PROFILE
高木 ひとみさん(70代後半・女性 )
神奈川県在住
理学療法のきっかけ:封入体筋炎
連載「私と理学療法」では、ご自身やご家族が、ケガや病気の治療で理学療法を受けた方の体験談をご紹介していきます。
番外編では、第1回で封入体筋炎の体験談をお寄せいただいた高木ひとみさんに再びご登場いただきます。
高木さんの体験談には、同じ病気を抱える方やそのご家族から多くの反響をいただきました。今回、高木さんから掲載以降に病気とどのように向き合ってきたかについてご連絡いただき、読者の皆さまの参考になるのではないかと考え、番外編として「高木さんのその後」をお届けすることにしました。現在の体調、5年間の理学療法の効果、病気の進行に伴う様々な症状や今感じていることなどについてご紹介します。
神奈川県在住
理学療法のきっかけ:封入体筋炎
2021年に指定難病「封入体筋炎」を発症しました。この病気は大腿部や手指の筋肉が萎縮するもので、根本的な治療法が確立されていないため、筋力維持には継続的な運動が欠かせません。
発症当初は大きなショックを受けましたが、病院での理学療法を通じて「まだ頑張れる」という希望を持ちました。医療保険によるリハビリ期限が終了した後は、要介護認定を受け、2022年から理学療法士のいるデイサービスへ通い始めました。デイサービスでは、理学療法士のもと、スクワットやレッグプレスなどの運動に加え、歩行のコツなども指導していただき、筋力を少しでも維持できるよう、さまざまなリハビリテーションやトレーニングに日々取り組んできました。
封入体筋炎は症例が少ないため、より専門的な診療や評価が受けられる医療機関について担当医師にも相談し、紹介いただいた病院を受診することにしました。
そこで、そちらの病院で診察している30名超の封入体筋炎患者の方々の傾向から「手足の筋力低下、嚥下障害以外にも注意すべき観点がある」「呼吸(肺活量)・心筋の機能低下する場合がある」ことを知ることができました。
家族とも相談し、かかりつけの病院に戻り、様々な症状の進行状況について検査を受けることになりました。また、以前から気になっていた嚥下機能についても、この機会にあわせて詳しく調べていただくことにしました。
嚥下機能の状態を調べるために、耳鼻科で精密検査をおこないました。喉の筋肉の状態を確認。検査の結果、嚥下障害の初期症状があることがわかりました。
嚥下障害が進行すると、食事の際などに飲み込みにくさや、むせ込みが発生します。医師からは、「声を出す、歌を歌うなどして喉を使うことが大切かつとても有益です。両方を実施しつつ、もっと進行してきたら嚥下専門の作業療法士とともに訓練など次のステップへ進みましょう」と言われ、進行を予防していくことになりました。
肺活量が低下すると、息切れがしやすくなったり、呼吸がしにくくなるとのことで、肺活量検査をおこない、肺がどれくらい機能しているかを診てもらいました。
検査技師に気合いを入れられながら、大きく息を吸ったり吐いたりする検査は少し大変でしたが、こちらは問題なしとのことでひと安心でした。
封入体筋炎は、心筋が弱る事例もあったと先の病院でお聞きしたため、心電図検査もおこないました。こちらも今のところ病気の影響はないとのことで安心しました。
いずれにしてもその時点では大きな問題がなかったので、歩行の際の息切れや動機が肺活量低下や心筋の弱りが原因ではない事がわかり、気持ち的にも楽になることができました。
発症から5年が経過し、仕方がないことですが病状は緩やかに進行しています。発症時は少し困難を感じつつも普通に歩くことができ、水中ウォーキングなどにもおこなっていましたが、今では数メートル歩くのも大変です。手や指の麻痺(特に左手)も出てきましたし、引き続き嚥下障害もあります。心筋・肺活量については検査では異常はないものの、少し歩いてもハァハァと息切れするようになりました。
しかし、現在も治療と理学療法をおこないながら生活をしています。最近では脚のむくみもひどく、訪問リハビリテーションで来てくれた理学療法士の方にほぐしてもらっています。歩行器を使うことが多いため、無意識に力が入っているのか、肩や背中など痛むところもたくさんあります。こちらも理学療法士の方に、腕や股関節のマッサージをしてもらっています。
嚥下障害については、必ず水分を口に含んで食べ物を流し込むようにしています。窒息を避けるため、少しずつゆっくり食べる、大きい食べ物(かたまりのお肉など)は食べない、一度にたくさん飲み込まないなど、注意しています。
また、医師からは「転倒」が一番危険とも言われているので、こちらも気をつけています。封入体筋炎の方は、転んだら自力で起き上がるのが困難です。
私は1年に3回骨折してしまい、そこで初めて気づいたのですが、骨密度も低下していました。病気で歩行困難になると運動量が減り、骨も弱くなると思います。病気になる前は骨密度の結果が非常に良かったので、骨粗鬆症になるとは夢にも思っていませんでした。特に女性は早めに骨密度を測り、医師に相談のうえ、運動をしたり、薬を飲んだりなど対策をしたほうが良いと思います。
あとはトイレの問題です。症状が進行すると、トイレ内に手すりがないと立ち上がることができません。これは非常に辛いことです。私自身、通所リハビリテーションで脚にウエイトをつけて上げ下げするなど、筋肉キープをしながら何とか頑張っています。家の中に早めに福祉用具を設置するなど、自宅で過ごしやすいように対策することをおすすめします。
トイレの手すり(介護保険1割負担適用/高木さんの場合は月額 約400円程度)
ベッドの補助具(介護保険1割負担適用/高木さんの場合は月額 約300円程度)