【番外編】教えて!初めての在宅介護~介護保険施設とは?~

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リガクラボの連載「教えて!初めての在宅介護」では、初めての介護への疑問・不安についてお答えするべく、在宅介護に関する情報を紹介しています。

第3回の記事では、介護サービスにかかる費用についてお話ししました。番外編となる今回は、在宅介護が難しくなった場合の選択肢のひとつとなる、介護保険施設についてお話ししていきます。

PROFILE

今回の質問者:Aさん (45歳・女性

・70代の父親が脳梗塞となり、介護が必要になった。
・介護は未経験で、在宅介護を検討している。
・父親の住まい:東京都 世田谷区
・父親の年間収入額:約180万円(公的年金を含む)
・父親の要介護度:要介護2

Q. 以前、在宅介護者が自宅で受けられる介護サービスについて教えてもらいました。もし将来的に父の要介護度が上がるなどし、在宅介護が難しくなった場合のことが少し心配です…。

A. 介護は長期的になることも多いですから、先々のことも心配ですよね。そこで今回は在宅介護からは少し離れますが、介護施設についてお話ししていきましょう。

要介護者が入居して生活できる施設にはさまざまな種類があります。以前、介護サービスの主な内容をご紹介した際、「施設などで生活(宿泊)しながら、長期間又は短期間受けられるサービス」も含まれていましたね。今回はこの介護保険のサービスで利用できる、居住型の介護施設を紹介します。

【第2回】教えて!初めての在宅介護~介護サービスとは?~

介護保険のサービスで利用できる介護施設は「介護保険施設」と呼ばれています。介護保険施設には以下の4つがあります。

介護保険施設と主な内容

介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム)
・要介護高齢者のための生活施設。入居する要介護者に対し、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上のサービス、機能訓練、健康管理および療養上のサービスをおこなうことを目的とする。
・原則65歳以上で、要介護3以上の方が利用できる(要介護1・2でもやむを得ない理由がある場合は利用可)。
介護老人保健施設
(老健)
・要介護高齢者にリハビリテーションや必要な医療、介護等を提供し、在宅復帰・在宅支援を目指す施設。入居する要介護者に対し、看護、医学的管理の下における介護および機能訓練、その他必要な医療並びに日常生活上のサービスをおこなうことを目的とする。
・原則65歳以上で要介護1以上の方が利用できる。
介護療養型医療施設 ・医療の必要な要介護高齢者のための長期療養施設。療養病床などがある病院または診療所で、その療養病床等に入院する要介護者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護その他のサービスおよび機能訓練、その他必要な医療をおこなうことを目的とする。
・原則65歳以上で要介護1以上の方が利用できる。
介護医療院 ・要介護高齢者の長期療養・生活施設。要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要である者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護および機能訓練、その他必要な医療並びに日常生活上のサービスをおこなうことを目的とする。
・原則65歳以上で要介護1以上の方が利用できる。

「要介護度」については下記の記事で詳しくご紹介していますので、こちらもご覧ください。

【第1回】教えて!初めての在宅介護~介護が必要になったら?~

Q. 介護保険サービスで利用できる入居施設にも、種類や特徴があるのですね。それぞれ詳しく知りたいです。

A. では、それぞれの施設の特徴についてもう少し詳しくお話していきましょう。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、要介護高齢者のための生活施設です。

2019年12月の厚生労働省の発表によると、この時点で入所申込者は29.2万人と非常に人気が高い施設です。入居者は原則65歳以上で要介護3以上の方ですが、深刻な虐待を受けている方や認知症の方など、入所が必要と判断された方は要介護1~2でも入所可能です。

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設は、要介護高齢者にリハビリテーションや医療、介護などを提供し、在宅復帰・在宅支援を目指す施設です。

介護老人保健施設には医師が配属されており、健康管理などをおこなってくれますが、そのため原則病院を受診することができません。また、在宅復帰・在宅支援を目指す施設であるため、長期間の入所は難しい場合が多いのも特徴です。

介護療養型医療施設と介護医療院

介護療養型医療施設は2023年度末に廃止となり、介護療養病床が介護医療院に移行することが決まっているため、まとめてお話しします。

介護療養型医療施設は、医療を必要とする要介護高齢者のための長期療養施設です。一方、介護療養型医療施設が移行する予定の介護医療院は、要介護高齢者の長期療養や生活をするための新たな介護保険施設として平成30年4月より創設されました。基本的な機能は介護療養型医療施設と同じですが、利用者の看取りやターミナルケアの機能も重要な役割のひとつとされています。

今回ご紹介した4種類の介護保険施設はそれぞれ目的やサービス内容が異なります。Aさんのお父様の状態や入所条件、目的などを考慮して選ぶことが大切です。検討の際は、ケアマネジャーに相談してくださいね。

※介護サービスの内容などには地域差があります。
※この記事は2022年4月13日時点での情報で作成しています。
※この記事は、以下、厚生労働省を含む各コンテンツならびに各文献を参考に作成しています。

介護サービス情報公表システム 公表されている介護サービスについて(厚生労働省)
介護サービス情報公表システム 介護保険の解説 用語の解説(厚生労働省)
施設・居住系サービスについて(厚生労働省)
特別養護老人ホームの入所申込者の状況(厚生労働省)
介護医療院について(厚生労働省)
『医療福祉総合ガイドブック 2021年度版』.医学書院.2021.p157-158

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