発達障害のある人が生き生きと働くには【前編】-お子さんの特性に合う仕事・職場の探し方
社会の多様性が広がるなかで、「自分らしく働くこと」がますます大切になっています。発達障害のある方も、特性を理解し、それを生かせる環境を見つけることで、安心して力を発揮することができます。
本記事では、理学療法士であり、発達障害がある子どもたちを長年支援されてきた横浜市教育委員会の竹田智之先生にお話を伺い、発達障害のある方の仕事選びや就労継続のコツ、支援制度の利用などについて3回にわたりお届けします。
発達障害のある人が生き生きと働くには
発達障害のある方が就労するうえで知っておきたいこと
主な発達障害の種類と特徴
発達障害は、脳機能の発達に関係する障害です。発達障害のある方は、コミュニケーションや対人関係づくりは苦手なことが多いのですが、優れた能力を発揮する場合もあり、周りから見てアンバランスな様子が理解されにくいことがあります。まずは主な発達障害の種類と特性について見ていきましょう。
●自閉スペクトラム症(ASD)
「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動、こだわり」「興味・関心のかたより」などの特徴を持つ障害です。
●注意欠陥多動症(ADHD)
「集中できない(不注意)」「じっとしていられない(多動・多弁)」「考えるよりも先に動く(衝動的な行動)」などの特徴を持つ発達障害です。
●学習障害(LD)
全般的な知的発達に遅れはないのに、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力を学んだり、おこなったりすることに著しい困難を示す様々な状態をいいます。限局性学習症(SLD)とも呼ばれます。
なお、発達障害は複数の特性が重なって現れることもあり、特性の程度や年齢(発達段階)、生活環境、性格などによっても症状は異なります。発達障害は多様であり、一人ひとりの特性に応じた配慮や支援が必要であることを理解しておきましょう。
発達障害によくある困りごととは?
以下のような困りごとがある場合は、発達障害の可能性があるかもしれません。
| 人との関わり方 | 一人遊びが多い。一方的でやりとりがしにくい。大人や年上の子、あるいは年下の子とは遊べるが、同級生とは遊べない等 |
|---|---|
| コミュニケーション | 話は上手で難しいことを知っているが、一方的に話すことが多い。おしゃべりだが、先生からの指示が伝わりにくい等 |
| イマジネーション・ 想像性 |
相手にとって失礼なことや相手が傷つくことを言ってしまう。友だちがふざけてやっていることを取り違えて、いじめられたと思ってしまう。急な予定変更に不安や混乱の様子がある等 |
| 注意・集中 | 一つのことに没頭すると話しかけても聞いていない。落ち着きがない、集中力がない。忘れ物が多い等 |
| 感覚 | ざわざわした音に敏感で耳をふさぐ。雷や大きな音が苦手。靴下をいつも脱いでしまう。極端な偏食等 |
| 運動 | 身体がクニャクニャとしていることが多い。極端に不器用、食べこぼしが多い等 |
| 学習 | 話が流暢で頭の回転が速いことに比べて、作業が極端に遅い。図鑑や本を好んで読むが、作文を書くことは苦手等 |
| 情緒・感情 | 極端な怖がり。ささいなことでも注意されるとかっとなりやすい。感情が高まると、なかなか興奮がおさまらない等 |
出典:発達障害って、なんだろう?(政府広報オンライン)より抜粋
上記の特性により、発達障害のある方は、子ども時代から保育園や幼稚園、小学校などの集団に入ると、様々な問題や困難に直面することがあります。そのため、なるべく早い時期から適切なサポートを受けて、社会に適応して、自分らしく成長できるようにすることが大切です。
このような困りごとがあり「うちの子は発達障害かもしれない……」と気になったら、お住まいの市町村の窓口や「発達障害者支援センター」などに相談してみましょう。早めに発達障害に気づき、適切な療育につなぐことができれば、社会に適応する能力を身につけ、多彩な能力を伸ばせます。