【前編】40代以上の尿漏れは3人に1人!?実は身近な症状

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みなさんは、重い物を持ち上げたり、くしゃみをしたりした時に尿漏れを経験したことがありますか?

尿漏れと聞くと、ご高齢の方や妊娠・出産を経験された方が悩まれるイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、実は若い方や中年の方においても尿漏れは身近な症状です。

今回リガクラボでは、ユニ・チャーム株式会社に勤めている岩田研二先生(理学療法士)に若い方や中年の方の尿漏れについてうかがいました。岩田先生は、尿漏れや排せつケアを専門とされており、論文等のご執筆やメディアへのご出演もされています。

岩田先生に編集部からの質問に対して解説していただいた内容を、前編と後編の全2回にわたってご紹介していきます。前編では、若中年者の尿漏れの現状や症状に適した製品など、今日から参考にできる情報をお伝えします。

40歳以上は、尿漏れ経験者が3人に1人!?

年齢に関係なく、若い方や中年の方でも尿漏れの経験や悩みを抱えている方がいます。尿漏れは、どのような種類、症状があるのでしょうか。

岩田先生:尿漏れ経験のある方は、40代以上になると約3人に1人と言われています。

尿漏れといっても様々な症状があり、4つのタイプ(腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流性尿失禁、機能性尿失禁)に大別されます。

出典:「知っておきたい尿もれ・便もれの基礎知識」(国立がん研究センター)

尿漏れが起こる原因を教えていただけますでしょうか。

岩田先生:女性と男性に分けて説明していきます。

まず、女性は男性より尿道が短く直線的で、加齢や出産をきっかけに尿道を締める「骨盤底筋」に負担がかかってしまうため腹圧性尿失禁になりやすいです。また、女性で強い腹圧がかかるスポーツをされている10代、20代でも腹圧性尿失禁に悩むケースが増えてきています。

腹圧性尿失禁のメカニズム

一方、男性は、加齢に伴う前立腺肥大症が原因で切迫性尿失禁や症状が悪化すると早急な対応が必要な溢流性尿失禁を引き起こします。

また、男性の尿道は長く折れ曲がっているため、湾曲している部分に尿が残りやすく「排尿後尿滴下」と呼ばれるちょいモレが多いのも特徴の一つです。「排尿後尿滴下」は手軽にできる対処法がありますが、症状が改善されない場合は泌尿器科を受診してください。

男性の尿漏れには手軽にできる対処法があるとのことですが、主にどんなことをおこなえば良いのでしょうか。

岩田先生20代男性でも約85%がちょいモレを経験しているとの調査があります。男子トイレに入ると、小便器の前に「もう一歩前へ」と張り紙を見かけることがありますが、これと同じで、少しの工夫で「排尿後尿滴下」は対処可能です。

男性は排尿後、無意識に陰茎を振っている方も多いと思いますが、尿道に溜まっている尿を出し切るミルキング操作と呼ばれる方法があります。陰嚢の裏側の付け根部分を圧迫しながら絞りだす方法は、即時効果が高いのでぜひ試していただきたいです。

悩まずに、自分の症状に合わせて対策しよう

尿漏れに対応する製品があることがあまり一般的には知られていないように思います。実際に今悩んでいる方はどのような製品を使えば良いのでしょうか。

岩田先生:日本の文化的側面もあると思いますが、排せつの悩みについては周りに相談しにくいのが現状です。そのため、なかなか知る機会がないかもしれませんが、最近はテレビCMなどで尿漏れパッドや尿漏れパンツなどが紹介されるようになりました。ドラッグストアなどで症状に合わせたさまざまなパッドが販売されているので、まずはお近くのドラッグストアで相談したり、製品を手に取ってみたりすると良いと思います。

また、女性の場合、尿漏れがあっても購入するのが恥ずかしいという理由で生理用ナプキンを代用している場合も多いです。生理時の経血と尿では、吸収スピード、量、粘度、匂いが違います。生理用ナプキンでは、尿が逆戻りをして肌トラブルに繋がります。

店頭では軽失禁パッドを生理用品の棚の近くに置いて、購入する抵抗感を軽減するように工夫されています。一般的な製品なのでぜひ尿漏れに対応した製品を使用していただきたいです。

名古屋市では大人用おむつを販売する店舗に勤務する方などで、市の養成研修を修了した方を「おむつ選びの専門家」として認定しており相談に乗っていただけます。

また、ユニ・チャームの公式ホームページでは、チャット形式で7つの質問に答えると最適なおむつを提案してくれる「大人用おむつNAVI (https://jp.lifree.com/ja/product/adult/choose/navi.html)」などを紹介しています。ぜひご活用ください。

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