池崎大輔選手(車いすラグビー)と理学療法士(2)障がい者スポーツに関わったからわかること

写真:左から、中村さん、池崎選手、黒川さん

今回の企画では、障がい者スポーツと理学療法の今後の可能性について、車いすラグビーの日本代表である池崎選手(北海道 T×T BigDippers所属)と、選手生活をサポートする理学療法士の方からお話を伺っています。

第2回は、池崎選手を支える理学療法士のお二人、北海道せき損センターの黒川奈津美さんと中村飛朗さんに障がい者スポーツとの出会いや、入院中の患者さんへもたらす影響などをインタビューしました。

※本記事は2016年に刊行された広報誌『笑顔をあきらめない。』No.20から一部抜粋・再構成したもので、所属先などは取材当時のものです。

障がい者スポーツとの交流が患者さんにもたらした効果

写真:練習前後のテーピングやグローブの着脱のフォローを適宜行う。

理学療法士が車いすラグビーに関わるきっかけとは

黒川さん:わたしたちは、病院に勤めながら車いすラグビーのサポートをしている理学療法士です。日本代表だけでなく、池崎選手が所属する北海道BigDippers(現:北海道 T×T BigDippers。以下、北海道ビッグディッパーズ)という地域のチームにも関わっています。

中村さん:北海道ビッグディッパーズでは、僕はコーチとしても活動しています。僕には障害はありませんが、プレーヤーとして練習に参加することもありますね。

写真:選手同士の話し合いにも積極的に入り、戦略やポイントを共有。

きっかけは、学生のころ車いすバスケットボールのサークルに携わったことです。それから就職後も障がい者スポーツに関わりたいと思うようになりました。そんなとき、ちょうど就職先が北海道ビッグディッパーズという常にトップを目指すチームをサポートしていて、僕も本格的に関わるようになったんです。

障がい者スポーツを見に行くだけでも社会復帰のきっかけになりえる

黒川さん:もともと北海道ビッグディッパーズは、わたしたちの上司が患者さんたちと作り上げたチームです。スポーツに取り組むことは、単に体を動かすという目的だけでなく、患者さんの社会復帰の契機にもなります。それに、スポーツ自体に参加しなくても、入院中の患者さんと選手が交流することで、退院後の生活を知ることができるという効果も期待できるので、積極的に支援を行っています。

中村さん:入院中の患者さんは、リハビリテーションを受けて障害をふまえた動作などを身に付けていきますが、病院の中での活動はできるようになっても、実際に家に帰ってからの生活は想像しづらくて、不安を感じる方が多いんです。

そこで、同じような経験を経た障がい者スポーツの選手の姿を見たり、話したりすることで、家に帰ってからの生活がより具体的に想像することができます。

たとえば、選手が自分で車を運転している姿は、患者さんにとっては、外に出られるという可能性を知ることができ、勇気づけになると思います。これから退院する患者さんにとって、選手の姿はひとつの目標であり、モデルです。

そういう意味でも、障がい者スポーツを見に行くということは、患者さんにとって効果的だと感じます。

黒川さん:そうですね。選手と話すだけでも、当事者目線での問題やその解決方法、地域で活用できる制度について知るいい機会になりますし、思いがけない工夫や道具を使って生活上の不便を解決していることもあって、当事者ならではのアイディアに、わたしも驚かされることがありますよ。

理学療法士は、患者さんに寄り添う努力はしていますが、患者さん同士でなければわからないことがあるので、そういう部分を選手の皆さんに助けてもらっているように思います。

PROFILE

池崎 大輔(いけざき だいすけ

2008年より車いすバスケットボールから車いすラグビーに転向。2010年には日本代表に選出され、2012年ロンドン・パラリンピック(4位)、2016年リオデジャネイロパラリンピック(銅メダル)に出場。現在はTOKYO SUNSに所属し、エースとしてチームをけん引ししながら、2020年東京パラリンピックでの金メダル獲得を目指す。

黒川 奈津美(くろかわ なつみ

理学療法士。北海道せき損センターに勤務しながら、車いすラグビーの日本代表や北海道 T×T BigDippersをサポートしている。

中村 飛朗(なかむら ひろ

理学療法士。北海道せき損センターに勤務しながら、車いすラグビーの日本代表や北海道 T×T BigDippersをサポートしている。また、北海道 T×T BigDippersではコーチも務める。