【第4回】暮らしに理学療法士の視点を:最適な福祉用具の選び方~立ち上がりに介助が必要な場合(後編)

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この連載では、3人のケースを例に専門家である理学療法士が福祉用具の選び方についてアドバイスしています。

今回は前回に引き続き、Bさんにアドバイスをしていきます。前編では、「家の中の移動」「家の外の移動」そして「睡眠」に対して、身体や環境面の工夫を交えて福祉用具をご紹介しました。

後編では、「日中の過ごし方(リビング)」「入浴」「トイレ」を取り上げ、それぞれのシーンの困りごとに適切な福祉用具や対応方法について、株式会社くますまの河添竜志郎さん(理学療法士)にうかがっています。

日常生活は、ほぼ自立しています。
歩行は不安定で手すりなどの支持物が必要です。

座ることはできますが立ち上がりは介助が必要です。
生活内に介助が必要な場面が多くなっています。

支えのない状態で座っていることができません。
日常生活は多くの介助を必要とします。

立ち上がりに介助が必要なBさんを支える福祉用具とは?

前編に引き続き、今回取り上げるのはBさんです。座ることはできても、立ち上がりは介助が必要です。ベッドからの起き上がりや、食事の際などにも不便を感じています。Aさんと比べるとサポートが必要な機会が多くなります。どのような工夫をすると、Bさんが生活しやすくなり、介助する側の負担も減らせるのでしょうか。

それでは、今回も福祉用具を使用する方の状況に合わせて、アドバイスをしていきます。以下の4つの「生活を考える上で大切なポイント」を踏まえて、見ていきましょう。

この記事では、それぞれの場面ごとにアドバイスをしていきます。今回は、「日中の過ごし方(リビング)」「入浴」「トイレ」の3つを取り上げます。

※その他の場面については、前編をご参照ください。

日中の過ごし方:身体を動かす機会を作りましょう!

Bさんに頑張って欲しいことは、日中はできる限りベッドなどの寝具から離れることです。「ちょっと今日は身体がきついから…」と一日中横になっていたり、介助者が車いすへ移乗させるのが大変だからとベッド上で過ごすということがあると、徐々にベッドから離れることが少なくなり、体力や気力も薄れて、寝たきりに近づいていきます。

寝たきりを防ぐためには、ベッドから離れるための移乗が容易なだけではなく、ベッドから離れた後の活動が楽しくて快適であることが大切です。ベッドから離れても、一日中座ってテレビを見るだけではベッドの上にいるのと変わりありません。

新たな趣味を見つけることや散歩などの外出、地域の公民館で開催されているサロンやデイサービスなどへの参加を積極的に取り入れて、身体を動かす規則正しい生活リズムを作りましょう。

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