【前編】もしバナゲームをやってみた~緩和ケアや終活を考える~
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もしも、自分が余命宣告されたら……? 万が一に備え、大切な人とご自身の「最期」について話しておきませんか。
ここ数年で、「終活」や「アドバンス・ケア・プランニング」という言葉が浸透し、死や人生の最終段階についてあらかじめ考える習慣が芽生えてきています。しかし、自分の最期についてじっくり考え、周囲に意思を共有している人は少ないのではないでしょうか。
もっと気軽に死について対話することができないか。そんな思いで医師たちが作ったゲームがあります。その名も、「もしバナゲーム」です。
このゲームは、「自分がもし治療困難な病に罹り、余命半年〜1年であるとしたら……」という設定のもとおこなわれます。ゲームを通して、その時自分はどんなケアを望むか、誰に寄り添われたいかなどを考え、周囲に共有するのです。
今回はこの「もしバナゲーム」を、編集部のメンバーで実際にプレイしてみました。その様子をお届けします。
【特集】もしバナゲームをやってみた
もしバナゲームとは?
そもそも、このゲームのルーツとなっているのは、アメリカのNPO法人が開発した「GO Wish Game™」というカードゲームです。2013年、千葉県にある亀田総合病院の医師たちが、このカードの日本語版を制作し、「もしバナゲーム」と名付けました。
「もしバナゲーム」は、トランプ大のカード36枚で1セットとなっています。そのうちの35枚に、重病のときや死の間際に大事なこととして、人がよく口にする言葉が記されています。
例えば、どのようにケアしてほしいか、誰にそばにいてほしいか、自分にとって何が大切かなどの内容です。そして残りの1枚は「ワイルド・カード」といって、他の35枚のカードには書かれていない独自の希望がある場合に使います。
1人でも2人でも、またはもっと多くの人とでも使うことができますが、オリジナルにはない日本独自のルールとして、「ヨシダルール」という4人プレイ用のルールが追加されました。
「もしバナゲーム」の遊び方
「もしバナゲーム」ソリティア
1人用の使い方です。36枚のカードの中から、ルールに従い10枚を選択します。その後、なぜその10枚がトップ10なのかを考えます。また選ばなかったカードの山についても、なぜ選ばなかったのか、その理由を考えます。こうすることで、自分にとって何が重要なのかを考えることができます。
「もしバナゲーム」ペアーズ
2人用の使い方です。ソリティアのルールと同様に、カードを選び取る作業を共有しながら進めます。基本的には2セットのカードで2人同時におこないますが、1セットのカードで順番に進めていくことも可能です。自分に万が一のことがあったとき、自分の代理人となるであろう家族や大切な人とおこなうのもいいでしょう。
「4人用ルール(ヨシダルール)」
より短時間で気軽に遊べるように考案された、日本独自の4人用ルールです。
- 各プレイヤーに5枚ずつカードを配ります。次に、場に5枚のカードを表向きに置きます。残りのカードは中央に積んでおき、積み札とします。
- 自分の順番が回ってきたら手札5枚の中から、不要なカードを1枚、場に置かれたカードと「必ず」交換します。1周した後は、順番が回ってきた際に交換したいカードが場にあれば「交換」、なければ「パス」することができます。1度「パス」した場合でも、その後、場に欲しいカードが出てきた場合は交換可能です。
- 全員が「パス」をしたら場のカードを流し、積み札から新たに5枚のカードを場に表向きに置きます。
- 中央の積み札がなくなるまで、2,3を繰り返します。手元には、選択した5枚のカードが残ります。
- 手元の5枚のカードの中で、特に大切だと思うカード3枚を選びます。そして、その理由を考えます。
- 最終的に選んだ3枚のカードを一人ずつ披露し、それを重要だと考えた理由など、自分の思考過程を他のプレイヤーに説明します。
ヨシダルールでは、自分自身の価値観に気づくことができるだけでなく、他のプレイヤーの価値観に触れることで、新たな気づきを得ることができるのがポイントです。
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