【第2回】暮らしに理学療法士の視点を:最適な福祉用具の選び方~自立していてもふらつきがある場合(後編)

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この連載では、3人のケースを例に専門家である理学療法士が福祉用具の選び方についてアドバイスしています。

今回は前回に引き続き、Aさんにアドバイスをしていきます。前編では、「家の中の移動」「家の外の移動」そして「睡眠」に対して、身体や環境面の工夫を交えて福祉用具をご紹介しました。

後編では、「日中の過ごし方(リビング)」「入浴」「トイレ」を取り上げ、それぞれのシーンの困りごとに適切な福祉用具や対応方法について、株式会社くますまの河添竜志郎さん(理学療法士)にうかがっています。

日常生活は、ほぼ自立しています。
歩行は不安定で手すりなどの支持物が必要です。

座ることはできますが立ち上がりは介助が必要です。
生活内に介助が必要な場面が多くなっています。

支えのない状態で座っていることができません。
日常生活は多くの介助を必要とします。

自立していてもふらつきがあるAさんを支える福祉用具とは?

前編に続き、今回取り上げるのはAさんです。ふらつきがあり、家の外はもとより家の中の移動でも転びそうになるときがあります。立ち上がるときやしゃがみ込むときに支えがないと危ないと感じています。とはいえ、自分でできることも多いので、どんな福祉用具を用いればちょうどよいのか、わからずに困っているようです。

それでは、今回も福祉用具使用者の状況に合わせて、アドバイスをしていきます。下記4つの「生活を考えるうえで大切なポイント」を踏まえて、見ていきましょう。

この記事では、それぞれの場面ごとにアドバイスをしていきます。今回は、「日中の過ごし方(リビング)」「入浴」「トイレ」の3つを取り上げます。

※その他の場面については、前編をご参照ください。

日中の過ごし方:食事・団らん、リビングでの過ごし方などを工夫しましょう!

歩くことが不安になってくると、活動範囲も狭くなり家の中に閉じこもりがちになります。さらには、家の中でも、徐々にベッドや布団にいる時間が長くなり、身体もこころも衰えがちです。そのようにならないために、家の中での過ごし方を工夫しましょう。

一日の過ごし方で大切なことは、規則的な生活や活動です。朝はある程度決まった時間に起きて朝食を摂り、日中は趣味やお出かけなどの活動をし、夜は家族とともに夕食を摂り、決まった時間に寝るという具合です。

この規則正しい時間を過ごすために大切なことは、朝起きたらまず着替えることです。パジャマのまま過ごすと朝もだらだら寝てしまったり、日中もベッドに寝てしまったりします。すると、夜に眠れなくなり、翌日の日中にウトウトし、活動する気力もなくなってしまいますので、お昼寝をする場合も短時間にしましょう。

福祉用具ワンポイントレッスン① 椅子の選び方

ウトウトしないために日中はベッドや寝具から離れることが大切です。ただし、代わりにどこに座って過ごすかが重要です。立ち上がりにくい床に座る生活であれば、椅子を使う生活にすることで立ち上がりやすくなり、座ることも快適になります。

どうしても床に直接座らざるを得ない場合には”昇降座椅子”を使うと、座椅子が電動で動き、ご本人が立ち上がりやすい高さまで上がってくれるので便利です。また、椅子を使った生活になっても、座っている椅子が快適でなければベッドに戻りたくなってしまいます。ある程度座っても負担がなく、座り直しや立ったり座ったりが楽にできる椅子を選びましょう。

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