【助成事業・中編】障がい者の自分らしい暮らしやその家族を応援!〜2021年度障がい者団体助成事業紹介〜公益社団法人 銀鈴会・西宮市肢体不自由児者父母の会

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公益社団法人 日本理学療法士協会は、「2021年度障がい者団体助成事業」を実施し、助成対象として5団体を採用しました。

「障がい者団体助成事業」は、国民の皆様が住み慣れた地域で安心して生活できる社会を構築することを目的におこなわれている取り組みです。日本理学療法士協会では、協会の理念に基づき、すべての方の健康と幸福に寄与するため、障がい者団体助成の対象となる団体を公募しその活動を応援しています。

前編では、採用された5団体の中から2団体の活動と採択された助成事業についてご紹介しました。中編となる今回も2団体の活動と助成事業についてお伝えします。この記事を機に、障害や障害のある方々の暮らし、それを支える方々の活動について知っていただき、考えていただけたらうれしいです。

声帯を失った方々の社会復帰をサポート〜公益社団法人 銀鈴会のご紹介〜

喉頭がんや咽頭がん、食道がん、甲状腺がんなどにより、喉頭摘出手術を受けられる方がいます。声帯の摘出により声を失った人々の社会復帰を目的に、発声教室の指導をおこなっているのが、公益社団法人 銀鈴会です。

発声教室は、食道に空気を送り込み粘膜を振動させて発声する食道発声の初心~上級クラス、電気式人工喉頭(EL)による発声を指導するELクラス、気管孔と食道との間に手術で作った細い管(シャント)による発声を指導するシャントクラスを開催しています。

また、本団体は、喉頭摘出者同士のクラブ・サークル活動も多数開催しており、手術後の生活の質(QOL)を充実させ、社会復帰および会員相互の交流を促進するサポートをしています。

公益社団法人 銀鈴会 ホームページ

パンフレット「声帯を失った方に」の改定〜採択事業について〜

本団体は7年前に喉頭摘出手術前の患者に向け、「声帯を失った方に」というパンフレットを作成し、喉頭摘出手術前の患者とその家族、また、病院関係者や関係部署の方々に役立てられ、好評を得てきました。

今回、こちらのパンフレットの内容を一部見直す必要が出てきたことを受け、「2021年度障がい者団体助成事業」で、パンフレット「声帯を失った方に」の改定版作成事業が採択されました。

パンフレットには、術後の身体の状態や、新しい発声の方法、発声教室の様子やその他銀鈴会の活動についてなどが紹介されており、約4,000部が印刷され、発声訓練希望者や関係医療機関などへの配布が開始されています。声を失った方々の抱えている問題や、発声方法についてなどわかりやすく解説されていますので、下記よりぜひご覧ください。

公益社団法人 銀鈴会 パンフレット「声帯を失った方に」

西宮市を世界の福祉モデル都市に〜西宮市肢体不自由児者父母の会のご紹介〜

西宮市肢体不自由児者父母の会は、肢体不自由児とその家族のための会員制コミュニケーションサロンです。1955年後半に発足した小さな活動から始まり、1964年に正式に活動をスタートしました。

本団体は、肢体不自由児者が真の意味で自立でき、障がいがあってもなくても社会で生活ができるよう、自治体や地域の方々に理解を求める活動を続けてきました。肢体不自由児者における社会的自己実現のための社会環境の整備や肢体障がい者の自立的生活の確立の推進、肢体障がいの早期発見と医療・療育の充実、肢体障がい者の福祉と教育に関する社会的啓発、兵庫県肢体不自由児者父母の会組織の強化を実施しています。

現在、会員家族数は約250家族。会員の年齢は20代から80代と幅広いものとなっています。2020年からは「西宮市を世界の福祉モデル都市に」というビジョンのもと、さらに活発に活動しています。

西宮市肢体不自由児者父母の会 ホームページ

ノーリフトケア®を広めたい〜採択事業について〜

オーストラリア発信のケアメソッド、ノーリフトケア®。かつてオーストラリアでは看護師の身体疲労による腰痛により離職者が増加しました。それを受け、1998年に看護師の腰痛予防対策としてオーストラリア看護連盟が取り入れたのがノーリフトケア®です。

人力のみの移乗(ベッドから車椅子、また、車椅子から椅子などに乗り移ること)を禁止し、支援を受ける方の自立度を考慮して福祉用具を活用しようという考え方です。日本でも看護師・介護労働者の腰痛が多発しており、安全で安心な看護・介護を提供するには、病院や施設で患者さんの状態に合わせて福祉用具を有効に活用し、介助者の腰痛予防にも取り組むことが不可欠な状況です。

本団体では、親亡き後、肢体不自由児者にとって重要なのは人材であると考え、医療・介護業界の人材不足解消の切り札としてノーリフトケア®の普及を目指しています。特に、障がい者や医療的ケア児の二次障害防止と保護者を含む介助者の腰痛予防のため、啓発活動に取り組んでいます。

「2021年度障がい者団体助成事業」では、「ノーリフトケア®実践セミナーin西宮」が採択されました。本セミナーでは、日本ノーリフト協会代表理事の保田淳子氏による講演やケア体験保護者による体験談の発表、意見交換などがおこなわれました。

コロナ禍により対面での参加が叶わずWebセミナーに変更されましたが、全国から参加者が集まりました。

西宮市肢体不自由児者父母の会 Blog「ノーリフトケア®イベント終了。そして、これはスタート。」

※「ノーリフト®」、「ノーリフトケア®」は日本ノーリフト協会の登録商標です。

※この記事は2022年10月5日時点での情報で作成しています。
※この記事は、以下を参考に作成しています。

公益社団法人 銀鈴会
西宮市肢体不自由児者父母の会
ノーリフティングケアとは(一般社団法人 日本ノーリフト協会)

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