【第5回】みんなのリハビリ体験記〜孤独と焦りから救ってくれた励ましの言葉~

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連載「みんなのリハビリ体験記」では、ご自身やご家族が、病気やケガによるリハビリをこうやって乗り越えた、こんな素敵なエピソードがあった、現在前向きに取り組んでいる…など、読者の皆さんのリハビリに関する体験談を紹介しています。

第5回は、ご自身が理学療法士として働く中で痙攣発作を起こし、歩行、嚥下障害等のためにリハビリに取り組み、仕事復帰を果たした方の体験記をお伝えします。

PROFILE

ペンネーム:装具の理学療法士 さん (27歳・女性

千葉県在住
リハビリのきっかけ:痙攣発作

孤独と焦りから救ってくれた励ましの言葉

突然襲われた痙攣発作

理学療法士として仕事に邁進していたある日のことです。突然、痙攣発作を起こした私は、病院に救急搬送されました。その後、痙攣重積発作という、痙攣が長時間続き、意識が回復しない状態に悪化し、1週間もの間ICUで人工呼吸器を装着することになりました。

そして、まだ意識が戻らない人工呼吸器管を装着した状態から理学療法が開始され、外した後には作業療法、言語聴覚療法を交えたリハビリテーションもスタートしました。

リハビリをしながらの入院生活中、全身状態は一進一退を繰り返し、思うように快復していきませんでした。人工呼吸器を外した後には、食べ物を飲み込むことが難しくなる嚥下障害等も加わり、体力がどんどん低下していくのを体感する日々…。点滴以外からは栄養を摂取することができなくなり、歩くことはおろか、起き上がることも困難でした。

何で自分が…。思うようにいかないリハビリ生活

病院で両杖を使って歩行の練習をする様子

私はもう理学療法士として仕事に復帰するのは厳しいのかもしれないと諦めかけていました。それでも、少しずつリハビリを進めていくと、とろみがついた水分が摂取できるようになり、両杖による歩行ができるようになりました。

しかし、入院の長期化に伴い、復職への焦りが募っていくことで、「何で自分が…」という気持ちが強くなっていきました。そんな私の気持ちを察した担当の理学療法士の方が、「着実に前に進んでいるよ。今の経験は必ず自分を強くしてくれる。大丈夫」と声を掛けてくれました。

この言葉は一人で孤独や焦りを感じていた私の大きな励ましとなりました。それと同時に「自分もこんな素敵な理学療法士になりたい」と強く思いました。

リハビリの活力となった手作りの花束と手紙

転院の際に担当の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士からもらった手作りの花束

リハビリと治療のために他の病院へ転院する際、お世話になった理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の皆さんから手作りの花束をいただき、その後の辛い治療も頑張ることができました。

転院前にいただいた担当の理学療法士の方からの手紙には、

「今を乗り越えたら人としても理学療法士としても、もっと成長できると思う。な~んて数年先輩なだけの私が言うのもあれですが…(笑)でも、患者さんの気持ちがわかる理学療法士は素敵だし、自分の強みになると思う。まだまだ大変なことはたくさんあると思うけれど、リハビリももう少し続くと思うけれど、前だけ見て頑張って欲しい!」

との激励のメッセージが書かれていました。何度も何度も擦り切れるほど読み返し、リハビリ生活を乗り越えた今でもこのメッセージが日々の活力となっています。

その後、転院先での治療が終わり、元の病院に戻った際には、1日2回理学療法の時間を設けてもらいリハビリに励みました。そして、ついに迎えた退院の日、担当の理学療法士の方に「無事に送り出すことができて良かった!」と笑顔でおっしゃっていただきました。

私は幾度となくその笑顔に救われ、リハビリ生活を頑張ることができたと感じています。

患者さんに寄り添える理学療法士を目指して

現在は願いが叶って臨床の現場に復帰しています。辛く苦しく長い道のりの入院生活でしたが、担当してくださった理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の皆さんのお陰で今の自分があると思っています。

お世話になった方々へ恩返しするつもりで毎日臨床に立ち、担当してくださった理学療法士のような患者さんに寄り添える理学療法士になれるよう、これからも頑張っていきたいです。

おわりに

今回は、ご自身が理学療法士として働く中で痙攣発作を起こし、リハビリを乗り越えて見事仕事への復帰を果たした方の体験記をご紹介しました。

担当の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士からの手作りの花束や、理学療法士からの手紙などに救われ、リハビリや治療を乗り越えることができたのが伝わってくるエピソードでしたね。痙攣発作後のICUでの治療や、人工呼吸器を外した後のリハビリなどは大変辛いご経験だったと思いますが、目標となる先輩と出会えたこと、そして経験されたことすべてが現在のお仕事の糧となっているのだと感じました。これからも目標に向かって頑張っていただきたいと思います。

ご紹介した体験談が、現在治療中や闘病中の方、リハビリに励んでいる方の励みになりますように。
次回もお楽しみに。