
【中編】佐藤弘道さんインタビュー 脊髄梗塞の後遺症と向き合う体操のお兄さん~今日という日は今しかないから、毎日ドキドキ・ワクワクしていたい~

心身ともに良い状態をキープできるよう、日々を大切に
佐藤さんは明るい笑顔で何事にも挑戦されるイメージですが、今、新たに挑戦されていることや今後取り組んでいきたいことを教えてください。
佐藤さん:脊髄梗塞の啓蒙活動は今後も続けていきたいですね。あとこの記事が掲載される2025年の7月で、発症から1年ちょっと経ちます。3年以内を目安として、何とか普通に歩けるようになって、また熊本城マラソンに出場して軽いジョギングができたらいいなと思っています。
リハビリテーションというのは、10日後、1か月後、1年後、いつ結果が出るかはわかりません。明日、明後日のためにやっているわけではないんです。すぐに結果が出ないと気分が落ち込むこともありますが、今、リハビリテーションを頑張っている方たちと一緒に、理学療法士の方たちを信じて頑張っていきたいと思います。身体も心も状態が落ちないように、日々の活動をしっかりやっていきたいですね。
佐藤さんは「ヘルプマーク」を付けられていることを、ブログやSNSなどを通じて発信していらっしゃいます。ただ、病気や障害で手助けが必要な方に具体的にどのように接するのがよいか、わからない方も多いのではと思います。佐藤さんご自身は周囲の方々にどう接して欲しいと考えていらっしゃるのか、私たちができることを教えていただけますか?
佐藤さん:ヘルプマークを付けるようになったのは、周りの人に介助してほしいというよりは、優しく見守ってほしいという気持ちからです。自分の見た目があまり健常者と変わらないからか、人が多い場所を歩いているとぶつかってくる人もいて、怖い思いをしました。でも僕は、よけたくても咄嗟によけることができません。
佐藤さん:自分がヘルプマークを付けるまでは意識したことはなかったのですが、自分が付けるようになった今は、ヘルプマークを付けている方が目に付くようになりました。ヘルプマークを付けている子どもがいじめにあった、という話も聞きました。だからこそ自分がヘルプマークについて発信することで、認知度を上げていければと考えています。ヘルプマークを付けている方を見かけたら、どうか温かく見守ってください。何か手伝ってあげなくちゃと構える必要はありません。 今後ヘルプマークが普及することで、たくさんの方が優しい心を持てるようになるといいなと思っています。そうしたら世の中ももっと優しくなると思うんです。
「大人になってから何かに挑戦をする人」へのメッセージ
佐藤さんの姿を見て、挑戦することの素晴らしさを感じて勇気づけられている方はとても多いと思います。しかし、年齢や病気、障害、ケガなど様々な理由で、何かを諦めざるを得ないと感じている方もいらっしゃると思います。何かに挑戦するための一歩を踏み出すために、リガクラボの読者に応援メッセージをお願いします。
佐藤さん:イライラ、カリカリしても、ドキドキ、ワクワクしても同じ一日です。それなら僕はドキドキ、ワクワクする一日にしたい!と思っています。以前Xでそのような投稿をしたのですが、共感してくださる方も多いようでした。
今日という日は、今しかありません。ネガティブなことに囚われていてはもったいないと思います。前向きな気持ちで、いろんなことにチャレンジしてください。
とは言っても、皆さんそれぞれの立場でさまざまな辛いことがあると思います。そんなときは、僕のことを思い出してください。そして、辛いことがあったときでも、周りに助けを求めることができれば楽になるはずです。誰もが一人ぼっちではありません。一緒に頑張っていきましょう!