【第4回】現役理学療法士の声をご紹介!〜若手理学療法士がやりがいを感じたエピソード:感謝編〜
- 総合病院に勤務しています。3年目くらいのときに30代後半の女性のリハビリを担当しました。その方は癌からの骨転移による下肢麻痺と脳転移があり、ほぼ寝たきりのところからリハビリを始めましたが、とても努力家でなんとか車椅子に乗れるようになりました。 病状から予後もあまり良くないことが想定されていたため、初めは表情も暗くて口数も多くありませんでした。しかし、だんだん笑顔も見られるようになり、リハビリを楽しみにしてくださるようになりました。私もリハビリを楽しい時間にしてもらえればとたくさんお話をしました。
ところがある日、突然脳転移から脳出血を起こし、次の日出勤したら亡くなられていました。患者さんが亡くなるという経験はあまりなかったので本当に悲しくて、最期に会いに行けなかったことをとても後悔していました。 後日、病棟の看護師長さんから、その方のご両親が「毎日電話で『リハビリの人がすごく良くしてくれて、できることが増えて楽しい』と聞いて、本人も私たちも元気をもらっていました。本当にありがとうございました」と言っていた、と私に伝えてくださり、自分のやっていたことは間違ってなかったのかもしれないな、と感じました。
私のモットーは、昔、実習先の先生に教えていただいた言葉の通り、「リハビリテーションとおしゃべりテーションの両立」です。その方との関わりが、がんリハや緩和ケアの勉強をしている今の自分に繋がっており、大変感謝しています。(あかね)
お亡くなりになった患者さんは、「リハビリテーションとおしゃべりテーション」に日々、救われていたのですね。一人の患者さんとの関わりを胸に刻んで、学びを深めていく姿に、理学療法士としての心の強さを感じました。
患者さんが好きだったことを叶えたい
- 当院は緩和ケア病棟ではありませんが、長年通院されてきた患者さんの中には、緩和的な支援を必要とされる方もいらっしゃいます。ある患者さんと、約7年間、関わりがあったときのことです。
5年目を過ぎた頃から入退院が増え、病状の進行も明らかになっていきました。それでもご本人はいつも笑顔で、ご家族や友人も明るく過ごされていました。リハビリでは屋外歩行を好まれ、近くの公園までの散歩を楽しみにしていました。 ある日、ご家族から「本人が好きなことを最後に叶えてあげたい」という相談を受けました。ご本人はお酒がお好きだったそうです。もちろん医療的な安全面は慎重に検討しなければなりませんが、関係者間で話し合い、医師や看護師、ご家族の同意を得た上で、負担の少ない形で希望を実現することになりました。
当日は、ご本人がよく訪れた公園へ出かけ、皆で穏やかな時間を過ごしました。ご本人は笑顔で「ありがとう」と繰り返し、その表情はとても晴れやかでした。ご家族からも「大切な思い出になった」と感謝の言葉をいただきました。
全ての方に同じことができるわけではありませんが、その人らしい時間を支えることも理学療法士の役割の一つだと改めて感じた出来事でした。(キュンです。)
身体はもちろん、心にも寄り添い支える姿に、理学療法士としての熱意を感じます。この穏やかな時間は、患者さんはもちろん、ご家族にとっても忘れられないものとなったことでしょう。
まとめ
20代の理学療法士の方々から集まった、等身大の声をご紹介しました。患者さんを支える理学療法士たちは、日々、患者さんからの感謝を受け取りながら働いているのですね。
エピソードからは、日々、生き生きと活躍し、プロフェッショナルとして真摯に理学療法を提供する姿が伝わってきたのではないでしょうか。
これまで理学療法士と直接関わったことがないという方や、理学療法士に興味を持っている方が、理学療法士の仕事により具体的なイメージを持っていただければうれしいです。
第1回と第2回では、やりがいの他、理学療法士を目指したきっかけや理学療法士になって大変だったことなどもご紹介しています。第3回では、患者さんの回復にまつわるやりがいを感じたエピソードをご紹介していますので、ぜひご覧ください。