【第1回】在宅ワークで緩んだ身体を鍛えよう!~運動不足がもたらす問題とは?~

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新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、新しい生活様式に沿って暮らしていく必要がある一方、運動不足による健康二次被害が懸念されています。在宅ワークの導入が増え、外出する機会が減ったことで、「体重が増加した」「筋肉が落ちた」など自覚されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、働く世代の方に向けた、家の中でおこなえるトレーニングを理学療法士が全4回にわたってご紹介します。身体の部位ごとに、在宅ワークで起こりやすい身体の不調とその対策もあわせてお伝えしていきますので、仕事の合間にぜひチャレンジしてみてください。

Withコロナ 在宅ワークで起こりうる健康上の問題と対策

まずは、運動不足による筋力低下と体力低下について解説していきます。

筋力の低下

歩行や階段昇降などを通じて、私たちは生活の中で意外と全身の筋肉を使っています。ご自宅にいる時間が増え、身体を動かす機会が減ると、筋肉はしぼみ、発揮できる筋力も低下していきます。

極端な例になりますが、絶対安静(寝たまま動かない状態を保つこと)を続けると、筋力がどのくらいの速さで低下するかご存じでしょうか。実は、1週間の絶対安静で約20パーセント低下するといわれています。

もちろん、ご自宅での生活で絶対安静ほど身体の活動がないわけではありませんが、「安静」は筋力低下につながることについて改めて意識し、日々の生活に筋力トレーニングを取り入れていきましょう! 今回から始まる特集もぜひご活用ください。

体力の低下

在宅ワークが増えると、どのくらい運動不足になるのでしょうか?
日頃の身体の活動を把握する目安の一つが「歩数」で、徒歩10分が1000歩に相当します。日頃の通勤やこまめな職場内の移動もそれなりの活動になっているのです。

運動不足は、心臓の筋力や全身の筋力の低下とともに、体力の低下ももたらします。呼吸によって取り入れた酸素を体の隅々に運ぶ力が弱くなり、私たちが体を動かすために必要なエネルギーを十分に作れず、息切れがしやすくなるといわれています。

日頃の通勤時間などをもとに、在宅ワーク中に身体の活動量が減っていないか計算してみてください。久しぶりの外出で息が上がりやすくなったと感じた方は要注意です!

※息切れは、病気が背景にあることもあります。「急に息切れの症状が出た」「体重が急に増減した」などの症状を伴う方は、早めに医療機関に相談しましょう。

体力低下を予防するためには、生活の中に有酸素運動をおこなう機会を設けることが大切です。1番始めやすい有酸素運動といえば、ウォーキング。感染をしっかり予防しながら、生活のすきま時間で歩く機会を作ってみましょう。

リガクラボで過去に紹介した「ウォーキングのコツ」もぜひあわせてご覧ください。

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まずは呼吸のメンテナンス―やってみよう呼吸筋ストレッチ!

私たちが呼吸をしているとき、胸回りや腰回りの筋肉も補助的に活動していることをご存じでしょうか。運動不足の生活が続くと、呼吸に関わる筋肉も衰えていきます。また、在宅ワークで十分なデスク環境が整わないままパソコンに向かっていると、体が丸まり猫背になりがちです。そんな猫背の姿勢は、呼吸を補助する筋肉を縮こまりやすくしてしまい、呼吸にも悪い影響を及ぼします。

そこで、理学療法士が患者さんや利用者さんに腹式呼吸を指導するときのポイントをお伝えします。普段何気なくおこなっている呼吸の動きを確認してみましょう。

呼吸のセルフチェック!腹式呼吸をおこなってみましょう!

  • 片手を胸のあたりに、もう片方の手をおへそのあたりに置きます。
  • 鼻から息を吸い、口から吐きます。息を吐くときはロウソクの火を消すようなイメージで吸うときの2倍時間をかけておこないましょう。
  • おへそに置いた手の方が大きい動きになると「腹式呼吸」ができている目安です。
    ※うまくいかないと感じたときには、息を吐くときにおなかをへこませてみましょう。

いかがでしたでしょうか?「前より深呼吸ができなくなっているな」と感じた方は、筋力が弱っているかもしれません。

今のご自身の腹式呼吸を把握できたところで、続けて呼吸をおこないやすくするためのストレッチをおこなってみましょう。呼吸筋を気持ち良く伸ばし、深い呼吸をするためのメンテナンスをするよう心がけるとより効果的にストレッチすることができます。

呼吸筋ストレッチのご紹介!

胸のストレッチ

  • 両手を胸の前にあて、口から息を吐きながら背中を丸めていきます。
  • 次に鼻から息を吸いながら、胸を広げていきます。
    胸の筋肉が伸びているのを感じながら、大きく息を吸い込みましょう。
  • 胸を大きく広げたら、再び口から息を吐きながら背中を丸めていきます。
    この動きを何回か繰り返しましょう。

腹部・わき腹のストレッチ

  • 片手を頭の後ろに置き、反対の手を腰にあてます。
  • 鼻から息を吸い込み、口から息を吐きながら腰をあてている手のほうに体を倒していきます。
  • 息を吸いながら元の姿勢に戻ります。
  • 手の位置を交代して反対側もおこないましょう。

肋骨の間を広げる運動
※棒を用いた体操になります。タオル、杖、ラップの芯などでも代用できます。

  • 鼻から息を吸いながら腕をまっすぐに伸ばし、棒を頭の上まで持ち上げます。
    十分に胸を張ってください。
  • 口で息を吐きながら、ゆっくり体を前に倒していきます。
  • 倒しきったら息を吸いながら再び頭の上まで棒を持ち上げます。
    ※腰に痛みのある方や、めまいを感じやすい方は無理をしないでください。

今回の体操は、公益社団法人 東京都理学療法士協会にご協力いただいて作成いたしました。ご紹介したもの以外の体操も盛り込んだ動画が公開されておりますので、こちらもぜひご活用ください。

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