
楽しく身体を動かそう!【前編】-子どもの運動を習慣化して運動能力を高めるコツ

運動が上手くなるコツ
身体を動かすことを避けてしまう理由の1つに、「運動が苦手」であることが挙げられます。自分は運動ができないと思ってしまうと、運動する機会を避けるようになり、活動量が減る原因となります。
では、運動が上手くなるにはどうしたらよいのでしょうか。
少しずつできることを増やしていこう!
運動は急に上手くなるわけではないので、少しずつできることを増やしていきましょう。例えば、ボールを投げる運動をする場合、まずはしっかりと握れて、適度な重さのあるボールを用意しましょう。最初は近い場所に的を置いて、できるようになったら少しずつ距離を伸ばしていきましょう。また、次は速く投げることを課題にするなど、子どもの成長に合わせて課題や環境を設定することで、運動の上達につながります。

全力を出そう!
運動技術を向上させるためには、全力を出す機会を作ることも大切です。普段の生活では、全力で走ったり動いたりする場面は多くありません。鬼ごっこのように全力で逃げたり追いかけたり、全力を出さないと上手に凧が揚がって行かないような状況を作ることで、子どもの能力を引き出しやすくなります。
ケガを予防してスポーツを楽しむためには?
体育の授業やスポーツの前に「ストレッチしないとケガするぞ~」と言われた経験はありませんか?ケガを予防してスポーツを楽しむためには、運動前後のストレッチを心がける必要があります。実は運動の前と後では、適切なストレッチの方法が違うのはご存じでしょうか。それぞれに適した準備運動をおこなうことで、ケガを防ぎ、より良いパフォーマンスが発揮しやすくなります。
運動前に準備運動をしよう!
運動前におこなうべきなのは、「動的ストレッチ」です。動的ストレッチとは、身体を大きく動かし、その反動で筋肉を伸ばすストレッチのことです。
具体的にどのような動的ストレッチを実施したらよいのかは、各競技団体が推奨する傷害予防プログラムを参考にするといいでしょう。競技団体が考案したプログラムであれば、競技特性を大いに踏まえた内容になっており、ケガ予防だけでなくトレーニングとしても有用です。
ぜひ、お子さんが取り組んでいる競技の傷害予防プログラムを調べてみて、動的ストレッチを実施してみてください。
運動後は整理運動をしよう!
運動後のクールダウンとしておすすめなのが、反動をつけずにおこなう「静的ストレッチ」です。静的ストレッチは、動的ストレッチとは反対に、関節をゆっくり動かし、動きが止まったところで数秒間筋肉を伸ばすストレッチのことです。疲れた筋肉をリラックスさせて、翌日に疲れを残さない、疲労回復が静的ストレッチの主な目的です。
運動で使った部位や筋肉痛になりそうな筋肉を、20~30秒かけてゆっくりと伸ばします。静的ストレッチをおこなう際は、呼吸を止めず、反動をつけないように注意しましょう。以下のイラストを参考にして、静的ストレッチを実施してみてください。

おわりに
前編では身体活動とは何か、運動を習慣にするコツ、運動技術を向上させる方法などをご紹介しました。子どもの健やかな成長には身体活動が重要であり、家族と一緒に楽しみながら取り組むことで、自然と運動習慣を身につけられます。また、無理をせず、段階的に運動スキルを身につけることも大切です。そして、運動の前後に適切なストレッチをおこなうことで、安全にスポーツを楽しみましょう。
日本理学療法士協会が発行する「Enjoy Your Life」シリーズの本編では、発達性協調運動症(DCD)についても説明しており、無料でご覧いただけます。また、冊子の有償販売もしていますので、ご興味がある方はぜひご購入下さい。
後編では、医療的ケアが必要な子どもたちとその家族が、外出やスポーツを楽しむ方法についてお話ししていきます。