【第4回】健康寿命をのばすために~むせの予防と対策
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人生100年時代と言われている中で、「生涯元気に自分らしく笑顔で暮らしたい」というのは、多くの人の願いではないでしょうか。そんな中注目されているのが「健康寿命」です。
健康寿命(健康で、日常生活を支障なく送ることができる期間)をのばすためには何ができるのでしょうか。運動による生活習慣病やフレイルの予防、生活機能向上の好循環を作る方法から、転ばない身体づくり、腹圧性尿失禁の症状や原因、その対策と、3回にわたり紹介してきました。
最終回となる第4回は、いつまでも楽しく食事をするために「むせ」が起こる原因とリスク、むせないための予防方法をお伝えしていきます。
【特集】健康寿命をのばすために
“むせ”はなぜ起こる?
「むせ」とは、気道に侵入した唾液や食物を排出するための防御機構のことです。口の中が清潔でないと、誤嚥した際に唾液や食物に付いた菌も入り込んでしまい、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こしてしまいます。この誤嚥性肺炎は現在、日本人の死亡原因の第7位となっています。
年齢を重ねると口の健康が低下し、入れ歯になったり、滑舌が悪くなったりします。また、全身の筋肉が衰えてしまうことにより円背(えんぱい)姿勢(※)になり、飲み込みに働く筋肉も衰えてしまいます。その結果、「むせ」や誤嚥性肺炎が起こりやすくなってしまうのです。
誤嚥性肺炎にならないためには、気道に異物が侵入しないようにきちんと蓋ができ、異物が気道に入った場合は強く咳をして、きちんと排出する必要があります。
(※)編集部注:背中が丸く曲がってしまう状態のこと
むせないための予防・改善方法を紹介
下記のチェック項目で気になる箇所がある方は、それぞれに見合った改善方法に取り組みましょう。
チェック項目
- 口が乾く。口臭が気になる
- ろれつが回りにくい。食事に時間がかかり、食べにくいものが増えた
- 飲み込みにくい。一度に飲み込めない
- 痰がからみやすい。お茶や食事でむせる。食後にガラガラ声になる
「01.口が乾く。口臭が気になる」場合
口の中に菌が繁殖していると考えられます。唾液腺(耳下~えらの内側)を指で刺激して、口の中の乾燥を防ぎましょう。入れ歯や舌の表面をブラシで優しくこすって、掃除するのも良い方法です。
「02.ろれつが回りにくい、または食事に時間がかかり、食べにくいものが増えた」場合
舌の動きが良くないか、入れ歯の適合が悪い可能性があります。舌の運動をしましょう。
運動:「タ」「カ」「ラ」を、はっきりすばやく10秒連続して発声してください。また、舌を「べえー」と大きく前に突き出し、左右に5回動かしてみましょう。
「03.飲み込みにくい、一度に飲み込めない」場合
嚥下機能が低下していると考えられます。飲み込むための顔回りの筋肉を鍛えましょう。
準備:背筋を伸ばし、首を回す、肩甲骨を動かすなどしてほぐします。
運動:親指をあごの裏にあてます。あごをのどに近づけるようにしつつ、親指でそのあごがのどに近づかないように押し返すという抵抗運動を5回しましょう。
「04.痰がからみやすい、またはお茶や食事でむせる、食後にガラガラ声になる」場合
このような症状が出る場合は、誤嚥のサインです。できるだけ強く咳ができるよう練習をしましょう。
準備:おもちゃの“吹き戻し”を使用する、口をすぼめてピンポン玉を強く吹くなど、息を吸ったり吐いたりする練習をしてみてください。
運動:痰をきるように「ゴホン」と強い咳をする練習を5回しましょう。
今回は4つの代表的な症状と改善方法をご紹介しましたが、できる範囲で身体を動かすことや、大きな声で会話し、笑うなど、コミュニケーションを取りながら顔周りの筋肉を使うことも予防になります。日常生活の中でトレーニングをおこなえますので、フレイルにならないためにも、しっかりと予防と改善に取り組んでいきましょう。
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