3秒間に1人が転倒?転倒リスクをチェックしてケガを予防しよう!
10月7日、上皇后美智子さまが転倒して骨折、入院して手術をされたとのニュースが配信されました。
日本理学療法士協会では、天皇・皇后両陛下(現在の上皇・上皇后)に1999年に横浜で開催された第13回世界理学療法連盟大会の開会式にご臨席いただき、「おことば」を賜り、理学療法士への大きな励ましをいただいたことがあります。
上皇后美智子さまの一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。
さて、読者の皆さんのなかにも、日常で転倒した、あるいは転倒しかけたことがある方は多いと思います。そこで、皆さんにも転倒に気を付けていただきたきたく、今回は転倒に関する記事をお届けします。ご自身やご家族の転倒リスクについて、本記事を通して考えてみませんか?
3秒間に1人が転倒!?
「足がつまずいて転んだ」、「滑った」など、転倒を経験したことがある方は、世代問わず多いのではないでしょうか。厚生労働省の高年齢労働者の労働災害の発生データによると、50代から転倒が増加※1しており、さらに、65歳以上の高齢者の3人に1人は、1年間に1回以上転倒すると言われています。
転倒は「大したことじゃない」と考える方も多いかもしれませんが、実は転倒された方の8割以上が通院や入院が必要な怪我を負っており、介護が必要な状態になるリスクが高いと言われています。また、転倒した方のうち約5%が骨折を認められたというデータもあり、65歳以上の高齢者の100人のうち1~2人が転倒により骨折していると推計できます。
これらの情報をもとに計算をすると、日本の高齢者においては約3秒間に1人が転倒、1分間に1人以上が骨折していることになります。
転倒の要因は?
転倒は、バランス能力や筋力などの身体機能の低下が原因となることが多いのですが、実は、それだけではありません。
認知(理解・思考)・視覚(見る)・聴覚(聞く)の機能や飲んでいる薬、住まいなどの環境の影響なども関連しています。
ご自身・ご家族の転倒リスクをチェックしてみよう!
転倒の起こりやすさや要因を知り、ご自身やご家族が転倒しやすい状態かどうかと心配になったでしょうか。ぜひ、ご自身・ご家族の転倒リスクは今どのくらいなのか、チェックリストを利用して把握してみましょう。
チェックリスト①:転倒しやすい状態かどうか。
質問に対して「はい」「いいえ」で答え、ご自身の点数を数えてみましょう。
いかがだったでしょうか。
合計点が6点以上の場合は、転倒しやすい状態と考えられます。
チェックリスト②:脚の機能
※近くに支えがある環境(手すりなど)で行いましょう。
椅子に座り、手を胸に当てた状態で立ち上がり動作を5回繰り返します。
12秒以内で完了ができれば、脚の機能が保たれています。
いかがでしたでしょうか。今回ご紹介した内容は、理学療法ハンドブックのシリーズ18にも掲載されています。詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
また、リガクラボでは、転倒しない身体づくりとして転倒リスク・予防についての詳しい内容や運動を過去の記事でもご紹介しています。ぜひご覧ください。
※この記事は、2024年10月16日時点での情報で作成しています。
以下を参考に作成しています。
※1 「令和2年の労働災害発生状況を公表 【参考資料2】令和2年高年齢労働者の労働災害発生状況」(厚生労働省)
おわりに
転倒リスクは軽視されがちですが、重大な怪我や介護が必要になる原因となることがあり、あらゆる世代の人々に関わる問題です。この機会に、ご自身やご家族の健康状態や生活環境を再確認し、日常の中に転倒予防を取り入れるのはいかがでしょうか。
リガクラボでは、骨折時の治療や住まいの環境整備に関する情報も発信していますので、ぜひチェックしてみてください。