池崎大輔選手(車いすラグビー)と理学療法士(1)障がい者スポーツを支える心強い存在とは

写真:プレー中の池崎大輔選手

みなさんは障がい者スポーツを観戦されたことがあるでしょうか? 2020年に開催される東京パラリンピックでは22競技が実施されます。最近ではパラリンピック関連のCM放映やメディアへの登場などにより、認知度も上がってきています。

障がい者がスポーツをする場合、試合中のケガなどへの対応だけでなく、選手の障害レベルや心身の特徴に応じた支援が必要です。理学療法士は身体動作や障害に関する専門知識を基に選手たちの心身を支えています。

日本理学療法士協会では、2016年に車いすラグビー日本代表として活躍する池崎大輔選手(北海道 T×T BigDippers所属)と、彼を支える理学療法士を取材しました。障がい者スポーツと理学療法の今後の可能性について、第1回は池崎選手のインタビューをお届けします。

※本記事は2016年に刊行された広報誌『笑顔をあきらめない。』No.20から一部抜粋・再構成したもので、所属先などは取材当時のものです。

身体や障害のことをよく分かってくれている人が、すぐそばにいてケアしてくれる安心感

写真:競技用車椅子。傷の多さから競技の激しさがわかる。

障がい者スポーツ選手が抱える悩み

池崎選手:僕が理学療法士に深く関わっていただくようになったのは、車いすラグビーを始めてからです。理学療法士と関わりがなかったころは、筋肉の張りや違和感を感じたときは、自分なりに調べたり、周囲のトレーナーに訊いたりしていました。しかし正直に言って、その理由や原因がしっかりわからないことが多かったと思います。

僕たちは障害を持ちながらスポーツをしているので、普通のプレーヤーよりも痛みなどの身体的な問題が多いと思いますし、選手自身もそのことで抱く不安や心配が非常に大きいんですね。

そうした状況で、身体や障害のことをよく分かってくれている人が、すぐそばにいてケアをしてくれるという環境は非常に安心できます。痛みの緩和、怪我の予防法はもちろん、車椅子のシーティングの調整によるパフォーマンスの向上なども支援してくれています。

また、トレーニングをする際、どういう風にやればより効率的か、より強化できるかという身体づくりについても具体的にアドバイスしてくれます。

いまは、何か少しでも気になることや心配があれば、すぐに理学療法士に声をかけるようにしています。

選手と理学療法士は強い信頼で結ばれている

池崎選手:単にトレーナーというわけでもないし、「理学療法士」という言葉だけで表現するのは非常にもったいない気がします。いまは適切な表現がわかりませんが、障がい者スポーツをする人間にとって、とにかく「心強く信頼できる存在」ということは間違いありません。

彼らがいることで、僕たちは心からプレーに集中でき、トレーニングにも全力で向き合えます。それは何かあっても必ず助けてくれる、力になってくれるという強い信頼感があるからです。そうした信頼感があるからこそ、最高のパフォーマンスができるのだと思います。

障がい者スポーツの世界に、もっと理学療法士が参加してほしい

池崎選手:僕たちがこのような恵まれた環境にいることには非常に感謝していますし、こうした環境があるからこそ積極的にプレーができて、よい結果に繋げられるのだと感じています。しかし、日本の障がい者スポーツ全体としては、障がい者スポーツに関わる理学療法士の数が不足しているように感じています。

僕たちに必要な存在であることを知って、もっと理学療法士の方たちに、障がい者スポーツに積極的に入り込んでもらいたいと思っています。そうすれば障がい者のスポーツ参加がもっと活発になってくると思います。

池崎選手が目指す“これから”

池崎選手:プレーヤーとしては、世界一になることを目指しています。メディアにも注目される結果を出すことで、車いすラグビーをはじめ、障がい者スポーツ全体に興味・関心が持たれるはずです。そうして、障がい者スポーツも夢や希望を与えられるスポーツであるということを、障がい者はもちろん一般の方にも知ってもらい、障がい者スポーツがより社会に普及できたらと考えています。車いすラグビーというスポーツがその発端となりたいと思っています。

そのためにも、選手はもちろん理学療法士やトレーナーともチーム一丸となって努力していきたいです。

池崎選手のインタビューはいかがだったでしょうか。選手と理学療法士の強い絆をお伝えできたかと思います。これを機に障がい者スポーツへの理解を深めていきましょう。

次回は、池崎選手を支える理学療法士のお二人、北海道せき損センターの黒川奈津美さんと中村飛朗さんのインタビューをお届けします。

PROFILE

池崎 大輔(いけざき だいすけ

2008年より車いすバスケットボールから車いすラグビーに転向。2010年には日本代表に選出され、2012年ロンドン・パラリンピック(4位)、2016年リオデジャネイロパラリンピック(銅メダル)に出場。現在はTOKYO SUNSに所属し、エースとしてチームをけん引しながら、2020年東京パラリンピックでの金メダル獲得を目指す。