【前編】家の中の危険を予防しよう~冬場はヒートショックに要注意!~

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皆さんは「事故に遭う」と聞くと、どんな場面を思い浮かべますか?おそらく交通事故などの「家の外」で起こる事故を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、実は国内で起こる事故の7割以上は「家の中」で起きています。

リガクラボでは、主に高齢者の方に「家の中」で起きうる事故について、その原因と注意点、危険を防止するための生活の工夫や転倒を予防するトレーニング方法などについて、2回に分けてお話ししていきます。前編では、冬場に特にリスクが高くなる「ヒートショック」を防ぐために気をつけたいことを紹介します。また、浴室やトイレに潜むリスクと対応についても紹介します。

ヒートショックとは?

寒さや著しい温度差により血圧変動が生じ、身体に大きな負担がかかった状態をヒートショックといいます。

暖かいところから寒いところに移動すると血管が収縮し、血圧が一気に上昇し、逆に暖かいところに移動して冷えた身体が温まってくると血管が広がり、急上昇した血圧が下がります。このような急激な血圧の変化により、脳内に血液が回らない一時的な貧血の状態になって一過性の意識障害が起きたり、心筋梗塞・脳梗塞などの引き金となることがあります。

寒い脱衣所からの入浴や、暖かい居室から寒い玄関への移動で起きやすく、特に65歳以上の高齢者は、血圧を正常に保つ機能も衰えてきている場合があるので、注意が必要です。

さらに、入浴中に意識を失うと浴槽内で溺れてしまい、死につながる危険があります。令和3年人口動態調査(厚生労働省)によると、65歳以上の浴槽における不慮の溺死・溺水は5,097人、そのうち家・居住施設の浴槽では4,750人で、交通事故2,150人の2倍以上に上ります。また、東京消防庁の緊急搬送データによると、高齢者が溺れる事故は、特に11月から4月の冬場にかけて、多く発生しています。

入浴後も、浴槽からの立ち上がりや寒い脱衣所への移動の際に、起立性低血圧が生じる可能性があります。家の中の気温差が大きくなる冬場は、浴室での事故に細心の注意を払うようにしましょう。

ヒートショックを防ぐには

ヒートショックを防ぐには、まずは部屋と部屋の温度差を小さくすることが大事です。

  • 浴室や脱衣所、トイレの温度は22℃以下にならないように注意
  • あらかじめ浴室を温めておいたり、小さな暖房器具を置いたりといった工夫をする
  • 日ごろ過ごす時間の多い場所や浴室・トイレなどには、室温計を設置する

入浴時、熱いお湯に浸かることや長湯が好きな人は特に注意が必要です。例えば42℃のお湯に10分入浴すると、体温は38℃近くに達し、高体温などによる意識障害を起こす危険が高くなります。また発汗による脱水症状の心配もあります。お湯の温度は41℃以下にし、湯船につかる時間は10分までを目安にして、長時間の入浴は避けましょう。

入浴する前には、かけ湯をすることも大事です。心臓から遠い足先のほうから肩まで徐々にお湯をかけてお湯の温度に身体を慣らすと、心臓に負担がかからず血圧の急激な変動を防止できます。

浴室やトイレに潜むリスクと対応策

ヒートショックだけでなく、浴室やトイレではすべったり、立ち上がる際にふらついたりして、転倒するリスクがあります。事前にチェックしておきましょう。

浴室での注意点

浴室は、床や浴槽内のすべりやすさ、さらに着替える際の転倒や浴室内で意識を失うなど危険の多い場所です。

転倒防止のために、浴室や浴槽に手すりを取り付けるのがおすすめです。工事で取り付けるタイプの他、浴槽の縁に簡単に取り付けられる手すりもあるので、活用しましょう。

着替える際にふらついて転倒することがあります。脱衣所にイスを置いておき、座って着替えると安全です。
イスは、ひじ掛け付きや立ち上がりやすい高さのものなど様々な種類があるので、ご自身に合ったものを使い、転倒を予防しましょう。

入浴中に気を失って、溺れそうになる可能性があります。同居する家族がいる場合は、入浴中の声かけや立ち上がりの際に手伝いがあると安心です。浴槽専用の滑り止めマットなども活用してみましょう。

トイレでの注意点

比較的狭い場所なので安全と思いがちですが、思わぬ危険もあります。

例えば、扉を開け閉めするときなどに、ふらつくことがあります。手すりを扉の横に付けておくと、ふらついても転倒するリスクが減ります。

また、便器の近くに手すりを設置していても、位置によっては身体を支えられず、立ち上がるのが大変な場合があります。つかまりやすい位置に手すりを設置することで、便器から立ち上がる際の転倒を防止できます。

※この記事は2023年12月13日時点での情報で作成しています。
※この記事は、以下を参考に作成しています。

高齢者の不慮の事故(消費者庁)
交通事故死の約2倍?!冬の入浴中の事故に要注意!(政府広報オンライン)

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