【第18回】理学療法士のオススメ書籍&一覧 「私たちの心と脳の不思議に迫る2冊」

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リガクラボでは、全国の理学療法士から「みんなに薦めたい書籍、薦めたら好評だった書籍」を募集し、毎回テーマに沿ったオススメの書籍を紹介しています。

読者の皆さんの健康に役立つ、そして身体や命について考えるきっかけになるような書籍を、理学療法士の視点でピックアップしていきます。

第18回となる今回のテーマは「私たちの心と脳の不思議に迫る2冊」です。

それでは早速、一冊目の本をご紹介します。

脳はいいかげんにできている その場しのぎの進化が生んだ人間らしさ

著者: デイヴィッド・J・リンデン
翻訳: 夏目 大
出版社: 河出書房新社

書籍の概要

※概要は、公式サイトからの引用・抜粋となります。

脳はその場しのぎの、場当たり的な進化によってもたらされた!
性格や知能は氏か育ちか、男女の脳の違いとは何か、などの身近な疑問を説明し、脳にまつわる常識を覆す!

オススメする理由

名前:匿名希望

脳はその進化において、最初から詳細な設計図に基づいてその進化を遂げてきたのではなく、進化の過程で機能を追加し続けてきた。しかし、この非効率的でつぎはぎだらけで進化してきたがゆえに人間らしさがもたらされた。そのことを、科学的根拠に基づいて説明している一冊です。

日常のエピソードを用いながら比較的易しく書かれているため、脳科学の知識がなくても読み進めることができます。

脳にまつわる現象に対して、否定的に読んでも肯定的に読んでも、脳と心について関心のある人にはお勧めの入門書です。

【リガクラボ編集部より】

私たちはいったい、どれほど脳のことをわかっているでしょうか。脳は、人間が生きること、考えることに欠かせないため、非常に高度に発達してきたように感じている方が多いのではないでしょうか。しかし、その脳が実は“いいかげん”だったら…?

著者のデイヴィッド・J・リンデンは、一般向けに脳にまつわる数々の書籍を執筆してきたアメリカの神経科学者です。彼は、脳はその場しのぎで場当たり的に進化を重ねて複雑化してきた、いいかげんで非効率的なものだと言います。そして、脳がいいかげんだからこそ、愛、夢、宗教などの人間ならではの心の営みが生まれてきたのだとも。

本書では、「なぜ奇想天外な夢を見るのか」「宗教が存在する理由」など、身近で興味を引くテーマについて、図解を交えながら科学的に紐解きます。やや専門性の高い記述がありますが、謎多き脳について、さらなる知的好奇心をくすぐられる一冊です。

続いて二冊目はこちら。

跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること

著者: 東田 直樹
出版社: KADOKAWA/角川文庫

書籍の概要

※概要は、公式サイトからの引用・抜粋となります。

「僕は、二十二歳の自閉症者です。
僕の口から出る言葉は、奇声や雄叫び、意味のないひとりごとです。
普段しているこだわり行動や跳びはねる姿からは、僕がこんな文章を書くとは、誰にも想像できないでしょう」

会話ができない著者の「考える歓び」に満ちた清冽なエッセイ。
自分にとっての障害、人との絆、自然との一体感、かけがえのない幸福。
生きることの本質を捉えて大きな驚嘆と感動を呼んだベストセラー、待望の文庫化!

オススメする理由

ペンネーム:クロブチメガネ さん

自閉症者である著者の心理やものの見え方が優しく穏やかに綴られた一冊。
著者が作中で「まるで壊れたロボットの中に閉じ込められているようだ」と表現していますが、その言葉からも、コミュニケーションができない、集中できないなどがあっても、感激し、時に傷つき、思うことは私と何もかわらないことを知ることができました。

自閉症者の方と接する際に、その方が見ている世界や感じていることを私なりに理解してみたいと思えるようになりました。

【リガクラボ編集部より】

自閉症は、近年では自閉スペクトラム症(ASD)と呼ばれることも多い、生まれつきの脳機能障害です。コミュニケーションが苦手、情動的、反復的な身体の運動や会話、固執や強いこだわりがあるといったことから、なかなか理解されづらい側面があるかもしれません。

しかし、自閉症者である東田直樹さんによるエッセイは、時にハッとさせられるような視点で綴られており、東田さんの豊かな感性や感覚で受け取られた世界を垣間見ることができます。

東田さんの考え方や感じ方を知ることで見えてくる自閉症の世界。東田さんの繊細で美しい言葉たちが、瑞々しく響きます。自閉症者としての内なる心の葛藤にも目を向けさせてくれる一冊です。

※この記事は2022年10月19日時点での情報で作成しています。
※この記事は、以下を参考に作成しています。
e-ヘルスネット「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」(厚生労働省)

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