【後編】女性の高齢期の過ごし方~いきいきと健康な生活を目指そう~

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女性はライフステージごとに、さまざまな心身への変化が起こります。前編では更年期についてお話ししましたが、更年期を過ぎると次に訪れるのは「高齢期」です。

令和3年の総務省のデータによると、日本の総人口に占める高齢者の割合は29.1パーセントと過去最高でした。また、同年の厚生労働省の発表では、日本人の平均寿命は男性81.64歳、女性87.74歳であり、日本は世界有数の長寿大国でもあります。

超高齢社会で女性は男性よりも長生きする傾向がある中、一人暮らしになった場合の生活や健康寿命に対する不安は、多くの女性が感じていることかもしれません。今回は、女性の高齢期に現れる身体症状や、日常で気をつけるべき点などについてご紹介します。

高齢期とは

国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の方を高齢者としています。高齢期は、この65歳以上の期間を指します。

「平成28年版厚生労働白書 -人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える-」によると、40歳以上の男女に「あなたにとって、老後に不安が感じられるものは何ですか」と尋ねたところ、「健康上の問題(73.6パーセント)」が最も多く、次いで「経済上の問題(60.9パーセント)」、「生きがいの問題(23.1パーセント)」という結果でした。

上記のアンケートからも、40歳以上の7割以上の方が老後の健康に対する不安を感じていることがわかります。健康寿命(※)をのばすためにも、今から日常生活でさまざまなことに気をつけておくことが大切です。

※編集部注:健康寿命
健康で日常生活を支障なく送ることができる期間のこと

高齢期はどんな身体的特徴がある?

高齢期は、白髪の増加、しわ・たるみ・しみ、円背、身長低下・体重減少などといった外観の変化のほかに、下記のような身体内部の変化がみられます。

  • 臓器機能の低下:長年の使用により各臓器の機能低下が起こる
  • 予備力・回復力の低下:ストレスが加わったときに対応できる潜在能力(予備力)が低下し、少しのストレスをきっかけに機能低下や病気を生じやすい状態になる。また、元の状態まで戻る回復力も低下する
  • 恒常性維持機能の低下:体温調節能力の低下、発熱・下痢・嘔吐などで脱水症状が起こりやすくなる、血糖値のコントロール能力の低下、血圧が上がりやすくなるなど、外部環境の変化に適応する能力が低下する
  • 複数の症状や病気を抱えやすい:病気が治っても障害が残ることや慢性化することもあり、病気や障害を複数抱えていることが多くなる
  • 日常生活動作(ADL)が低下しやすい:病気やケガで安静・臥床期間が長くなることにより、関節拘縮・筋力低下などの運動器機能の低下や褥瘡の発症、深部静脈血栓症、尿路感染などを起こし、日常生活動作が低下する
  • 典型的な症状に当てはまらないことが多い:一般的な病気の症状や徴候には当てはまらない場合も多い
  • 重篤化しやすい:臓器の機能低下が起こっている状態のため、急に状態が変わり重篤化しやすい
次へ:高齢期に気をつけたいこと
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