発達障害のある人が生き生きと働くには【前編】-お子さんの特性に合う仕事・職場の探し方
特性を理解し、強みを発見しよう
得手・不得手の理解が、就労の第一歩
発達障害のある方が社会に出て活躍するには、自分自身で特性を知り、強みを生かすことが大切です。また、苦手なことや配慮が必要なことを人に伝えられるかどうかも大事なポイントです。
まずは、お子さんにどのような特性があるか、客観的に整理してみましょう。独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センターが「発達障害の特性チェックシート」を公開しているのでぜひ試してみてください。苦手なことはチェックしづらいかもしれませんが、理解することで対応の仕方が見えてきます。
なお、あくまでも簡易的なチェックですので、ご本人にチェック(○印)をつけてもらった後に、支援者と相談しながら一緒に整理することをおすすめします。
特性を強みとしてとらえ直す「リフレーミング」
発達障害の特性は「強み(長所)」と「弱み(短所)」の両面があります。しかしご本人にとっては「自分の特性に強みがあるとは考えられない」と思う方も多いことでしょう。そんな時に試していただきたいのが「リフレーミング(reframing)」という方法です。リフレーミングとは、物事の枠組み(フレーム)を変えることで、その意味や解釈を変化させる心理学的技法です。
例えば、ADHDの方は「落ち着きがない」ことを自分の弱みだと感じるかもしれません。しかし視点を変えて見ると、「好奇心が旺盛である」という強みでもあることがわかります。いくつかのリフレーミングの例を見てみましょう。
リフレーミングをしてみよう!
| 短所と思うこと(例) | 強み |
| 失敗が多い | ⇒ 挑戦したいことが多い |
| 作業が遅い | ⇒ 丁寧、 慎重に作業に臨める |
| 心配症である | ⇒ 先を見通す習慣がある、 慎重である |
| 飽きっぽい | ⇒ 興味の範囲が広い |
| 一人で抱え込む | ⇒ 責任感が強い |
| 頑固である | ⇒ 自分の意見を持っている |
| 落ち込みやすい | ⇒ 責任感が強い |
| 面倒くさがり | ⇒ 細かいことを気にしない |
| 消極的 | ⇒ 他人を優先する |
| マイペース | ⇒ 周りに流されない |
| 意見が言えない | ⇒ 深く考えられる |
子育て中の親御さんは日常生活におけるお子さんへの声掛けでも、リフレーミングを意識してみてください。
ついついお子さんに、「まだ半分しかやってないの!?」「途中でやめちゃったんだね」と指摘してしまうような場合、リフレーミングをすると、「半分はもうできたんだね!」「ここまではできたんだね!」と言い換えることができます。
リフレーミングで、ものの見方を変えることができれば、家族など周りの支援者もマイナスの言葉をプラスの言葉に変えられます。そして、本人の自己肯定感を上げることができるのです。
自分の強みを生かせる、向いている仕事を見つけるには
発達障害のある方が自分に向いている仕事を見つけるうえでは、自分の強みを生かせる仕事を探すことが大切です。では、ASDやADHDの方は、どのような仕事が向いているのでしょうか。
【ASDの方に向いている仕事】
- ルールや枠組みに従った仕事
- 興味のある分野への集中力が高いことを生かせる仕事
- 論理的な思考を生かせる仕事
- 根気強さが求められる仕事
このような特徴を踏まえ、ルールがはっきり決まっていて黙々と業務を進められる、以下のような業務は特に向いていると考えられます。
具体例
- データ入力、校正等、正確さが求められる仕事(事務系)
- ライン作業等、仕事の手順や方法が決まっている仕事(点検業務や作業系等)
- 論理的思考力が必要な技術職(プログラマー等)
【ADHDの方に向いている仕事】
- アイデアを求められる仕事
- 特定のことについて集中力が必要な仕事
- 行動力や決断を求められる仕事
- コミュニケーションの機会が多い業務(個人差による)
このような特徴を踏まえ、比較的次々と場面や展開が変わる、以下のような仕事は特に向いていると考えられます。
具体例
- コミュニケーション能力を基に成果を上げる営業や、販売
- クリエイティブなデザイナー
- 特定の分野で集中力を要するエンジニア
また、LDについては、特定の苦手分野について代替手段や補助ツールの活用、もしくはそこを回避した役割を担える職場がマッチしやすいと思われます。
発達障害のある方は頑張りすぎに注意
自分の強みを生かした仕事に就くことができれば、やりがいを感じて、頑張ろうと思えることでしょう。ただ、気をつけていただきたいのが「頑張り過ぎ、頑張らせ過ぎにならないように注意する」ことです。
ASDやADHDの方の中には、興味のあることに高い集中力を発揮する方が多いものです。しかし、集中し過ぎてしまい、疲れがたまってしまうこともあります。また、自分の身体や心の状態を把握して、伝えることが苦手な方も多くいらっしゃいます。
本人が頑張り過ぎていないか、また職場の上長が頑張らせ過ぎていないかを、家族の方や支援者が見守ることが大切です。