【第24回】理学療法士のオススメ書籍&一覧 「身体や心の声を聞き、自分で考えることの大切さを知る2冊」

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リガクラボでは、全国の理学療法士から「みんなに薦めたい書籍、薦めたら好評だった書籍」を募集し、毎回テーマに沿ったオススメの書籍を紹介しています。

読者の皆さんの健康に役立つ、そして身体や命について考えるきっかけになるような書籍を、理学療法士の視点でピックアップしていきます。

第24回となる今回のテーマは「身体や心の声を聞き、自分で考えることの大切さを知る2冊」です。

それでは早速、一冊目の本をご紹介します。

自分の頭と身体で考える

『自分の頭と身体で考える』養老孟司/甲野善紀 著(PHP研究所)
著者: 養老孟司×甲野善紀
出版社: PHP研究所

書籍の概要

※概要は、公式サイトからの引用・抜粋となります。

身体には、まだまだ私たちが気づいていない感覚や能力が隠されている??。本書は、解剖学者と武術研究家による「身体」と「世間」をめぐる冒険的対論である。甲野氏によれば、昔の名人は剣を三寸動かしただけで「ヒュン」という音がしたそうである。現代人が忘れてしまった身体の可能性があるのだろうか。一方、養老氏は、安全第一と考える日本人のマザコン感覚が、それらの可能性を見えにくくしてしまったと指摘する。その上で、「自分の身体をもっと信用したらいいんです。少なくとも、あなたの頭(意識)よりはよっぽどよく考えてできているはずです。身体については、何十億年という歴史があるわけですから」と語っている。話題は、日本人の美意識、歴史感覚、老人医療問題など多岐にわたる。お互い、日本のいう村落共同体から抜け出し、いかに自分の頭と身体で考えるかについて、忌憚のない意見を交換している。異色コンビゆえに楽しめる、刺激的対論の書。

オススメする理由

ペンネーム:富山 隆興 さん

現代人が見落としがちな身体感覚の重要性について、養老孟司氏と甲野善紀氏による対談本を紹介します。

私たちは日常生活で判断や思考を「頭」でおこなうことが当然と思いがちですが、実は「身体」の感覚や動きが大きな影響を与えています。また、日本人は言葉にしなくても分かり合う文化を持ちながら、現代人では情報過多となり頭を使いすぎる傾向があります。

甲野氏は武術を通して、動きが思考にどう作用するかを強調し、養老氏は解剖学の視点から身体と頭の連携を説いています。

忙しい日常の中で、身体に耳を傾けることで新しい視点やアイデアが得られるかもしれません。

【リガクラボ編集部より】

人間が「脳」で考えていることは、「身体」から見るととても非常識!? そんな刺激的な内容の本書を読むと、頭=脳で考えることだけがすべてではないことに気づかされます。

解剖学と古武術を通して、人間の身体を追求してきた養老氏と甲野氏ならではの言葉の数々は、日本社会の問題点などにも言及していきます。

脳の思考に頼り切るのではなく、身体が感じることを大切にしていけば、書名でもある「自分の頭と身体で考える」ことができるようになっていくのだと気づかされる一冊です。

続いて二冊目はこちら。

賢い患者

著者: 山口育子
出版社: 岩波書店

書籍の概要

※概要は、公式サイトからの引用・抜粋となります。

医療者や病院,病気との向き合い方とは。6万件近くの患者・家族からの電話相談、長年続けている医療機関を患者の目線で見直す活動などを横糸に、みずからのがん患者体験、大切な人を支え切る経験を縦糸に、その答えを探っていく。

オススメする理由

名前:匿名希望

著者は、自身が25歳で卵巣がんを発症した経験から、患者理解に繋がる双方向性を持ったインフォームド・コンセント(※)の普及に尽力し続けています(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)の二代目理事長)。

その活動は、患者の医療への向き合い方に加え、数多くの電話相談に対応してきた経験を踏まえたメッセージを医療者に伝えること(全国の医学部での講演活動等)など、多岐にわたります。さらには、厚生労働省や文部科学省の多くの審議会に委員として参加し、患者側の立場としての委員を務めるなど、医療を受ける側の声を発信し続けています。

本邦は、超高齢社会を迎えました。寿命が延伸すると、複数の慢性疾患や、様々な障害を抱える可能性が増えてきます。医療者の努力だけではなく、疾患や障害を抱えた私たち患者も適切に薬を服用したり、生活習慣を見直したりと自分にできる努力をしながら、役割意識をもって積極的に医療に参加していくことが大切です。

また、治療方法の選択肢などを医療者と一緒に考え、決めることが求められたときに、冷静に対応ができることも重要です。

本書では、命や人生を医療者に「お任せ」せず、私たち患者が自立して、主体的に医療に参加する「賢い患者」に必要な要素や考え方などを学べる点が特にオススメです。

(※)「インフォームド・コンセント」
患者・家族が病状や治療について十分に理解し、また、医療職も患者・家族の意向や様々な状況や説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するか、患者・家族、医療職、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど関係者と互いに情報共有し、皆で合意するプロセス。

看護協会HPから引用:
https://www.nurse.or.jp/nursing/rinri/text/basic/problem/informed.html

【リガクラボ編集部より】

自分や家族が病気になり、治療を受ける場合、私たちはどのように医師や病院と向き合えば良いのでしょうか。患者、医療者の双方向へ働きかける活動を続けてきた山口育子氏は、患者が医療者や病院と、より良い信頼関係を築くために必要な情報を、実例とともにわかりやすく説明しています。

山口氏は、十代のころから「自分で決める」「自分の力で生きる」ことを大切にしてきたと述べています。闘病生活に前向きに向き合っていくためには、自分が信頼できる病院や医師を探し、納得できる治療を受けることが大切です。本書には、自分で決めることの助けになるアドバイスが満載です。

現在闘病中の方はもちろん、もし病気にかかった時にどうすればいいかを考えるヒントが得られるのではないでしょうか。

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