【第10回】シカクの人物図鑑 高橋浩平さん:リハビリテーション栄養の第一人者として活躍する理学療法士
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理学療法と栄養管理を併せて実践していくために。高橋さんのこれから
リハビリテーション栄養が、患者さんの回復の一助になったんですね。リハビリテーション栄養の重要性について、多くの方々に広まると良いと感じます。
高橋さん:栄養と運動は切っても切り離せないもので、健康の維持・向上にはこの両方が必要ですから、理学療法士が栄養学を学ぶ利点は多くあると思います。例えば、患者さんに運動指導をする際、栄養の重要性も併せて伝えると、運動指導がより有用になると思います。
また栄養学を勉強したことで、エネルギー代謝や骨格筋代謝に関する知識が以前よりも増えましたし、さらに疾患、特に内部障害の病態についても理解がとても深まりました。それによってリスク管理能力が以前より向上したと私自身は実感しています。
高橋さんはご自身の経験や知識を多くの方に広めるべく、リハビリテーション栄養の講演やセミナーにも積極的に参加されています。理学療法士の方々の反応はいかがですか?
高橋さん:コロナ禍以前は、年に10回以上はセミナーや講演会の依頼がありました。現在はオンラインでの講演が多くなりましたが、年に5~6回はおこなっています。日本栄養・嚥下理学療法研究会でも毎年研修会と研究会を実施しています。
徐々にですが、理学療法士の中で栄養の重要性は認識されてきているように感じますし、栄養に関する理学療法士の学会発表や論文執筆も増えてきています。一方で臨床では、リハビリテーション栄養や栄養サポートチームの中でどのような役割を果たしていくべきか等、よく理学療法士に質問されます。
今後はリハビリテーション栄養における理学療法の具体的な実践方法や、理学療法士の役割などをより明確にしていければと思っています。
最後に、高橋さんの将来の夢があれば教えてください。
高橋さん:今は研究をもっと積極的におこなって、リハビリテーション栄養や栄養理学療法のエビデンスの構築に貢献していきたいです。長い目で言うと、理学療法士が患者さんの栄養状態や嚥下状態を評価し、アプローチする方法を標準化させることが目標です。これらを示すことで、リハビリテーション栄養を実践する理学療法士が増え、より元気に、より幸せになる人が増えてほしいと思っています。
私生活では、サッカーの話になってしまいますが、まずは神奈川県のシニアリーグ1部で優勝したいですね。日本サッカー協会は40代、50代、60代、70代と年代別にシニアサッカーの全国大会を開催しているのですが、今後も怪我に気をつけながら健康を維持し、生涯サッカーを続けて、いつかどこかの世代で日本一になりたいと思っています。それが私の今の夢です。
おわりに
シカクの人物図鑑の第10回は、リハビリテーション栄養の第一人者として活躍されている高橋浩平さんをご紹介しました。
リハビリテーション栄養を学び始めたきっかけや講演・セミナーなどの活動から、患者さんに少しでも良くなってほしいと願う高橋さんの強い思いが伝わってきました。また、理学療法士を目指すきっかけにもなったと話す、趣味のサッカーをこれからも続けたいとおっしゃっている姿が印象的でした。これまでリハビリテーション栄養について知識がなかったという方も、この機会に興味を持っていただけたらうれしいです。
シカクの人物図鑑では、引き続き理学療法士の資格をお持ちの方のお仕事や、活動についてご紹介していきます。次回もお楽しみに。
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