【第11回】シカクの人物図鑑 中谷知生さん:落語で患者さんを笑顔にする理学療法士

医療従事者や患者をつなぐひとつの手段として、落語や短歌を根付かせたい。中谷さんのこれから

お仕事と落語の活動がつながるのは素晴らしいことですね!理学療法士のお仕事や落語家としての活動で、他にも最近取り組んだことはありますか?

中谷さん:前述した通り、現在の職場では主に理学療法士らの学術活動や、新しい治療機器の導入などをサポートする仕事をしています。現在は特に、脳卒中片麻痺患者さんの歩行トレーニングに力を入れていますので、そこから得た知見を学会や研修会などでお話しさせていただく機会が多いですね。

職場でも外部での研修会でも共通しているのですが、「わからないことがわかった瞬間」の、みなさんの“すっきりした顔”を見るのが大好きなんです。そんなところにやりがいを感じています。

最近勤務先の病院に導入された、理学療法士が介助歩行の練習をする際に使う人形「あゆみちゃん」。脳卒中の歩行再建のレクチャーをする際などに活躍し、電池などはついていませんが、うまく介助をするととても上手に歩いてくれるとのこと

中谷さん:コロナ禍以降、残念ながら病棟では開催できていませんが、落語家としては、入院患者さんの前で毎週落語会を開催していました。

また、こちらもコロナ禍以降開催できていませんが、院外では脳卒中の予防や発症後のリハビリテーションなどについて広く一般の方々に知っていただきたいと思い、リハビリテーションの啓蒙を目的とした創作落語を地域のサロンなどで披露させていただく機会もあります。

現在は新型コロナウイルスの影響で思うように活動ができないのですね…。先生の落語を楽しみにしている患者さんもたくさんいらっしゃると思います。収束後など、今後お仕事や落語家としての活動でやりたいことがあれば教えてください。

中谷さん:理学療法士としては、現在日本神経理学療法学会の理事などもさせていただいておりますので、職場だけでなく、より多くの理学療法士に学術活動の楽しさが伝わるような活動ができれば良いなと思っています。

落語家としては…、とりあえず新型コロナウイルスが落ち着いてから、早く病棟で落語会を再開したいと思っています。何といっても患者さんが笑顔になっていただける瞬間が一番うれしいですし、やりがいを感じますので。長期的には落語好きの医療従事者が集まって、市民を対象とした「丸ごと落語の講演会」みたいなものを開催したいと思っています。

落語でも理学療法でも市民の方に笑顔になっていただけるとうれしいですね。最後に、将来の夢を教えてください。

中谷さん:脳卒中の歩行再建のポイントを短歌にまとめる、「歩行再建百人一首」という活動をしています。数年前から講演会やセミナーで、この百人一首を披露させていただいています。

将来的には、落語をする理学療法士を増やす一方で、理学療法士同士が自分の理学療法においてこだわっている部分を短歌で伝え合うという文化を根付かせたいと思っています。

おわりに

シカクの人物図鑑の第11回は、落語家として活躍されている中谷知生さんをご紹介しました。

趣味として始められた落語で患者さんを笑顔にし、また今後も落語や短歌で医療現場に笑いを取り入れていきたいと語る姿が印象的でした。落語や短歌といった普段と異なるアプローチだからこそ、多くの患者さんや理学療法士たちに伝わる情報や思いもあるのかもしれません。一刻も早く落語が再開できる日が訪れることを願うばかりです。

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