【第15回】理学療法士のオススメ書籍&一覧 「事実を見つめてきた人々が語る“命”にまつわるノンフィクション2冊」

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リガクラボでは、全国の理学療法士から「みんなに薦めたい書籍、薦めたら好評だった書籍」を募集し、毎回テーマに沿ったオススメの書籍を紹介しています。

読者の皆さんの健康に役立つ、そして身体や命について考えるきっかけになるような書籍を、理学療法士の視点でピックアップしていきます。

第15回となる今回のテーマは「事実を見つめてきた人々が語る“命”にまつわるノンフィクション2冊」です。

それでは早速、一冊目の本をご紹介します。

破綻からの奇蹟 〜いま夕張市民から学ぶこと〜

著者: 森田 洋之
出版社: 南日本ヘルスリサーチラボ

書籍の概要

※概要は、公式サイトからの引用・抜粋となります。

財政破綻・医療崩壊・さらに高齢化率日本一。悪条件に取り囲まれてしまった夕張市。
果たして夕張市民の命はどうなってしまうのか?‥。
破綻後に医師として乗り込んだ筆者は、それでも夕張市民が笑顔で生活していたことに驚く。

事実、財政破綻後のデータは夕張市民に健康被害が出ていないことを示していた。
「病院がなくなっても市民は幸せに暮らせる! 」

もしそれが事実なら、一体なぜなのか?

本書は、その要因について、先生(元夕張市立診療所所長)と生徒2人の講義形式でわかりやすく検証してゆく。
夕張・日本・世界の様々なデータを鳥の目で俯瞰し、また夕張の患者さんの物語を虫の目で聴取するうちに3人は、夕張市民が達成した奇蹟と、その秘密を知ることとなる・・。

少子高齢化や財政赤字で先行きが不透明な日本。本書は、医学的・経済学的な見地から日本の明るい未来への処方箋を提示する希望の書である。

オススメする理由

ペンネーム:吉倉 さん

財政破綻した北海道夕張市。市民病院が閉鎖され、救急車を呼んでも隣町の病院まで搬送に30分以上かかり、救える命も救えなくなっている。

そんな危機的な状況を知って芽生えたのが、病気の「予防」に対する意識でした。将来、他の自治体でも起こり得る事態に対して、その解決策の一つの事例として参考になる内容でした。自分の健康を維持する「予防」の大切さも改めて感じることができるので、お勧めします。

【リガクラボ編集部より】

財政破綻という言葉は聞いたことがあっても、実際にそれが起きたとき、私たちの生活にどのような影響があるのかを知る人は少ないように思います。

2007年に財政破綻した夕張市では、市内の大病院がなくなり、診療所と介護保険施設に縮小を余儀なくされました。その後、市民の医療はどうなっていったのか。著書では夕張市の医療のその後を、医師としての目線から忌憚なく描いています。

夕張市に降りかかった事態は、他の自治体においても十分に起こりうる問題です。日本の医療の現状を見つめ、自分を取り巻く地域の医療はどうあるべきかを考えるきっかけになる書籍です。

続いて二冊目はこちら。

選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子

著者: 河合 香織
出版社: 文藝春秋

書籍の概要

※概要は、公式サイトからの引用・抜粋となります。

その女性は、出生前診断をうけて、「異常なし」と医師から伝えられたが、生まれてきた子はダウン症だった。
函館で医者と医院を提訴した彼女に会わなければならない。
裁判の過程で見えてきたのは、そもそも現在の母体保護法では、障害を理由にした中絶は認められていないことだった。
ダウン症の子と共に生きる家族、ダウン症でありながら大学に行った女性、家族に委ねられた選別に苦しむ助産師。
多くの当事者の声に耳を傾けながら選ぶことの是非を考える。

オススメする理由

名前:匿名希望

出生前診断の誤診に絡む裁判の行方を軸に、医療技術の進歩によっておこる現実と法律の歪みや、その矛盾に苦しむ家族や医療者の葛藤が丁寧に書かれたノンフィクションです。

重いテーマで、読み進めるのが辛く感じる部分もありますが、命の意味や生命倫理について深く考えさせられます。

【リガクラボ編集部より】

“もし出生前診断で胎児に何か異常がわかったら、どうするか?” 子を持つ親だけでなく、この世に生を受けたすべての人が当事者となりうる難しい問題なのではないでしょうか。

出生前診断は、胎児の状態を確認し、治療や投薬、産後の治療の準備、母体の健康管理などをおこなうことが主な目的とされています。医学の発展により胎児の段階で障害を発見できるようになったことは、どんな意味を持つのでしょうか。

医療が発達したからこそ考えなければならない重く難しいテーマについて、法的現状を絡めて丁寧に描かれた作品です。

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