【第2回】リハビリテーションの4つのステージとは~骨折したらどうなるの?~

回復期のリハビリ

回復期リハビリの目的は、集中的かつより実践的な練習をすることにより、最大限に身体機能の回復を図り、自立した日常生活、社会生活を実現させることです。リハビリプログラムは、急性期リハビリでもおこなってきた機能練習や歩行練習を継続し、さらに病棟では、起床から就寝するまでの入院生活もリハビリの一部と捉えて、生活場面での動作をご自身でできるよう理学療法士と看護職・介護職が協働し、練習をおこないます。

回復期リハビリの流れ

機能練習や歩行練習

日常生活における動作練習(移動や整容、更衣、排泄、入浴動作)

社会生活に向けた動作練習(料理・洗濯などの家事、買い物、公共交通機関を利用した外出)

また、退院前には理学療法士が患者さんの自宅へ訪問し、快適で安全な生活が送れるように自宅の環境を整えます。

回復期リハビリの例

維持期・生活期のリハビリ

維持期・生活期のリハビリの目的は、回復期で獲得した能力を維持・向上させ、それを日常生活で実践することです(生活リハビリ)。また多くの患者さんは、転倒により大腿骨頚部骨折を受傷している場合が多いので、再転倒による二次骨折(再骨折)を起こさないよう予防することも重要となります。そのため、維持期・生活期のリハビリプログラムは、生活リハビリに加え、下肢筋力やバランス能力を維持・向上するためのトレーニングをおこなうとともに、日常生活の活動量を段階的に増やします。これにより転倒予防だけでなく骨粗鬆予防にもつながります。

日常生活において活動量を段階的に増加させる具体的な方法は、厚生労働省が「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」に示しています。これは健康づくりのため、今より10分多く体を動かそうというものであり(+10:プラス・テン)、活動量を増やすヒントとしてご参照ください。

また、転倒しないための生活環境の調整も重要であり、洋式生活への転換、整理整頓(床に物を置かないなど)や、危険なところに手すりをつけることなどが挙げられます。また、生活するうえで、ズボンや下着を履くときは座った状態でおこなうようにすることや、歩行補助具を使用するなど転倒しないために工夫することが大切です。

併せて、薬剤や食事など骨粗鬆症の治療もおこない、二次骨折の予防をすることも重要となります。介護が必要な状態とならないように足腰を鍛えて、運動器の障害により、立ったり歩いたりするための身体能力(移動機能)が低下してしまうロコモティブシンドロームの予防も欠かせません。

まとめ

超高齢社会となり大腿骨頚部骨折の発生数は年々増加しています。2040年には大腿骨頚部骨折を含めた大腿骨近位部骨折患者は32万人に達すると推計され、介護が必要となる高齢者はより一層増加すると見込まれています。

大腿骨頚部骨折の治療は、骨折部位の治療のみではありません。骨粗鬆症の治療や転倒・骨折予防などの治療・生活指導をしつつ、地域連携パスなども活用し、急性期、回復期、維持期・生活期で情報を共有して、一環とした取り組みをおこなっていきます。

理学療法士も、各ステージで適切なリハビリをおこない、可能な限り元の日常生活に戻れるよう支援しています。もし骨折をしても、手術後早期から始まる大腿骨頚部骨折のリハビリに取り組んでいただき、寝たきりになることなくすこやかに、健康寿命をのばしていって欲しいと思います。

編集部より

大腿骨頚部骨折のリハビリは早期から始まることを知っていただけたのではないでしょうか。大腿骨頚部骨折は高齢者に多いのですが、骨折は年齢問わず、誰でもなりうる可能性があるケガです。日頃から骨がもろくならないように適度な運動を心がけるとともに、転倒に注意しながら自分らしい生活を送れると良いですね。

※参考文献:日本整形外科学会診療ガイドライン委員会/大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン策定委員会編著(2021)『大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021改訂第3版』日本整形外科学会/日本骨折治療学会監修,南江堂

【参考資料】

「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」
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