかけです。この作品を機に、私自身も落語にどっぷりはまりました。

最初は軽い気持ちで職場の後輩と病棟で落語(のものまねのようなもの)を披露してみたのですが、恐ろしいほど患者さんに笑っていただけず…。
何とか上達したいと思い続けて、現在に至ります(笑)

先生が患者さんを笑わせようと落語を披露されているシーンが目に浮かびました(笑)落語家の活動において、理学療法士資格や理学療法士としての経験、学んだことなどがどのように活かされていると感じますか?

中谷さん:理学療法士として落語をしていて良かったと思うのは、病棟での落語会を通して患者さんの離床時間を増やすきっかけになれることです。落語会はお昼休みにおこなうのですが、普段は食後にベッドに戻られることの多い患者さんも、落語会のある日には「この後落語があるから頑張って座っておきます」とおっしゃる方が多いんですよ。それは理学療法士としてとてもうれしいことです。

また、意外と多いのが、患者さんのご家族からも喜んでいただけることです。「家族の見舞いで病院で過ごす中でいろいろしんどい時間もありましたが、中谷さんの落語を一緒に聞いて笑えることで気持ちが救われました」とおっしゃっていただけると、“セラピスト落語家”冥利につきますね。

このほかには、つい最近の話なのですが、第19回日本神経理学療法学会学術大会の準備委員の方からご依頼をいただき、学会の㏚動画の小噺をさせていただく機会がありました。落語と学会理事の仕事がリンクしたのは初めてでしたので、大変おもしろかったです。

中谷さん:このようにいろいろな形で落語をさせていただいていますが、いつも思うのは、私の下手くそな落語をみなさんに喜んで聞いていただけるのは「落語をする理学療法士」という珍しさがベースになっている、ということです。大学の落研などで本格的に腕を磨いた方と比べると私の落語の技術はまだまだ未熟ですが、理学療法士という資格と絡めたことでさまざまな機会をいただけていると思っています。
それがなければ、ただの落語好きのおじさんなので…(笑)

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