【第3回】シカクの人物図鑑 山田修平さん:在宅医療・広報・フォトグラファーの3方向で、超高齢社会の課題解決に取り組む理学療法士

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「シカクの人物図鑑」シリーズでは、理学療法士としてお仕事をされていて、その他にも素敵な特技をお持ちの方、別のフィールドでも活躍されている方などをピックアップして紹介していきます。

第3回となる今回は、理学療法士として訪問看護をおこないながら広報を兼務、また、“年齢を重ねることが楽しい世界”を目指したコミュニティを立ち上げ、時にはフォトグラファーにもなって超高齢社会の課題解決に取り組んでいる山田修平さんをご紹介します。

シカクの人物図鑑:プロフィール

山田 修平(やまだ しゅうへい

■年齢:24歳

■現在のお仕事:
①ソフィアメディ株式会社/理学療法士/広報
②Growing Old Together/イベント企画・運営

■今のお仕事を始めるまでの経歴:
2018年  八潮中央総合病院 入社
2019年~ Growing Old Togetherを立ち上げ、代表に就任
2020年~ ソフィアメディ株式会社 入社

■最近あったちょっと気になること:
Youtuberのきまぐれクックさんにハマっています。魚を捌いて食べるだけの動画なのですが、改めて「命をいただいていてるんだな」と気づかせてくれる内容ばかりでおもしろいです。あと、自分でも魚を捌きたくなりました。

■SNS

Twitter

高齢者にポジティブなイメージを。新たな価値の提供に挑戦し続ける、山田修平さんの人物図鑑

山田さんはなぜ、理学療法士資格を取得しようと思ったのでしょうか?

山田さん:父親が理学療法士だった影響が大きいですね。

僕が育った香川県は小さいので、父と一緒にどこかへ出かけると患者さんに会うことがよくありました。そのとき、患者さんから「本当にお世話になりました。ありがとうございました」と感謝される父の姿をよく見ていたんです。なので、幼いころから「理学療法士って、人から感謝される仕事なんだな」と漠然と思っていました。

高校生になり進路に迷ったとき、父に「理学療法士ってどんな仕事?楽しい?」と尋ねたところ、「楽ではないけれど、めちゃくちゃおもしろいし、やりがいのある仕事だと思うよ」と言われたのがきっかけで、興味を持ち志すようになりました。

現在は広報の仕事やコミュニティでの活動もされているんですね。そのきっかけは?

山田さん:理学療法士として病院で働いている中で、高齢者って非常に魅力的な存在だなと思うようになりました。魅力を言語化するのは難しいのですが、豊かな人生経験で培ってきた最高級の知恵を、見返りを求めない無償の愛と共に提供してくれる、愛らしい存在だなと感じたんです。

ですが、世の中の高齢者に対するイメージは必ずしも良いものではなく、自分の感覚と世間の感覚にギャップがあることに気がつきました。そこでまず現状分析して、理由を考えてみたんですね。そうすると「今の日本には高齢者に関するネガティブな情報は多いが、ポジティブな情報はかなり少ないのではないか?」という仮説にたどり着きました。

今、日本(特に都心部)は地域のつながりの希薄化が進み、近所付き合いも減少している。核家族や単独世帯が多く、自分の祖父母との関わりすらも希薄になっているケースも珍しくない。結果として高齢者と直接的に接する機会はかなり少なく、メディアなどのネガティブな発信によってイメージが作られているのではないか、と。

だから、理学療法士として多くの高齢者と接している僕が、高齢者の魅力やリアルを発信しようと考えたのがきっかけで、現在の活動に至りました。

実際にどのようなお仕事や活動に取り組んでいらっしゃるんですか?

山田さん:僕が今働いているソフィアメディ株式会社は、在宅療養のための訪問看護をおこなう会社です。前述のとおり、高齢者の魅力やリアルを発信したいという思いから、より高齢者の暮らしや生活の中でのリハビリテーションに興味を持ち、この道に進みました。

現在は、理学療法士として訪問看護ステーションでリハビリテーション業務をおこなうほか、広報も兼務するという、新しい働き方に挑戦しています。またまだ発展途上ではありますが、セラピストとしての新たなキャリアのロールモデルを作れればと思っています。

個人としては、2019年「Growing Old Together(以下、GOT)」というコミュニティを立ち上げました。GOTでは「Positive Aging World -歳を取ることが楽しい世界へ-」をビジョンに、10人の仲間とともにさまざまなイベント運営などをおこなっています。

直近では、今年の1月にGOT主催で、「最高にイケてる高齢者の写真展」を開催しました。3日間の開催で500人以上の方が足を運んでくださり、本当にうれしかったです。日本テレビのニュース番組でも取り上げられ、想像以上の反響がありました。

理学療法士、広報、コミュニティ活動のどんなところにやりがいを感じますか?

山田さん:個人的に、リハビリテーションとは「人の幸せを再建する」サポートをする仕事だと思っています。その手段が理学療法かもしれないし、広報かもしれないし、写真展(コミュニティ活動)かもしれませんが、いかなる形でもこのリハビリテーションの概念が、自分のやりがいにつながっています。

個人の“幸せ”が多様化している現代社会の中で、答えがなくてとても大変なのですが、だからこそ可能性があるし、とてもワクワクする仕事だなと感じています。

理学療法士としての経験は、広報やコミュニティでの活動に活かされていると感じていますか?

山田さん:理学療法士の経験で一番役に立っているのは、高齢者とのコミュニケーションですね。

やはり年齢が離れていると、ある程度のジェネレーションギャップがあります。そこを考慮してコミュニケーションを取るように意識することで、高齢者との信頼関係を築けたり、さまざまなリアルな声を引き出せたり、良い写真が撮れたりしているのかなと。

特に写真展のときは、道端で声をかけてスナップ写真を撮影していたので、コミュニケーション能力が必須でした。こんな若者に急に声をかけられたら、多くの人は怪しいと感じると思うので(笑)。その壁を乗り越えるための能力は、臨床経験から身に付いたと思います。

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