【第6回】みんなのリハビリ体験記〜患者さんの気持ちに寄り添うきっかけになった私のリハビリ~

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連載「みんなのリハビリ体験記」では、ご自身やご家族が、病気やケガによるリハビリをこうやって乗り越えた、こんな素敵なエピソードがあった、現在前向きに取り組んでいる…など、読者の皆さんのリハビリに関する体験談を紹介しています。

第6回は、反復性膝蓋骨亜脱臼の手術によるリハビリテーションを経験し、現在は理学療法士として活躍されている方の体験記をお伝えします。

PROFILE

ペンネーム:くるみゆべし さん (24歳・女性

山形県在住
リハビリのきっかけ:反復性膝蓋骨亜脱臼

患者さんの気持ちに寄り添うきっかけになった私のリハビリ

進学を機に反復性膝蓋骨亜脱臼の手術を決意

私は高校生の時に経験した介護実習を通し、患者さんの身近な生活を支える理学療法士という仕事に興味を持ちました。そして高校3年生の進路選択の際に、理学療法士を目指して養成校への入学を決めました。

進学の前に、小学生の頃から繰り返していた反復性膝蓋骨亜脱臼の治療を受けるため、手術をすることにしました。反復性膝蓋骨亜脱臼は、大腿骨(太ももの骨)につながっている膝蓋骨(膝のお皿)が繰り返し外れそうになる疾患です。

初めて反復性膝蓋骨亜脱臼と診断されたのは小学4年生の頃、クラシックバレエの練習をしていた時でした。それ以降、スポーツ(特に対人競技)をする際はサポーターを着けて注意していましたが、膝が抜けるような感覚や脱臼の痛みから、不安と隣り合わせの日々でした。

手術を決意したきっかけは、理学療法士の養成校に進学する前に、自分が目指す憧れの理学療法士のお世話になって、患者さんの立場で実際にリハビリを体験してみたいと思ったからです。そのため、手術前は「理学療法士の仕事はどういうものなのだろう?」と期待に胸を膨らませていました。しかし、いざ入院をしてみると、想像を絶するほどの不安に襲われました。

手術をしなければよかった…後悔するほどの痛み

手術は無事に終わりましたが、麻酔が切れた後の膝の痛みは想像以上でした。「なぜ私はあのとき手術をすると決めたのだろう…しないほうが良かったのではないか…」と後悔したほどでした。

リハビリ開始時は、膝の関節が動く範囲を広げるための関節可動域訓練やモビライゼーションと呼ばれるリハビリを中心におこないました。その後、膝に徐々に体重をかけていく荷重練習や、歩行練習などに取り組みました。

リハビリ中、麻酔が切れた後は痛みが強く、痛みはいつなくなるのか、いつになったら動けるようになるのだろうかと、とても不安でした。しかし、関わった理学療法士の方々は丁寧に私の話を聞いてくださり、その都度「大丈夫だよ」と元気づけてくださいました。ガチガチだった心も、膝回りの緊張とともにほどいてくれたと感じています。

今では、痛くて曲がらなかった膝も徐々に曲がるようになり、普通に生活していくうえでは支障がないほどになりました。また、当時お世話になった理学療法士の方々とは今も連絡を取っており、治療の話など仕事の相談に乗っていただいています。

自分の経験を活かして、患者さんに寄り添っていきたい

あのとき反復性膝蓋骨亜脱臼の手術を決意し、リハビリをおこなったことは、私にとって非常に貴重な経験になりました。リハビリをしながら感じたのは、患者さんは自分が思うより何倍もの不安があり、なかなか先が見えない気持ちと戦っていることです。専門知識がない患者さんがほとんどだと思いますので、いつになったら良くなるのか、自分は治りが遅いのではないか…という強い不安を皆さんが抱えているのだと思います。

私は今、理学療法士として病院に勤務していますが、そのときの経験を振り返り、患者さんの不安をなるべく減らせるよう、そして気持ちに寄り添った治療ができるよう、問診や説明は丁寧におこなうことを心がけています。

新人理学療法士としてまだまだ走り出したばかりですが、当時の理学療法士の方々への感謝の気持ちを忘れず、お世話になった先輩に少しでも近づけるよう、前進していきたいと思っています。

おわりに

今回は、反復性膝蓋骨亜脱臼の手術によるリハビリを体験し、その経験を活かして現在理学療法士として活躍されている方の体験談をご紹介しました。

ご自身が反復性膝蓋骨亜脱臼の手術後に感じた不安、身体の痛み、リハビリの体験などを現在のお仕事にしっかりと活かしていきたいという、前向きな気持が伝わってくるエピソードでしたね。患者さんや当時お世話になった先輩など、人と人とのつながりを大切にされている姿勢が素敵でした。これからも、リハビリの辛さや焦る気持ちをわかってくれる理学療法士として、患者さんに寄り添い続けていただきたいですね。

ご紹介した体験談が、現在治療中や闘病中の方、リハビリに励んでいる方の励みになりますように。
次回もお楽しみに。