【後編】熱中症やケガを予防して野球を楽しもう!~投球フォームチェック編~

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チェックすると良い身体の部位

野球によるケガを予防するためには、肩の柔軟性や肘の曲げ伸ばしが左右差なく出来るか、前屈した際に指先が床に届くかなどをチェックしましょう。肘の内側・外側・後方のうち、どこが痛いのかなど、痛みが出る部位をチェックすることも重要です。また、肩や肘だけでなく脊椎(背骨)や股・膝関節、足首もチェックしましょう。
以下のようなセルフチェックシートも参考にしてください。

セルフチェックシートのダウンロードはこちら

セルフエクササイズ

野球によるケガを予防するセルフエクササイズをいくつかご紹介します。ここでは肩甲骨や脊椎(背骨)や体幹、股・膝関節、足首のエクササイズをお伝えします。肩・肘・腰のケガ予防のストレッチは、中編記事でご紹介していますので、それぞれの項目をご参照ください。

1.キャットアンドドッグ

肩甲骨・脊椎(背骨)の可動性向上や、体幹のインナーマッスルの強化に効果的です。

① 四つ這いの状態で肘を伸ばしたまま、両肩甲骨の間の距離を広げながら、頭を下げておへそを見るように背中を丸めます。
② 顔を上げて、両方の肩甲骨を中央に寄せるようにして身体を反らせます。
③ 上記を10回×3セット程度おこないます。

2.トランクローテーション

① 四つ這いの状態で片方の手を頭の後ろに当てます。
② 背中を丸めた状態から天井を見るようにして、頭に当てた手のほうを外側へ、肋骨から開くようなイメージで身体を捻ります。
③ 腰が左右にずれないように注意しながら、上記を10回×3セット程度おこないます。

3.エルボー・トゥー・ニー

投球動作での体幹と股・膝関節、足首の連動を高めること、踏み込み足を強くすることに効果的です。

① 肩幅程度に足を開いて立ち、投球する方向に顔を向けます。
② 両手を肩に当てた状態で、投球する方向に両足のつま先を向けるようにして一歩前に踏み込みます。その際、骨盤から身体を回し、肘を前方の膝にできるだけ近づけます。
③ 上記を10回×3セット程度おこないます。

このような脊椎(背骨)や体幹、股・膝関節、足首のエクササイズが、野球によるケガ予防には重要です。

稲田先生からのアドバイス

ケガを防ぐために大切なのは、自分で自分の身体を知ることです。疲労具合や柔軟性の低下など、普段との違いや、違和感・痛みなどに気づくことが重要です。そして、その違和感・痛みを放置しないようにしてください。また、日々の生活や毎回の練習時にストレッチなどのケガ予防に継続して取り組む習慣をぜひ作りましょう。

まとめ

後編では、投球動作による負担や、ケガを予防するための投球フォームのセルフチェック方法などをご紹介しました。まとめると以下のとおりです。

  • 投球動作では、肩に体重と同等~体重の1.5倍の強い負荷が加わる。投球動作のうち、レイトコッキング期〜加速(アクセラレーション)期において、痛みが生じることが多い。ただし、正しい投球フォームを身に着けることで、痛みの発生を防ぐことが期待できる。
  • 投球フォームをセルフチェックするには、スマートフォンやビデオカメラを用いて「肘が下がっていないか」「手投げになっていないか」「肩甲骨・背骨をしっかり使えているか」「踏み込み足がしっかり支えられているか」といった項目をチェック
  • 野球によるケガを予防するためには、肩や肘だけでなく脊椎(背骨)や股・膝関節、足首のチェックも必要。また、キャットアンドドッグ、トランクローテーション、エルボー・トゥー・ニーといった体幹や、股・膝関節、足首のエクササイズも重要

全3回にわたり、クーリングタイムなど全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)のサポート活動に携わる理学療法士から、熱中症の予防方法やクーリング、ケガの予防と対策、投球フォームのチェック方法などをご紹介しました。ぜひ、本連載でご紹介した内容を参考に、日頃から熱中症やケガを予防し、心置きなく野球を楽しめると良いですね。

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PROFILE

稲田 竜太(いなだ りゅうた)理学療法士

稲田 竜太(いなだ りゅうた)理学療法士

専門分野:運動器理学療法、スポーツ理学療法、膝関節鏡視下術後リハビリテーション(ACL再建術後リハなど)、障害予防(大会支援など)

2013年理学療法士免許取得。同年、運動器ケア しまだ病院に入職し、現在に至る。一般社団法人アスリートケアにも所属し、甲子園健康支援をおこなっている。スポーツ理学療法認定・専門理学療法士。