【第1回】暮らしに理学療法士の視点を:最適な福祉用具の選び方~自立していてもふらつきがある場合(前編)

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家の外の移動:安全に外を歩く工夫をしましょう!

家から出て散歩や買い物などに出かけることは生活に活力をもたらします。しかし、家の中と比べると、坂や地面の凹凸などがあり歩くのに体力が必要で、バランスを崩して転倒する危険もありますので、安全に配慮して外出したいものです。

杖では不安がある方向けには、歩行車などの歩行補助用具があれば安心です。歩行車の四つの車輪の中に足が入ることで、安定して歩けます。なお、昔からあるシルバーカーといわれているものの中には、取っ手の部分に体重をかけると前輪が浮いてしまうこともあるので注意が必要です。

福祉用具ワンポイントレッスン② 歩行補助用具の選び方

歩行車を選ぶ際には、移動中にひと休みできるように座れるタイプのものや、かばんや買い物をした荷物などを収納できるものが便利です。ただし、おひとりで使う場合には、歩く場面ばかりではなく、1人で簡単に折りたたみができるのか、玄関からの出し入れは安全にできるのかなども確認してください。

睡眠:寝具を見直しましょう!

睡眠は一日の活力の源です。夜はしっかり寝て、昼間に活動することは体力の維持や健康にとって大切なことです。睡眠が不十分では昼間もウトウトしてしまい日中の活動にやる気が出なかったり、歩くときにもふらついたりします。しっかりと安眠できる環境が必要です。

高齢になると、今まで使っていた布団の中で動きにくくなることがあります。特に、冬場の掛け布団や毛布などを何枚も使うと、身体にまとわりついて使いづらくなることがあります。軽めの寝具に変えたり、毛布などを重ねて使う場合は保温性の高いものを取り入れて枚数を減らしたりするなどの工夫をしましょう。また、掛け布団と毛布を1つの掛け布団カバーの中に入れて使うなど、扱いやすい形にするのもよいでしょう。

夜間にトイレに行く機会が増えてきたら、畳に布団ではなく、ベッドを使って寝具からの出入りをしやすくしましょう。また、夜中に目が覚めて起きて立ち上がったときはふらふらしやすいものです。昼間は何の支えもなく歩いている人でも、夜間は不安定になりやすいため、ベッドの横からトイレまで手すりなどの支持物があると安心です。

ふらつきやすい方は、起きてすぐには身体がスムーズに動かないので、動き始めに、ベッドの横にある手すりにつかまって、大きく2、3回足踏みしてから動くだけでも安定性が増しますので試してみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。家の中でも外でも、おひとりで行動ができるAさんのような方には、周りの補助がなくても安全に使えるものを選ぶことが大切です。安心安全に移動できる手段を手に入れることで、家族やご近所さんなど社会と関わる接点を維持することにもつながります。

次回は、Aさんの日中の過ごし方、入浴、トイレを取り上げ、それぞれのシーンで適切な対策と福祉用具についてご紹介します。

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