【第7回:後編】生涯現役!理学療法士に聞く、キャリアと健康管理法~機能訓練指導員として高齢者に向き合う二宮智貴さん~

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リガクラボの連載「生涯現役!理学療法士に聞く、キャリアと健康管理法」。長きにわたりお仕事をされていて、現在も生涯現役として活躍されているベテラン理学療法士の方々をピックアップし、現在のお仕事(セカンドキャリア)や、生涯現役を目指すために実践している健康法などをご紹介します。
後編では二宮さんの健康法について伺っていきます。
【特集】生涯現役!理学療法士に聞く、キャリアと健康管理法
PROFILE

二宮 智貴(にのみや としたか)
大学卒業後、川崎リハビリテーション学院を1986年に卒業し免許取得。その後、いくつかの病院や施設を経験して、60歳で定年退職し現在の特別養護老人ホーム ひかりの丘に就職。幅広い分野であらゆる疾患を経験し、特に運動器疾患や神経難病・終末医療・足部疾患・装具などに興味を持つ。特に足と靴の問題は、ライフワーク。日本靴医学会など、各種学会・団体に所属している。
二宮さんの健康管理法について
前編の記事では二宮さんのキャリアについてお話を伺いました。現在は特別養護老人ホーム ひかりの丘にて、機能訓練指導員としてご活躍されています。お仕事を続けられている中で、健康管理のために具体的にどのようなことをされていますか?
二宮さん:実は、健康法といったものは、まったくおこなっていません。毎日がただ忙しく過ぎていくばかりです。
ただし、食事はきちんと3回、とるようにしています。内容は、バランスの取れたものを心がけています。カップ麵や冷凍食品はまったく食べません。野菜やタンパク質、ミネラル類は努めてとるようにしています。また、各種発酵食品(納豆、ヨーグルト、みそ)や豆腐などは、必ずとっています。食事は時間をかけて、よく噛んで食べるように心がけています。
あとは昼休みになるべく寝るようにしています。例え10分でも、アイマスクと耳栓を付けて、座ったままで寝ています。特別なことと言えば、私生活でも足に適した靴を履いていることぐらいでしょうか。病気もせず元気に働いていることが、成果といえるかもしれません。
健康的な食生活と睡眠は大切ですね。前編にて、足と靴の問題について教えていただきましたが、二宮さんご自身が足や靴で、普段から気をつけていることがありましたら教えてください。
二宮さん:やはり、踵部分がしっかりしたもの、クッション性・ホールド性があるもの、ひもなどで締め具合を調節できるものを選ぶことに尽きると思います。サイズは、自分のサイズより1段階大きなものにして、靴の中に自分で作った中敷きやアーチサポートを挿入します。
また、足の柔軟性を保つために、足部の各方向へのストレッチや足指の運動は毎日おこなっています。例えば、下記のように足の指でグー、チョキ、パー、逆チョキの運動や足部での各種の運動です。これはしなやかさを保つとともに、血流の改善にも有効です。






二宮さん:仕事で履く靴は、安いだけのものではなく前述したようなものを選んでください。スニーカータイプがおすすめです。ただ、高価なもの、よく売れているものが良いとは限りません。また、サンダルや、樹脂を型に流して固めたタイプのものは、おすすめできません。
どんな履物も買い替えはできますが、足は買い替えができません。変形ができ始めると、やがて全身に影響が出てきます。足は自分専用の精密機械です。生涯使う唯一の足です。大切に使いましょう。
替えの効かない唯一の足、大切にケアしていきたいと思います。さて、生涯現役を目指すために大切な心がけ・秘訣は何だと思いますか?
二宮さん:端的にお答えするのはなかなか難しいのですが、私自身の経験から言えば、「経験を積んだので、理学療法のことはかなり分かってきた」とか「立派な理学療法士になりたい」等とは思わない方が良いと思います。どんな学問にも、終わりはないのです。たくさん分かってきたと言うのは、分かっていないことがまだまだあると気付くことですから。
さらに言えば、とにかく「基礎が大事」だということでしょうか。若い世代と話していると、基礎が欠落しているように感じることがあります。弱い基礎の上には、高層ビルは建てられません。
今から38年前のリハビリ室でのことです。ほとんど何もできない重度のリウマチの患者さんに、別の患者さんが話しかけていました。「ご飯は食べたの」「どこが痛いの」と、まるで母親が子どもに語りかけるように顔を寄せ、笑顔で語りかけていました。
その人は何の資格も技術もないただの患者さんですが、医療人が大切にすべき「心」を豊かに持っていました。38年が過ぎた今でも、この時の光景は私の脳裏にあります。医療者として現役である以上、この「心」を失わないようにしたいものです。知識・技術の優劣は、その次の問題です。
そして理学療法は、時にその人の人生を左右します。その重責を日々、自身が担っていると認識することが大切です。私自身も初心を忘れず、謙虚に誠実に目の前の人に取り組んでいきたいです。
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