【第2回】在宅ワークで緩んだ身体を鍛えよう!~身体を支える“幹“を鍛えよう!体幹編~

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新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、新しい生活様式が定着していく一方、運動不足による健康二次被害が懸念されています。中でも在宅ワークが増えたことで外出の機会が減り、「体重が増加した」「筋肉が落ちた」など自覚のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、在宅ワークで起こりやすい身体の不調を取り上げ、家の中でおこなえるトレーニングを全4回にわたってご紹介します。

第1回では導入として運動不足の問題と呼吸筋のストレッチなどをご紹介しましたが、第2回は腰痛を引き起こす姿勢の不調を取り上げて体幹を鍛えるトレーニングをお伝えします。お話をうかがったのは、株式会社FiNC Technologies ライフサイエンス室の川村有希子さん(理学療法士)です。

体幹の役割とは?

「からだの幹」と書いて体幹。この部分は背骨や骨盤・肋骨などの骨や、筋肉だけでなく、大切な内臓や血管も収められており、全身を動かす基盤であるといえます。また、体幹にある背骨は、身体の筋肉を動かす運動神経と、心臓や呼吸をコントロールする自律神経をトンネルのように包んで保護する重要な役割も担っています。

背骨(脊柱):椎骨と呼ばれる骨が積み重なってS字を作り、頭の重さや床からの反力を分散させます。

椎間板:椎骨と椎骨の間にあり、重力や床から返ってくる反力の負担を分散させるクッションの役割を持つ組織です。

体幹はこのような構造により、一つ一つの椎骨の間の関節が少しずつ動くことで、全体の大きな動きを生み出しています。ヨットの帆がロープで引っ張られながら支えられているように、背骨もさまざまな方向から複数の筋肉によって支えられているのです。

しかし、この並びが崩れることで不調をきたしやすくなります。例えば腰の部分の「腰椎」は、正常では緩やかに前に凸(=前弯(ぜんわん))のカーブを描くような構造になっています。その並びが過度に前弯しても、前弯が消失(=後弯(こうわん))しても、腰痛につながりやすいことがわかっています。

長く座っていると腰痛になる?

椎間板にかかる圧縮力を「椎間板内圧」と呼びます。椎間板内圧が大きいと、椎間板とその周囲が強く圧迫されているということになります。これにより、その部分の炎症や血流障害が起きることで、腰痛の原因となってきます。

椎間板内圧は寝ているときと比べ、立っているときは4倍になるというデータがあります。また、一見すると座っていると腰に負担がないように思えますが、実は、立っているときよりも座っているときのほうが椎間板の内圧が大きくなっているのです(図)。

特に、椅子に浅く座りずり落ちそうな仙骨座りや背中を丸めた円背で多くみられる腰椎後弯の姿勢では、椎間板内圧が立っているときの約1.85倍にも及びます!(※)このような姿勢で偏ったストレスを長時間受けることで、腰痛のリスクが高まります。

さらに長時間同じ姿勢を取り続けることの弊害として、全身の血流が悪くなり、筋肉や関節の動きが硬くなる可能性もあります。第1回でもご紹介しましたが、デスクワーク中の姿勢は特に体の前側が縮こまりやすく、横隔膜が使いづらい浅い呼吸になりがちです。1回の呼吸で取り込める酸素の量が少ないため、疲れやすい、集中できないなどの弊害が起きる可能性も考えられます。

図:姿勢による椎間板にかかる負担の違い

ワンポイントアドバイス

デスクワークの合間に

長時間の座位姿勢が続かないよう、意識してこまめに立ち上がるとともに、合間にできる運動も取り入れて、血液循環の促進や筋力強化をおこなってみましょう。

作業姿勢を整えましょう

椅子にしっかりと深く座り、骨盤が前や後ろに倒れ過ぎない姿勢を意識してみましょう。お尻の下(後ろ半分)にタオルを入れると骨盤が後ろに倒れにくくなるのでお勧めです。

深く座ると足が浮いてしまう場合:椅子の高さを調整してみてください。

パソコンモニターの高さが低すぎる場合:顔を前に出し背中が丸まった姿勢となりやすいため、台を置くなどモニターの高さを目線の位置に合わせましょう。

作業環境が悪いと、身体はその環境に合わせるために首を前に出したり、背中を丸めるなど、不良姿勢を取りやすくなります。身体の不調を予防するためには、できるだけ身体に環境を合わせることが大切です。

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