【第6回】教えて!初めての在宅介護~出張や残業のある仕事と介護を両立するには?小規模多機能型居宅介護~

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リガクラボの連載「教えて!初めての在宅介護」では、初めての介護への疑問・不安についてお答えするべく、在宅介護に関する情報を紹介しています。

前回は、働きながら認知症のお母様の在宅介護をするための「仕事と介護の両立支援制度」や「介護保険制度等による支援やサービス」についてお話ししました。第6回となる今回は、定期的に出張や残業のある仕事をされている方が、仕事と介護を両立させるために役立つサービス、その活用法などについてお話ししていきます。

PROFILE

今回の質問者:Eさん (43歳・男性

・70代の母親が脳梗塞を発症、後遺障害があるため在宅介護をおこなっている。
・平日は正社員としてフルタイムで働いており、残業や出張などが月に数回ある。
・現在母親と二人暮らし。
・母の要介護度:要介護4

Q. 要介護4の母の在宅介護をおこなっており、状態も不安定です。私自身はフルタイムで働いていて月に数回出張や残業もあります。仕事の状況に応じて介護サービスを柔軟に利用したいのですが…

A. お仕事をされながら、お母様を在宅介護されているのですね。フルタイムで働かれていて、しかも出張や残業も月に何度かあるとのことで、両立するのにご心配事も多いことでしょう。仕事の状況などに合わせて利用できる介護サービスがあると、心強いですよね。

このようなケースでは、仕事や要介護者の状況に合わせて、通い、訪問、宿泊の3つのサービスを柔軟に調整できる「小規模多機能型居宅介護」を利用するのもひとつの方法です。今回はこちらのサービスについてお話ししたいと思います。

小規模多機能型居宅介護とは?

小規模多機能型居宅介護は、利用者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、利用者の選択に応じて、施設への「通い」を中心とし、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問」を組み合わせ、家庭的な環境と地域住民との交流の下で日常生活上の支援や機能訓練をおこなうサービスです。

要支援・要介護認定を受けている方で、原則として事業所のある市区町村の住民のみが利用できます。介護保険の自己負担のほかに、住居費・食費・日用品費が必要になります。

小規模多機能型居宅介護の詳細や負担金額などについては厚生労働省のサイトにも情報が掲載されていますので、参考にしてください。

どんなサービスがあるの? - 小規模多機能型居宅介護

Q.「小規模多機能型居宅介護」というサービスがあるのですね。通い、訪問、宿泊が柔軟に組めると、仕事との調整もしやすいので大変助かります。具体的にはどんな形で利用するイメージでしょうか?

A. Eさんは定期的に出張や残業もあるとのことですから、残業や出張時には施設での宿泊を利用したり、通いの時間を増やしたりするのも良いと思います。お母様の体調の悪い日は、通いを訪問に変更することも検討してみてはいかがでしょうか。

また、小規模多機能型居宅介護の利用と合わせて、「仕事と介護の両立支援制度」を利用すると良いでしょう。前回の記事でご紹介しましたが、「仕事と介護の両立支援制度」は家族の介護をおこなう労働者の仕事と介護の両立を支援する法律「育児・介護休業法」に基づいた制度です。

具体的には、お母様の送迎をする必要があるときはフレックスタイム制度を利用して勤務時間を調整したり、通院時には半日単位の介護休暇制度を利用して付き添いをしたりするなどです。

法律で定められている各種制度のほか、各企業が独自で支援制度を設けている場合がありますので、人事労務担当者等に確認をしてみるのも良いでしょう。

出典:平成29年度版「仕事と介護両立のポイント あなたが介護離職しないために」(厚生労働省)

仕事と介護を両立させるための6つのポイントや支援制度などについては、第5回の記事で詳しく紹介していますので、こちらも参考にしてください。

【第5回】教えて!初めての在宅介護~働きながら認知症の母を介護するには?~

Eさんが必要なサービス、制度をうまく組み合わせてお母様をサポートする体制を作り、仕事と介護の両立をおこなっていけるように応援しています。

※介護サービスの内容などには地域差があります。
※この記事は2023年1月25日時点での情報で作成しています。
※この記事は、以下、厚生労働省を含む各コンテンツならびに各文献を参考に作成しています。

平成29年度版「仕事と介護両立のポイント あなたが介護離職しないために」(厚生労働省)
介護サービス情報公表システム 公表されている介護サービスについて「どんなサービスがあるの? – 小規模多機能型居宅介護」(厚生労働省)

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