通所施設から訪問サービスを受けられる?厚生労働省の事務連絡を読み解く

タイトルとURLをコピーしました。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、普段利用されている通所リハビリテーション・通所介護事業所・短期入所施設など(以下、通所施設等)が休業となっている方や利用を控えている方も多いのではないでしょうか。感染は怖いけれどもリハビリテーションなどのサービスを受けられないのは困りますね。

今回は、その対応策として厚生労働省が都道府県等に行った事務連絡の内容や、それを受けての通所施設等の対応について紹介します。

休業しているのにサービスが提供できるというのはどういうこと?

厚生労働省は2020年2月18日に、都道府県などが地域での流行早期の段階で公衆衛生対策の観点から必要であると判断した場合、社会福祉施設等に対して休業を要請することができるとの事務連絡(※)を発信しました。それを受けて都道府県などから通所施設等に休業が要請され、サービスをできる体制はあっても営業できない事業所が出てきました。

※事務連絡とは…行政機関において、必要な事項を伝達するために、国から地方自治体に対して送付される文書のひとつ。

一方、高齢の方が日ごろ受けていた通所施設等のサービスを受けられずに自宅などに閉じこもっていると活動量が低下し、生活不活発病(動かないことにより心身の機能が低下して動けなくなる状態)になることがあります。

家の中で身体を動かそう!生活不活発病予防のすすめ

そこで、2月24日付の事務連絡で、休業している通所施設等とは異なる事業所や公民館等を使用してサービスを提供したり、自宅で生活している利用者に対して必要な体制を整えるなどしてできる限りのサービスを提供した場合など(以下、代替サービス)に、そのサービスの報酬を受け取れることとしました。通所施設等が予防のため自主的に休業した場合も可能との事務連絡もされています。

ただし、代替サービスを提供できるかどうかはその通所施設等の判断によります。そのため、実際にサービスを受けられるかどうかは、ケアマネジャーや担当者に問い合わせてください。

休業しているわけではないけれど、外出するのは不安という方は

普段利用している通所施設等が休業しているわけではないけれど、外出を控えたいという方は、通所サービスと訪問サービスを提供している施設であれば、訪問サービスへの切り替えができるかもしれません。ただし、ケアプランの変更などの手続きが必要になるので、ケアマネジャーに相談してみてください。

実際に代替として訪問サービスを提供している理学療法士の小川達矢さん(株式会社ワン・ライフ リハビリテーションOne清新 所長)にお話をうかがいました。

訪問に切り替えた理由

コロナウイルスの影響で、人が多く集まるところへ外出することによる感染の恐怖心が強く、利用をキャンセルされる方が増えました。集団感染のリスクを最小限にすること、かつ、恐怖心の強い方達に対しても、デイサービスや介護保険本来の役割である支援や介護予防を継続し、安心して運動やリハビリテーションができる方法を考えた結果、訪問するかたちに切り替えさせていただきました。

ご利用者様の声

良い点は、ご利用者様自身からは、自宅ではなかなか一人で運動したりすることができないので、来てもらうことでやる気になる。自分の家で工夫してストレッチや運動する方法を知ることができてうれしい、という声をいただいています。

また、ご家族から、普段デイサービスで行っている体操を見ることができて、自分も一緒にやってみようと思った。体操を覚えて、利用日以外も声掛けをして運動してもらうようにします、という言葉をいただきました。

悪い点として、マシンができないこと、外に出られないこと、他の利用者と会えないことなどを挙げられていました。

実施した側の感想

普段デイサービスでは見ることができない生活場面を直接見ることができるので、今後通所が再開した時に生活場面をイメージしながら課題解決に向けたアドバイスができると感じています。リハビリ専門職以外のスタッフも、自分たちの関わりが生活を変えられること、運動することや筋力をつけることで生活が変わることを実感できています。

訪問看護や訪問リハビリと区別し、あくまでも通所サービスの計画に基づいて行うということが必要なので、今までやっていたサービスの質をより高めることができるチャンスと感じています。

しかし、当デイサービスでは自立支援に力を入れており、普段からご利用者様に直接的に介入する(触れる)ことをしていないため、体操や自主トレーニングを指導していますが、訪問になることでマッサージなどを期待されることもあるので難しさを感じることもあります。

ご利用者様のご家族も外出する機会が減少しているため、一緒に体操していただいたり、自主トレーニングに対する声掛けを促してもらえたりと、地域におけるリハビリテーションの必要性と可能性を感じることができています。

通所施設等の体制などによっては、訪問サービスを実施できない場合もあります。その際は自分のできる範囲で体操をしたり、家事に取り組むなど、意識して身体を動かすことでも効果はあります。3月11日に掲載したリガクラボの記事を参考にしてみてください。

家の中で身体を動かそう!生活不活発病予防のすすめ