【前編】女性とスポーツ 女性に起こりやすいケガ、予防・コンディショニング方法ってなに?

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今年8月、プロゴルファーの渋野日向子選手が日本の女性で初めてゴルフの4大メジャー大会(全英オープン)を制覇するなど、近年、女性アスリートが世界を舞台に活躍することが目立つようになってきました。また、健康意識の高まりから、日々のジョギングや運動をする方も年齢を問わず増加しています。

そこで今回の記事では、スポーツを楽しみたいすべての女性のために、「女性とスポーツ障害」についての情報をお伝えします。

第一回目は、女性に起こりやすいケガ、その予防とコンディショニングについて、井戸田整形外科名駅スポーツクリニックの平野佳代子さん(理学療法士)にうかがいました。

女性に多いスポーツ障害ってなに?

女性は、初めての生理(初経)を迎えると、男性とからだの成長が異なってきます。女性と男性の身体的特徴の性差として挙げられるのは、広い骨盤幅、X脚傾向、関節のゆるさ、低い筋力、多い体脂肪量などです。これらのからだの特徴は、女性がスポーツをする上でさまざまな影響を及ぼし、靭帯損傷や脱臼などを多く発生させます。

そのほかスポーツ動作にも性差がみられ、ケガの発生に関連しています。特に、女性は腰を反りやすく、膝が内側へ入ることが多いため、この動作が過度になったり、繰り返したりすることで、ケガの発生につながっているのです。

また、加齢にともなって基礎代謝量が落ちると、体脂肪や体重が増加しやすくなります。閉経後はホルモンバランスが崩れやすくなるため、これらはさらに顕著に現れてきます。加齢に応じて、無理のない範囲内で食事や運動量をコントロールすることが大切になります。

以下に、女性に起きやすい代表的なケガを紹介します。

前十字靭帯損傷(ぜんじゅうじじんたいそんしょう)

前十字靭帯損傷は、バスケットボール、ハンドボール、器械体操など、ジャンプや急激なストップ、方向転換などが多い競技で多く発生しています。

特に、動作する時に膝が内側へ入ることによる受傷が最も多いといわれています。このケガは、膝が不安定となりやすいため、競技の継続が難しくなり、手術を選択する必要性もでてきます。

疲労骨折

疲労骨折は、同じ動作の繰り返しである陸上の長距離走や短距離走、ジャンプやステップなどが多いバスケットボール、ハンドボールなどで多く発生しています。

特に、脛骨(すね)や足・足指などで発生率が高く、マラソンなど長距離では恥骨や大腿骨でも発生することが多いといわれています。また、女性ホルモンの減少により骨密度が低下すると骨折しやすくなり、これらが解決しなければ再発も多くなるため、治りづらくなります。

膝蓋大腿関節障害(しつがいだいたいかんせつしょうがい)

膝蓋大腿関節障害は、バレーボールやバスケットボールなど、ジャンプやストップに多い競技で多く発生しています。

女性は骨盤幅が広いため、相対的に膝が内側へ入りやすく、関節のゆるさがある場合には、膝蓋骨(しつがいこつ)が外側へ引っ張られて、膝蓋骨脱臼などが発生しやすくなります。

コンディショニングを整えて、スポーツ障害を予防しよう

スポーツ障害を予防するためには、体のコンディショニングに気を配り、いつも良い状態に整えることが効果的です。ここからはイラストや写真を使って、コンディショニングの方法をわかりやすく解説していきます。

股関節周囲筋力のエクササイズ

骨盤幅が広く膝が内側に入りやすい女性のため、それを支える股関節周囲の筋力を鍛えて、膝が内側に入るのを防ぐエクササイズです。サイドレイズやもも上げなどがおすすめです。

①片足上げのエクササイズ

  • 安定した場所に横になり、上半身は動かないように腕で安定させます。
    骨盤は床に対して垂直になるように意識してください。
    下側の足は膝を曲げて、動作中は体が安定するように力を入れてください。
  • 上側の足を足全体の筋肉を意識しながらゆっくり無理のないところまで上げ、ゆっくり下げる動作を繰り返します。
    このとき、腰をそらさない、上げた足のつま先を上に向けない、骨盤は床に対して垂直を維持するように注意してください。
  • 逆の足でも同様に行います。

②もも上げのエクササイズ(座り)

  • 安定した椅子に腰かけて背筋を伸ばし、手で椅子の座面などをつかんで上半身を安定させます。
    椅子は動かさない側の足が床につくものを選んでください。
  • 片方の足をふとももからゆっくり持ち上げ、おろす動作を繰り返します。
    お腹に力を入れて、上半身は動かさないようにしてください。
  • 逆の足でも同様に行います。

③もも上げのエクササイズ(立ち)

座って行う場合より負荷をかけられるエクササイズです。
座りのエクササイズを安定して行えるようになったら取り組んでみてください。

  • 壁に向かって立ち、動かさない足側の手を壁に添えて体を安定させます。
  • 片方の足をももの上部の筋肉を意識してゆっくり持ち上げ、おろす動作を繰り返します。
    腕は動作にあわせてひじを上げますが、お腹に力を入れて、上半身は動かさないようにしてください。
    ランニングを意識して動かすとやりやすいでしょう。
  • 逆の足でも同様に行います。
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