【第1回】リハビリテーションの4つのステージとは~各ステージの理学療法士の役割~

タイトルとURLをコピーしました。

「リハビリテーション」と聞くと読者の皆さまはどういったシーンを思い浮かべますか。ケガや病気で身体をうまく動かせなくなってしまった方が、身体を動かす機能を可能な限り回復できるように、歩行練習や筋トレをおこなうというイメージをされる方が多いと思います。しかし、リハビリはそれだけではありません。

今回の連載では、リハビリがケガや病気の治療状況によって主に4つのステージに分けられており、ケガや病気の状態によってその内容が異なることを、具体的なケースに沿って紹介します。各ステージで理学療法士がおこなうことを知っておくと、いざご自身やご家族がリハビリを受ける日が来たとき、安心して取り組んでいただけるのではないでしょうか。まず第1回では、リハビリにおける理学療法士の役割と4つのリハビリのステージについて説明します。

リハビリテーションと4つのステージ

リハビリは本来、一人ひとりの人間が、ケガや病気による障害があっても人間らしく生きることを支えることを目指すもので、単にケガや病気の治療を目的としたものではありません。障害があっても社会復帰や社会参加ができるよう、ケガや病気になった直後だけでなく、回復して日常生活に戻ってからも、その時の状態に適したリハビリを提供して、その人の暮らしを支えていきます。

そして、このリハビリの主な4つのステージとして、急性期、回復期、維持期・生活期、終末期があり、多くの専門職がそれぞれの専門性を活かして連携しながらリハビリをおこないます。

  • 急性期:手術直後や発症早期の症状の安定を図るステージ
  • 回復期:治療が終わって、日常生活に必要な動作を獲得するステージ
  • 維持期・生活期:退院後、社会生活への復帰をサポートするステージ
  • 終末期:心身や生活全体の生活の質を高める「ケア」を重視したステージ

理学療法士の役割とは?

理学療法士は、ケガや病気、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対して、リハビリを提供する医療専門職の一つです。理学療法を用いて、立つ・起きる・歩くといった生活の基本となる運動機能の回復・維持を図り、最終的にはQOL(生活の質)の向上を目指します。具体的には、運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いた治療や、筋力・動作能力や関節可動域などの評価に基づき患者の課題を設定した運動療法をおこないます。

リハビリの4つのステージでは、対象となる人の重症度や医学的リスクが異なるため、理学療法士に求められる役割も異なります。

それでは、それぞれのステージについて詳しく見ていきましょう。

次へ:急性期~維持期・生活期