暮らしの中で健康になるまちづくり【前編】-ゼロ次予防で健康寿命の延伸へ

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「好き」から始まる普及活動

ハード面、ソフト面、そしてICTなども関わってくるのですね。次に、専門職が健康促進・健康予防・発達促進等の普及に取り組んでいる事例について、教えてください。

井手さん:例えば、甲斐KENDAMA.CREW(甲斐けん玉クルー)というチームがあります。作業療法士の方々の活動なのですが、チームの皆さんが本当にけん玉が大好きなんですね。まず、「楽しい」というところから始まった取り組みですが、それをリハビリテーション専門職の目線で分析してみると、介護予防や子どもの発達などの健康面のほか、地域を盛り上げるといった可能性が見えてきます。

また、セラピスト落語家として活動されている中谷知生さん。地域の健康づくりや介護予防などのテーマで落語をされます。中谷さんも、まずはご自身が落語が大好きで、人を笑わせたいという思いが先にあるんですね。

訪れる人たちは落語が好きで笑いに来たんだけれども、それが結果的に健康への意識を高めるなんて、素晴らしいですね。

【第11回】シカクの人物図鑑 中谷知生さん:落語で患者さんを笑顔にする理学療法士

リハビリテーション専門職というところにとらわれすぎず、趣味や好きなことを通して力を発揮していくという考え方も素敵だと思います。

おわりに

前編では、井手さんが理学療法士として活躍された後、なぜ研究職を目指されたのか。そして、研究対象としている「健康になるまちづくり」について、お話を伺いました。ご自身でも行動変容にチャレンジされている、井手さん。課題感を持って、熱心に研究に取り組まれている姿が印象的でした。

後編では、実際のプロジェクトを例に取り、より具体的に「健康になるまちづくり」の姿に迫ります。

お楽しみに。

【参考文献】
WACo -Well Active Community- プロジェクトレポート 2018-2024(Well Active Community 共創コンソーシアム)
千葉大学予防医学センター
立教大学ビジネスデザイン研究科マーケティング研究室(2024)『市場と地域の価値創造ー拡張した現代マーケティングの諸相ー』P105〜115(発行:文彩堂出版)

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PROFILE

井手 一茂(いで かずしげ)理学療法士

井手 一茂(いで かずしげ)理学療法士

2020年千葉大で医学博士号取得後、同大予防医学センター社会予防医学部門特任研究員。2023年4月より健康まちづくり共同研究部門特任助教。千葉県を中心に各地の介護予防・障害福祉・まちづくりにも従事する。