【中編】転倒を予防していつまでも元気に~転倒の要因と予防方法~

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転倒のリスクは加齢とともに高くなり、骨折などのケガをすることで要介護の要因になることがあります。また、転倒・骨折は生活に様々な困りごとを発生させ、負の循環を生むことになります。

前編の記事では、転倒と健康の関係についてご紹介しました。中編となる今回は、転倒の要因と予防方法について、お話ししていきます。

転倒の原因は身体機能の衰えだけではない

転倒は、バランス能力や筋力の低下などによって引き起こされるイメージがあると思いますが、実はそれだけではありません。認知機能、視覚機能や聴覚機能の低下によって、転倒の危険を回避しづらくなったり、持病や服用している薬剤などの影響でふらつくなど、様々な要因で転倒しやすくなると考えられます。

転倒を引き起こす数多くの要因

●バランス能力、歩行能力、筋力等の低下

加齢に伴い身体機能が徐々に低下し、バランス能力、筋力、瞬発力、持久力、柔軟性が衰えます。また、転倒したときにとっさに手をつくといった反射的に身体を守る防御動作がすばやく力強くおこなえなくなります。

●精神機能、認知機能、視聴機能の低下

精神機能や認知機能、視聴機能の低下によって、自分自身の予測・期待する動作と現実の動作との間に齟齬(そご)が生まれ、転倒を引き起こすことがあります。

●起立性低血圧、各種疾患、薬剤の影響

高齢者はいくつもの病気を抱えて、何種類もの薬を飲んでいる人も少なくありません。薬の作用・副作用によって、立ち眩みやふらつくといった症状が出て、転倒しやすい状態になっている場合があります。

●栄養、環境の影響

食事をとる量が減り、栄養状態が悪くなると転倒につながることがあります。筋肉量を維持するためにも栄養は欠かせません。
また、家の中の段差やすべりやすい床があるなど、生活習慣や環境によって、転倒のリスクが高まることもあります。

出典: 厚生労働省e-ヘルスネット 榎 裕美(えのき ひろみ) 愛知淑徳大学食健康科学部健康栄養学科 教授

転倒の要因については、以下の記事でもご紹介しています。また、転倒リスクのチェックシートもありますので、あわせてお読みください。

3秒間に1人が転倒?転倒リスクをチェックしてケガを予防しよう!

転倒予防のトレーニングを始めよう

転倒予防にはバランス能力と筋力の向上が大切です。また、頭と身体を同時に動かす運動も効果があります。運動しながら、連続して言葉を発するトレーニングに取り組んでみましょう。

なお、膝や腰に痛みがある場合には無理をせず、理学療法士や医師に相談してからおこなってください。

足踏み 語想起運動

「語想起」とは言葉を思い出し、発することです。足踏みをしながら、語想起をしてみましょう。

  • なるべく早く足踏みをします
  • 足踏みをしたまま、5秒間言葉を発します。野菜や果物の名前など、連続して言葉を発しましょう
  • 5秒間を5セットおこないます

前後ステップ 語想起運動

足で前後にステップを踏みながら、課題に沿った言葉を発してみましょう。この運動は立っておこなっても、座っておこなってもどちらでも大丈夫です。

  • ①左足を前→②右足を前→③左足を後ろ→④右足を後ろの順に動かします
  • ①のタイミングで語想起しましょう
  • 語想起するテーマを変更しながら1分間を3セット足踏みします
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