【第5回】シカクの人物図鑑 楜澤誠也さん:健康美コンテストでグランプリ受賞、「農民体操」を広める理学療法士
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「シカクの人物図鑑」シリーズでは、理学療法士としてお仕事をされていて、その他にも素敵な特技をお持ちの方、別のフィールドでも活躍されている方などをピックアップして紹介していきます。
第5回となる今回は、長野県内の病院で勤務しながら、自身の身体を鍛え上げミスター&ミス・モデルジャパンの関東大会グランプリを受賞、YouTubeでの体操動画も注目されている、細マッチョな理学療法士の楜澤誠也さんをご紹介します。
【特集】シカクの人物図鑑
シカクの人物図鑑:プロフィール
楜澤 誠也(くるみさわ せいや)
■年齢:38歳
■現在のお仕事:理学療法士(JA長野厚生連佐久総合病院 佐久医療センター リハビリテーション科)
■今のお仕事を始めるまでの経歴:
2005年〜 JA長野厚生連佐久総合病院 勤務
2017年 ミスター&ミス・モデルジャパン2017関東大会 ミドルクラス グランプリ受賞、日本大会 ミドルクラス 4位入賞
2019年 ミスター&ミス・モデルジャパン2019東日本大会 3位入賞
2020年 新型コロナウイルス感染症による自粛期間中に、「農民体操」動画をYouTubeにアップ
■最近あったちょっと気になること:
子どもたちと夏休みの自由研究をしたことです。子どもの目線は時に奇抜で、大人が当たり前だと考えていることに疑問を投じてくれます。いかに疑問点を定量的に解決するかが大変でしたが、一緒に取り組むことが楽しかったです。
■SNSなど
自分の頑張る姿を患者さんの活力に!理学療法士だからこそ可能な地域支援に努める、楜澤誠也さんの人物図鑑
楜澤さんはなぜ理学療法士資格を取得しようと思ったのでしょうか?
楜澤さん:理学療法士になったきっかけは祖父の入院でした。祖父がリハビリテーションに励む姿を見て、私も人を助ける仕事がしたいなと思ったんです。また単純に、白衣を着て仕事をしている理学療法士がかっこ良く見えました。自分もかっこ良い理学療法士になりたい、そんな憧れの気持ちから理学療法士を目指しました。
楜澤さんは憧れの理学療法士となって活躍されているのですね。現在の勤務先や具体的な仕事について教えてください。
楜澤さん:私の勤務するJA長野厚生連佐久総合病院は「農民とともに」という理念を掲げ、1944年から地域密着医療を担いながら発展した歴史のある病院です。
当病院は幅広い患者様を対象としており、ドクターヘリを運用する超急性期医療をはじめ、小児疾患や回復期リハの医療分野、生活期・維持期などの介護保険分野、介護予防に至るまでライフステージのすべての時期に対応をしています。
「ゆりかごから墓場まで」の精神で、長野県の東信地域のリハビリテーションの一体的なサービスが提供できるよう、継ぎ目のないシームレスな連携を図り業務に取り組んでいます。
私はその中で他のスタッフとローテーションをしながら、多くの患者様のリハビリテーションを実施しています。
楜澤さんは理学療法士でありながら、身体の“健康美”を追求しているとお聞きしました。トレーニングや身体作りを始めたきっかけは何ですか?
楜澤さん:30歳のとき、患者さんに退院時の自主トレ指導をする際に、「私に指導するけれど、先生はやってるんかい?」と言われたことがありました。そのとき、私は何も答えられなかったのです。
そこで、自分が行動している姿を見てもらうことで患者さんの行動も変わるのではないかと思い、トレーニングを開始しました。そして「ベストボディ・ジャパン」という日本一出場者の多いフィットネスコンテストがあることを知り、どうせやるなら目標を決めようと出場を決意しました。
コンテストにはさまざまな部門があるのですが、私はモデルジャパン部門というスリムでスタイリッシュな身体を競う部門、簡単に言うと細マッチョのカテゴリーにトライしました(もちろんマッチョ、ゴリマッチョの部門もあります)。評価には知性・品格・誠実さも含まれ、写真のほか小論文も含む書類選考を通過しないと大会に出場できません。
継続した努力の結果、ここ数年間の間にミスター&ミス・モデルジャパン 関東大会グランプリ受賞、東日本大会3位入賞、日本大会4位入賞の成績を収めることができました。フジテレビ系長野放送の密着取材も5回ほど受け、2017NBSみんなのニュース年間大賞もいただくことができました。
患者さんの一言が楜澤さんを変えるきっかけにつながったのですね。ところで最近、YouTubeで“ある動画”が話題になったとお聞きしたのですが…?
楜澤さん:新型コロナウイルス感染症により、世間では自粛期間がありました。「stay home」や「おうち時間」で身体活動の低下を防ぐために、地域の方に向け、理学療法士として、そして地域医療を支える病院のスタッフとして何かできないかを考えました。
はじめは新しい体操や運動を提案しようと考えたのですが、なるべく早く地域の方々に届けるには時間が足りな過ぎる…と熟慮した結果、1963年に佐久総合病院が農民の方々に向けて作成した「農民体操」があることを思い出しました。
農民体操は長野県旧八千穂村発祥と言われ、有線放送で毎日流れている地域もあり、地元の中高齢者の方々には馴染みのあるものです。現在でも長野県佐久市周辺でよくおこなわれています。そこで、温故知新と考え、体操動画を作成し、病院のYouTubeチャンネルにアップをしました。その様子はテレビのニュース番組にも取り上げられました。
楜澤さん:病院内の課によっては、毎朝、農民体操を定着しておこなっているところもあるようです。自分自身が、みなさんの行動のきっかけになれたのはうれしかったですね。
病院内で「体操見たぞ!」など、医師やほかの職員から声をかけてもらえることもあります。
市民にもなじみのある農民体操を改めて動画化されることで、皆さんの健康をサポートされたのですね。楜澤さんが活動を進める中で心がけていることはありますか?
楜澤さん:私は「理学療法士ができること」「理学療法士でないとできないこと」を常に意識し、仕事に取り組んでいます。それは職域を守ることにもつながると考えています。
現在は、理学療法士として、地域住民に向けた講演会や少年野球のフィジカルコーチ、病院職員向けの運動療法など、必要とされて声をかけていただければ積極的に参加するようにしています。
楜澤さんの理学療法士としてのプライドが感じられます!お仕事に対するやりがいを教えてください。
楜澤さん:どの医療職より、患者様と向き合う時間が多いのがセラピストだと考えます。患者さんに自分の頑張る姿を見ていただき、それで患者さんの重い腰が上がればうれしいし、患者さんに「頑張れ!」と言う理学療法士がほとんどですが、大会前に患者さんから「頑張れ!」と言ってもらえる私は本当に幸せ者だと感じています。
理学療法士として、患者様との関係性が一番のやりがいだと思います。
トレーニングをおこなう中で、理学療法士の経験が生かされていると思う瞬間はありますか?
楜澤さん:トレーニングをしていると、さまざまな人に出会います。身体のどこかに痛い箇所がある人や筋力トレーニングの方法を知らない人、そのような方々に理学療法士ならではのアドバイスができることがうれしいです。
また、フィットネスやトレーニングが習慣になっている外国人の方との出会いも多く、みな理学療法士という職業をリスペクトしてくれます。トレーニングを通じて海外の方々と話す機会が増え、友人が増えたのはとてもうれしいしですし、田舎にいながら異国の文化に触れることができるのもありがたいですね。
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