【第2回】私と理学療法〜高校野球で大会目前に野球肘となり、モチベーションが落ちた時に感じた大切なこと~

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連載「私と理学療法」では、ご自身やご家族が、ケガや病気の治療で理学療法を受けた方の体験談をご紹介していきます。

第2回は、高校生時代に野球で右肘の内側側副靭帯を損傷し理学療法を受け、その経験を契機に今ではご自身も理学療法士として活動されている方の体験談です。

PROFILE

ミントライムさん (31歳・男性

群馬県在住
理学療法のきっかけ:右肘内側側副靭帯の損傷(野球肘)

高校野球で大会目前に野球肘となり、モチベーションが落ちた時に感じた大切なこと

最後の夏の大会目前で右肘内側側副靭帯を損傷

高校球児だったミントライムさん

2010年2月、高校球児だった私は、最後の夏の大会に向けて練習に励んでいました。そんな中、練習中に右肘に違和感が生じました。そして、翌朝起きると右肘がまったく伸びなくなってしまっていたのです。

診断の結果は、右肘の内側側副靭帯(肘の内側にある3つの帯からなる靭帯)の損傷でした。いわゆる野球肘で、投球動作の繰り返しや偏った投球フォームによる負担で起こるスポーツ障害です。「最後の夏の大会には間に合わないかもしれないね」と言われたことを鮮明に覚えています。

大切な大会を控えたタイミングでのケガでした。診断を聞いた時には、心の糸がぷつりと切れたような感覚になり、それ以来、練習を休むようになってしまいました。

監督には「もう大会には間に合わないから辞めたい」と伝えましたが、「お前は一番声をよく出しているのだから、今辞めたら絶対に後悔するぞ。たとえケガが治らなくても、絶対に辞めるな」と言われ、なかば強引に私をひきとめてくれました。

身体だけでなく心もケア

2010年の3〜6月頃、二週間に一度程度のペースで右肘のマッサージや投球フォーム指導を中心に理学療法を受けました。

強い痛みがあったため、投球フォームにおける上肢の使い方を指導していただきました。ダーツ投げの練習をおこなったのを覚えています。また、肘が90°以上伸びないくらい、肘の可動域が狭くなってしまったため、主に痛みを和らげ、可動域を広げるためにマッサージを受けたように思います。

理学療法を始めた当初は、野球に対するモチベーションが下がってしまっていたため、理学療法を受けに病院へ行くことが本当に嫌だったのを覚えています。なかなか痛みも改善せず、「やっていて意味があるのかな?」と思った時期もありました。

しかし、担当してくださった理学療法士の方は、ただ治療をするだけでなく、「最後の大会に間に合わなかったらどうしよう」「今、練習に参加しないと補欠になってしまう」といった弱音にも寄り添ってくださいました。また、理学療法は継続することに意義があると励ましてくださり、そのおかげで徐々にモチベーションも回復し、なんとか夏の大会前まで通院を継続することができました。

そして、夏の大会が近づき、練習で忙しくなるため理学療法を終了した後あたりから、痛みが軽減していきました。その時、「ああ、やっぱりやっておいてよかったな」と感じたことを覚えています。

結局、最後の大会は補欠となってしまいましたが、最後まで部の一員として野球を続けることができました。この「続けることができた」という経験は、今の私の大きな心の支えとなっています。

ケガと向き合いながら野球を最後まで続けたことが、今でも大切な経験になっている
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